『映画 賭ケグルイ』の浜辺美波らのオーバーアクトを銀幕で堪能しよう!

 (C)019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「映画 賭ケグルイ」製作委員会

浜辺美波といえば『君の膵臓がたべたい』でブレイクした若手女優の期待株で、どちらかというと一般的には清純派で可憐、はかなくおしとやかといったイメージではないかと思われます。

しかし、2018年1月から3月まで放送された深夜テレビドラマ『賭ケグルイ』(season1)の彼女を見て仰天してしまった方もかなり多かったのではないでしょうか!

その理由……はおいおい語っていくとして、何とその『賭ケグルイ』がテレビ版と同じキャスト&スタッフによる劇場用映画になってしまったのです!

しかも『アベンジャーズ エンド・ゲーム』をはじめ強豪ぞろいのGW映画界の真っ只中に!

何とも賭ケグルってますねえ。

でも、せっかくですから……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街377》

この怪(快!)作に1800円の入場料金を賭けてみてはいかがでしょうか!

ギャンブルまみれの学園に
転校してきた美少女の挑戦

そもそも『賭ケグルイ』はシリーズ累計500万部を超える河村ほむら(原作)尚村透(画)の大人気コミックが原作で、将来の政財界など国家中枢の権力を担うであろうセレブ子女が多数通う名門私立高校・百花王学園が舞台です。

この高校、学力や体力などはどうでもよく、ギャンブルの強さのみによって生徒の階級が決まるのです。

勝てば賞賛を浴びますが、負ければ家畜として、男はポチ、女はミケの烙印を押されます。

要するにギャンブルに勝ち続けるための運の強さと、それを活かすための判断力を持ち合わせた者こそが人生の勝者になれるのであり、そのスキルを鍛えるための地獄のような学園なのです。

そんな百花王学園に、ある日ひとりの美少女が転校してきました。

蛇喰夢子(じゃばみゆめこ/浜辺美波)。

実は彼女、生粋のギャンブル好き……の域など優に超え、リスクを負えば負うほどに歓びを抱き、困難な判断であればあるほどにエクスタシーを感じるという、究極の“賭ケグルイ”JK女子なのでした!

“賭ケグルイ”の快感に酔いしれながら、やがて夢子は生徒会役員のツワモノたちと対峙しては撃破し続けていくのですが……。

ここで重要なのは、原作コミックでは夢子をはじめアクの強いハイテンション・キャラクターが続々登場してはヒリヒリするようなギャンブル・バトルを繰り広げていくわけですが、2018年に始まったテレビドラマ版はそれを見事に再現していたことです。

ホラー映画のような極彩色の映像美の中、それこそ次代を担う期待の若手俳優たちが凝った照明や衣裳、メイクなどにも支えられながら、キワキワの存在感をこれでもかと見せつけていく。

はっきり言って、それはオーバーアクトです。

しかし、この作品に関しては目をひん剥き、雄叫びを上げ、大仰にふるまい続け、いわゆる誉め言葉としての“マンガチック”な演技が、およそありえない虚構の世界を華やかに魅せつけてくれるのです。

中でも特筆すべきは夢子を演じる主演の浜辺美波で、一見お嬢様的ながらも、次第に「この子、ヤバイ!」と思わせる不穏なオーラの体現、何よりも劇中の名台詞「賭~ケ~グ~ル~イ~ましょー!」を言い放つときのエクスタシーに満ちた狂乱の表情は、この美少女にこんな一面があるのか! と、衝撃すらもたらすものがありました。

浜辺美波だけでなく、ここでは高杉真宙、森川葵、矢本悠馬などの若手俳優たちが競って、それぞれのキャラに相応したオーバーアクトを披露してくれています。

思うにキラキラ系ラブストーリー映画の流行など、良くも悪くも今の日本映画界はおとなしめの演技を要求される場が多いように見受けられますが、俳優の英語表記”アクター&アクトレス”とは本来“アクション”から来ている言葉でもあり、アクティヴに動いてこそ俳優の基本ではないかと思わされることもあります。

