『ジーサンズ はじめての強盗』はネットの評判通り大傑作!デートにも最適!

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

その日本版タイトルの面白さとインパクトから、映画ファンの間でも早くから話題となっていた、「ジーサンズはじめての強盗」。

既に公開前から、ネットの「期待度」も他の同時期公開作品に比べて高く、試写会などで見た方のレビューも好評・高評価な本作を、今回は公開二日目の日曜日、初回上映で鑑賞してきた。

映画の内容とターゲットの客層、それに午前10時からの上映という点を考慮しても、中規模のスクリーンで7〜8割の入りは、かなりの健闘と言える本作。
さて、果たしてその出来は、本当に噂通りの物だったのだろうか?

予告編

ストーリー

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ウィリー(モーガン・フリーマン)、ジョー(マイケル・ケイン)、アルバート(アラン・アーキン)は、平穏な余生を過ごしていた。

ところが長年勤めた会社の合併により年金をカットされてしまい、平均年齢80歳以上の彼らの生活はお先真っ暗の状態に。追い詰められた彼らは、ついに思いがけない行動、銀行強盗に打って出るのだが・・・。

決して高齢層向けの、ほのぼのコメディじゃ無い!全ての観客が楽しめる傑作!

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いや、面白かった!しかも、脚本が実に良く出来ている。

正直鑑賞前は、「老人3人組の銀行強盗を笑いのネタにした、笑えないほのぼのコメディ」程度にしか考えていなかったのだが、その先入観と偏見は完全に裏切られた。

実は本作は、1979年の未公開映画「お達者コメディ/シルバー・ギャング」のリメイク版。しかしその内容は、現代に合わせてかなり変更されている。

今回のリメイク版の大きな特徴、それは主人公たちの犯行に、観客が充分に納得出来る理由があること。そして、決して彼らだけで犯行に及ぶのでは無く、ちゃんと周囲の人々の協力を得て計画を実行に移す点だろう。

更に一番の違いは、オリジナル版の主人公達が、周囲から年寄り扱いされるのに不満で強盗を働くのに対し、本作では社会から人間扱いされないのに対して、個人の生活と幸福を守るために強盗に及ぶという点。この変更により、銀行強盗という手段と奪った大金の使い道への大義名分が立つことで、あのエンディングの爽快感が成立すると言うわけだ。

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しかし主演の3人、モーガン・フリーマンが80歳、マイケル・ケインが84歳、アラン・アーキンが83歳と、確かに揃いも揃ってかなりのご高齢!

そのため、アクションや若者向きのギャグ、現代の流行が盛り込み難いとなれば、後は脚本の上手さが作品成功のカギとなって来る。実際本作の脚本の出来は素晴らしく、文字通り最後の最後まで手を抜かず、観客の意表を突いて楽しませようとする工夫が目一杯詰まっていて、実に見事!

例えば、一見愛想の良い銀行員よりも、実は強盗犯の方が老人に対して敬意を持って接してくれるという、冒頭のシーンにも代表される様に、全編で描かれる個人対個人の絆や人情の大切さ、他者への理解と思いやりがどれだけ現代社会に必要か?など、本作が伝えようとするテーマは、正に「世代を超えて共感できる共通の問題」だと言える。だからこそ、これだけ多くの観客の高評価を得て、劇場でのヒットに繋がっているのだろう。

とにかく、本作での登場人物達への丁寧な描き方や、彼らに対する温かい眼差しと、ラストの2重3重のサプライズにより、鑑賞後の満足感と爽快感は保証付き!学生同士の鑑賞にも、夫婦やカップルでのデートムービーとしても全力でオススメ出来る本作。ここはDVDリリースを待つのでは無く、是非とも劇場に足を運んで頂ければと思う。

最後に

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最近の映画観客の傾向を考えるに、「犯罪を助長するような結末と内容って?」の様な感想とレビューが出て来ると思うのだが、残念ながらそれは本作の本質・テーマを全く受け取っていない、と言わざるを得ない。

恐らく、本作で描かれる様な濃密で豊かな人間関係は、もはや現実には存在しない一種のファンタジーであり、映画だからこそ許される「夢」の世界なのだろう。但し、本作で描かれる社会の姿は、悲しいことに現実に存在する物なのだ。

個人の生活や幸福を容赦なく切り捨て、自分達の利益を最優先する会社や銀行と、そうした社会のシステムからは一旦離れてしまった、言わば旧世代の主人公たち。

本作は、一度は止まってしまった彼らの「時計」が、再び動き出し時を刻み始めるまでの物語だ。

ただ若い時と違うのは、もはやそれが確実に死へのカウントダウンであるということ。本編中にも重要な小道具として登場する時計や、セリフの中で繰り返し語られる余生の生き方に象徴される様に、残された時間を傍観者で生きるのか、それとも行動を起こして周りの人々に何かを残すのか?

様々な選択肢の中、本作は紆余曲折あって「行動する」を選んだ老人たちの物語でもある。彼らの行動を通じて、いつしか観客も明日への勇気と自信を貰える本作こそ、正に万人にオススメ出来る「最上級のエンタメ映画」だと言えるだろう。残念ながら公開規模は非常に小さいが、一応シネコンでの上映となっているので、お目当ての作品が満員だった時には、迷わず本作を選んで頂ければと思う。

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(文:滝口アキラ)


    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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