中島健人が放つオーラは、映画をこれでもかと輝かせる!

©2018映画『ニセコイ』製作委員会 ©古味直志/集英社 

もう飽和状態ではないかと大人たちからやいのやいのと揶揄されがちな漫画やアニメを原作とするキラキラ映画ですが、現実はまだまだ10代を中心に支持されながら旺盛に作られ続けています。

実際、それらの中から良作や今後の可能性を期待したくなる逸材を見つけることも多かったりするので、私たちのような職業の輩もキラキラ映画から決して目を離してはいけないと思っています。

これはキラキラ映画に限らずですが、どの映画を見ようかといった自分自身の基準の中には、この監督の作品なら、この俳優が出ているのなら、みたいなものがありまして……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街351》

『ニセコイ』に主演している中島健人も、彼が出ているのなら見てみようと思わせてくれる頼もしき存在なのでした!

相性最悪の高校生男女が
抗争阻止のためにお付き合い?

映画『ニセコイ』は週刊少年ジャンプに2011年から16年まで連載された古味直志による人気コミックの実写映画化です。

日本古来のヤクザ一家・集英組とアメリカからやってきたギャング組織ビーハイブ、双方の対立が激化していく中、抗争を阻止すべく、お互いのリーダーの間である密約がなされました。

それはお互いの子供たちを恋人同士に見せかけて、組織の仲を取り持とうというもの。

しかし集英組の息子・一条楽(中島健人)と、ビーハイブのひとり娘・桐崎千棘(中条あやみ)は性格が真逆で相性も最悪。
(何だかラブコメの王道で、良いですねえ……)

しかも楽は幼い頃に結婚の約束をしたはずの運命の相手を探しているところで、そんな彼にとってキョーレツ女子の千棘と恋人のフリをするなどとは、絶対にムリ!

しかし、二人の恋が偽物=ニセコイだったことが互いの組の面々に知れてしまったら、即抗争勃発!

つきあうも地獄、つきあわないも地獄、そんな日常を過ごさざるを得なくなった若者ふたりの運命やいかに?

まるで『ロミオとジュリエット』の逆パターンにラブコメ変化球を施したようなこの作品、漫画原作であることを大いに意識した誇張的な演出が諸所に盛り込まれていて、これが映画の中だけの虚構のお楽しみワールドであることが好もしく強調されています。

特にギャング側幹部で千棘を溺愛しているクロードに扮するDAIGOは、日ごろやらせてもらえないようなコスプレしまくり、絶対あり得ない銃砲撃ちまくりの一大怪演!

くっだらねー! と思いつつ、そのくだらなさをリズミカルに畳みこんでいきながら、思春期の淡さなどを醸し出していく河合勇人監督(『映画鈴木先生』13や『俺物語‼!』15、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』17などで信頼しています)の方法論は割かし的を射ているようにも思えました。

コンビネーションが醸し出す
映画表現ならではの妙

で、中島健人なのですが、私は『銀の匙 Silver Spoon』(14)以来、彼が主演した『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16)『心が叫びたがってるんだ。』(16)『未成年だけどコドモじゃない』(17)といった彼が主演したキラキラ映画をかなり面白く見ておりまして、特に『心が叫びたがってるんだ。』はあの難しいアニメ映画傑作をよくぞ実写化できたものと感服しているのですが、そういった感想を抱く理由の中に、やはり中島健人の存在感は大きく比重を占めています。

可愛らしいイケメンであることはもちろんですが、その個性をベースに気丈な役から気弱な役まで、微妙なさじ加減で何ら違和感なく演じこなす器量は、もっと評価してしかるべきものがあるでしょう。

本作でもヤクザの息子であることが嫌で嫌で仕方ないけど、どこか熱い血を受け継いでいるという雰囲気が好もしく描出されていますし、一方で幼いころの初恋を今なお引きずっているウブさもファンにはたまらないものがあるのではないでしょうか?

千棘を演じる中条あやみとのコンビネーションも非常に良いものを感じます。

実は私、原作やTVアニメの印象から、彼女の千棘はちょっとイメージが違うのではないかと映画を見る前は思っていたのですが、いざ鑑賞するとその違和感が払拭される好演を示してくれていて、それにはやはり中島健人なる相手役とのコンビネーションによって醸し出す、映画表現ならではの妙というものが働いているようにも思えてなりませんでした。

総じて高校生役の若手俳優陣が好もしく映えているのも本作の長所で、そこをおろそかにしては原作との印象の差異云々以前の問題であり、その意味では本作はこの手の“映画”として最大の課題である若手俳優の存在感を際立たせるという使命を見事に果たしています。
(個人的には楽の初恋の相手かどうか? という小野寺小咲ちゃん役の池間夏海に、自分が今もし高校生でこの子が同じクラスにいたら勉強どころではないと思ってしまいましたが!? また警視総監の娘・橘万里花に扮した島崎遥香も作品の資質を把握したぶっとび怪演で、正直もっと出番が多くても良かったというか、ふと彼女を主演にしたスピンオフを見たいと思わせるほどでした)

ひとりのオーラが周りを巻き込み、作品に多大な貢献を果たす、そんな俳優は確実にいますが、中島健人もそのひとりなのかもしれません。

もう少ししたら大人の役も演じるようになるでしょうが、そのときどんなオーラを発するか、正直、楽しみにしているところではあるのでした。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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