『映画 賭ケグルイ』が最高過ぎる「3つ」の理由。浜辺美波と福原遥の夢の競演を見逃すな!

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

月刊「ガンガンJOKER」で連載中の大人気コミック「賭ケグルイ」。既にアニメ化・テレビドラマ化もされている中、待望の劇場版となる『映画 賭ケグルイ』が、5月3日から全国劇場公開された。

ドラマ版第2シーズンの最終回放送直後という、正に絶好のタイミングでの公開だけに、映画版ならではの展開や新キャラクターへの期待が高まる本作。果たして、気になるその内容と出来はどんなものだったのか?

ストーリー

学業の成績でなく、ギャンブルの強さで生徒の階級が決まる名門校・私立百花王学園。
2年華組に転校してきた蛇喰夢子(浜辺美波)は、学園の絶対的支配者である生徒会長・桃喰綺羅莉(池田エライザ)との対決を心待ちにしていた。
そんな中、学園内では”非ギャンブル””生徒会長への不服従”を掲げる白装束集団・ヴィレッジが台頭。
ヴィレッジの解体と夢子潰しを企む生徒会は、全校生徒をペアで強制参加させるイベント「生徒代表指名選挙」を開催させる。
夢子は小心者の同級生・鈴井(高杉真宙)と組んで、学園史上最大のギャンブルトーナメントに挑むのだが…。

予告編

理由1:出演キャスト陣が、原作キャラクターを見事に再現!

原作コミックやアニメ版を観た方ならお分かりの様に、登場人物たちの普段のキャラクターと、ギャンブル対決が最高潮に達した時に魅せる、ハイテンション過ぎる狂気の表情とのギャップが大きな魅力である、この「賭ケグルイ」。

実写化するにあたっての、アニメや原作コミックとは一味違う表現方法もまた楽しみの一つだが、何しろ実写版で主人公の蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)を演じるのが、あの浜辺美波とくれば、これはもうファンでなくとも期待するなと言う方が無理な話!

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

実際、浜辺美波の演技力があれば、本作に登場する強烈な個性のキャラクターたちを全員演じられるのでは? そんな考えも浮かんでくるほど。

『君の膵臓をたべたい』で見せた静かな表情と、昨年の『センセイ君主』で見せたハイテンションな演技が同時に楽しめる本作こそ、正に彼女でなければ実写化不可能な役柄と言えるだろう。

ストーリーの関係からか、今回の劇場版では一見他のキャラクターたちの受け役に回っている様に見える彼女だが、ラストの最終対決で見せるキメ台詞と振り切った演技で、その場の空気を一変させる姿には、やはり主役はこの人しかいない! そう思われた方も多かったはずだ。

その他にも、残念ながら今回は特別出演のような扱いのため、ほとんど夢子と絡まない生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみ きらり)役の池田エライザは、原作よりもダークで迫力のある存在として演じているし、原作では粗暴な大男であるはずの木渡を、小柄で虚勢を張ったコメディリリーフとして見事に演じる矢本悠馬など、役者自身の個性を生かしたアレンジが成功している点も見逃せない本作。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

中でも、常に着ぐるみっぽいフードを着ている黄泉月るな(よもづき るな)を演じる三戸なつめの見事な再現度は、正にキャスティングの勝利としか言いようがない。

その現実離れした世界観の中で、普段とは違った役柄を実に楽しそうに演じる豪華出演キャストの競演は必見です!

理由2:今回は劇場版オリジナルのストーリー!

ドラマ版の2シーズンを経て製作された待望の劇場版だけに、今回は原作を離れた完全オリジナルストーリーで展開する本作。

ギャンブルの強さが全ての上下関係を決定し、生徒会が絶大な権力を誇る百花王学園において、“非ギャンブル”“生徒会への不服従”を掲げる反生徒会組織・ヴィレッジを登場させるというアイディアが素晴らしい上に、それだけでは終わらない仕掛けが用意された脚本は、見事としか言いようがない。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

特に、今回の劇場版新キャラクターとして、ギャンブルにおいては無敵の存在と思われた生徒会長・桃喰綺羅莉に唯一勝利した過去を持つ男・村雨天音(むらさめ あまね)を登場させたことで、ラストの最終対決まで作品の緊張感が持続することになるのだ。

こうした「賭ケグルイ」の世界観に疑問を投げかけるような脚本に、後述するヴィレッジの中心人物を演じる二人、宮沢氷魚と福原遥の抜群の演技力が加わることで、劇場版独自の世界が展開する本作。

過去の作品に囚われず、劇場版ならではの新たな挑戦が楽しめる作品なので、是非劇場で!

理由3:福原遥の演技力が凄すぎる!

前期放送のテレビドラマの中でも大きな話題を呼んだ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」。

その中で見せた迫真の演技が未だに記憶に残る、若手演技派女優の福原遥が、遂に浜辺美波と演技で対決する! この夢の顔合わせに期待して、今回劇場に駆けつけたファンの方も多かったのではないだろうか?