かつてアクション映画の鬼才・深作欣二監督が中学生同士の殺戮ゲームを題材にした衝撃作『バトル・ロワイアル』を発表したとき、「今の若い俳優はアクション映画が少なくて可哀そうだ。もっと動け!」とでもいった弁を述べながら、当時の出演者にエールを送っていました。

『賭ケグルイ』の英勉監督も同じ心境なのではないかと思われます。

これまでも『ヒロイン失格』『あさひなぐ』などのコミカル青春映画や『貞子3D』2部作などホラー映画と、アクティヴな要素を若手俳優に求めてきた彼の「オーバーアクトがどこまで作品に貢献できるのか?」とでもいった挑戦が『賭ケグルイ』には大いにみなぎられ、また俳優たちも日頃味わえない己の狂乱的表現にノリにのって、思い切り演技を楽しむ。

それが実写版『賭ケグルイ』の本領であり、その後2019年1月から3月にかけて作られたテレビドラマのseason2、および5月3日から全国の映画館でお目見えとなった『映画 賭ケグルイ』も見事なまでにそのラインで統一されています。

 (C)019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「映画 賭ケグルイ」製作委員会

衝撃の展開を迎える
映画版の中毒性

『映画 賭ケグルイ』はテレビドラマseason2から直結する内容ではありますが、それを見てない方でもさほど問題はなく(もちろん見ていれば、より楽しめます)、先に述べた基本設定だけ押さえておけば十分楽しめるものになっています。

ストーリーは原作者自身によるオリジナル・エピソードで、非ギャンブルと生徒会への不服従を掲げて学園内に台頭してきた組織“ヴィレッジ”を解体すべく、生徒会は全校生徒に二人一組で強制参加させるギャンブルイベント「生徒代表指名選挙」を開催します。

不参加者は即刻退学。

勝者は活動資金3億円および、自分の人生を望み通りに決められる「人生計画表・白」が与えられます。

夢子は小心者の良き相棒・鈴井(高杉真宙)と、夢子とは腐れ縁の仲と化して久しい芽亜里(森川葵)は因縁深い木渡(矢本悠馬)と、それぞれペアを組みます。

一方、ヴィレッジ内部ではリーダーの村雨天音(宮沢氷魚)が沈黙する中、彼を信奉する歩火樹絵里(あるきびじゅえり/福原遥)が組織を守るためにイベントに臨みます。

生徒会長・桃喰綺羅莉(モモバミキラリ/池田エライザ)の真の思惑を奥に秘めながら始まるこの一大ギャンブル・イベント、やがて衝撃の展開を迎えることになるのですが、これ以上は言わぬが花で、ぜひとも劇場で直接驚いていただきたいもの。

いずれにしましても、テレビドラマ版から引き継がれた世界観は、銀幕の大画面をもってさらにスケールアップしており、若手俳優たちのオーバーアクトもいちだんと際立ち、映画的に映えわたるという、日ごろオーバーアクトは疎まれがちな“映画”というメディアにおいて稀有な例外をもたらしているのは特筆すべきでしょう。

クライマックス、いよいよ夢子が言い放つ「賭~ケ~グ~ル~イ~ましょー!」は、これまででもっとも表現豊かで見る者をゾクッとさせる秀逸なものになりえています。

思えば浜辺美波は『君の膵臓をたべたい』以前に、麻雀をギャンブルではなくスポーツ競技とみなして繰り広げられるJK麻雀ドラマ&映画『咲』にも主演しており、そのときは“静”の佇まいを一貫させていましたが、『賭ケグルイ』は真逆に“動”の魅力を発散させることで女優として1ステップ上ったと捉えてよいでしょう。
(ドラマ版の直後に主演した『センセイ君主』のハイテンション変顔演技も、やはり『賭ケグルイ』の経験あればこそ!)

ギャンブルは中毒性を伴う危険な要素も備えた娯楽ではありますが、本作もまたかなりの中毒性を秘めていて、一度はまったらリピーターになること必至。

少なくとも夢子と生徒会長のギャンブル勝負までは、今後も実写で描き続けていただきたく、それを実現させてもらうためにも、みなさまぜひとも入場料金1800円を賭けてみてください!
(思えば映画を見ることだって、面白いかつまらないかを賭けたギャンブルみたいなものですしね)

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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