本作で彼女が演じるのは、反生徒会組織・ヴィレッジの中心人物である、歩火樹絵里(あるきび じゅえり)。過去に生徒会長にギャンブルで大敗したことで、反生徒会・非ギャンブルを掲げる組織・ヴィレッジに加入し、その中心人物として村雨と行動を共にしているという、どこか影のあるキャラクターだ。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

確かに原作には登場しないオリジナルのキャラクターなので、他の出演キャストの様な「原作のキャラクターに似せる」という制約から離れて演じられるとはいえ、本作で見せる福原遥の存在感や演技の素晴らしさは、明らかに普通の役者とは格が違うと思わせるもの。

何故なら、原作コミックで見せるキャラクターの極端な二面性や、その表情や性格が一瞬で変貌する瞬間を忠実に再現してくれているからだ。

特に、ラストのギャンブル対決で浜辺美波と真っ向から演技で対決しても、一歩も退かないその演技力と迫力には、「これだけで十分に入場料の価値はある!」、そう思わせるだけの魅力に溢れていた。

更に見逃せないのが、無敗の生徒会長に唯一ギャンブルで勝利した、ヴィレッジを率いるリーダー・村雨天音を演じる宮沢氷魚の存在だ。今回が映画初出演とは思えないほど落ち着いた雰囲気を持つ彼は、セリフの少ない寡黙な役柄でありながら、姉の死にまつわる辛い過去を背負った村雨という男を、実に見事に演じている。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

ただ、彼が何故生徒会長に勝利できたのか? 残念ながら本編中でその具体的理由が描かれなかったのには、少々物足りなさを感じた。ラストのギャンブル対決での描写を見る限りでは、彼には生まれつき観察力や絶対的な記憶力が備わっているようなのだが、正直「何でこの人は強いの?」、そう思わずにはいられなかったのも事実。

夢子、村雨、歩火の3人に、ギャンブルのスリルと大金の魅力に囚われた多くの生徒たちと違い、平凡だが正常な価値判断ができる鈴井を加えた4人が対決する最終決戦は、本作最大の見せ場となっているのだが、同時に原作コミックや映像化作品を未見の方には、浜辺美波や福原遥のせっかくの熱演を唐突に感じてしまう危険性があると思われた。

このキャラクターの変貌こそが正に「賭ケグルイ」の魅力なのだが、この部分に乗れるかどうかで作品への評価は大きく変わってきてしまうだろう。

これから劇場での鑑賞を予定している方は、余裕があれば是非原作や映像化作品に少し触れてから鑑賞して頂ければと思う。

最後に

エンドクレジットを観た限りでは、どうやら続編製作の可能性が高いと思われる本作。

ここまで述べてきた様に、出演キャスト陣の見事な演技と、劇場版ならではの”反ギャンブル”という思い切った発想には、これまでの映像化作品や原作コミックから抜け出して、新しい『賭ケグルイ』を見せようという製作側の挑戦が見て取れた。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

ただ待望の劇場版ということで、原作コミックやドラマ版のファンへのサービスのためだろうか、単なる顔見せ的な登場も含めて、生徒会の役員や主要なキャラクターを総登場させてしまった結果、生徒会の面々が過去に夢子とどんな戦いを繰り広げたか、その上で仲間になったり共闘したりしているキャラクターへの説明など、大事な人間関係の交通整理が不十分になってしまった点は否定できない。

そのため、残念ながら原作コミックスや映像化作品を未見の観客には、かなりハードルが高い内容になってしまった感が強く、実際ネットの感想やレビューにも、「世界観がよく分からない」「登場人物の役名が読めない・覚えられない」などの書き込みが予想外に見られたのも事実。

特に重要なのが、主人公である夢子が持つ独特の価値観を理解できるかどうかだ。高額な掛け金や負けた時のリスクによる“緊張感”“スリル”を追い求める夢子にとって、自分からギャンブルに負けようとしたり、途中で勝負を放棄する様な人間をもっとも嫌うことは、原作コミックでの生志摩妄(いきしま みだり)との対決などによく表れている。

この部分を理解していないと、本作での彼女の行動が”単なる人助けをした正義の味方”の様に思えてしまう可能性は、否定できないだろう。

©2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会

更に、2時間の上映時間なのに登場するギャンブルが2つだけ、しかもどちらもカードゲームというのも、観客に物足りなさを感じさせる要因となっている。現在の状況や勝ち負けをセリフでなくビジュアルで観客が理解できるので、カードゲームを選択した点は非常に効果的と思うが、せっかく原作の設定から離れたオリジナルストーリーなのだから、やはり劇場版ならではの危険なギャンブルを見たかった! というのも正直な感想なのだ。

ここまで書いてきた様に、確かに基本設定や人間関係などの面で多少のリテラシーは必要とされる本作だが、鑑賞前にパンフレットを熟読しておけば、その点はかなり軽減されるはず!

原作のコミックスでは、脇役の早乙女芽亜里(さおとめ めあり)を主人公にした「賭ケグルイ双」や、生志摩妄を主人公にした「賭ケグルイ妄」などのスピンオフ作品が登場しているので、今回の『映画 賭ケグルイ』で独特の世界にハマった方は、是非そちらの作品にも触れてみて頂ければと思う。

原作コミックスのあの狂気の表情を再現する、出演キャスト陣の演技が素晴らし過ぎる作品なので、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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