『ラスト・ホールド!』真壁監督から見た「A.B.C-Z」塚田くん&「Snow Man」とは?

5月12日(土)から公開となる『ラスト・ホールド!』。映画初主演となる、アイドルグループ「A.B.C-Z」の塚田僚一さんと、彼の後輩グループにあたる「Snow Man」のメンバーの共演で、廃部寸前のボルダリング部を描いた青春群像劇です。

メガホンを取った真壁幸紀監督に、ボルダリングを題材にアイドルたちと映画をつくった醍醐味や見どころなどを聞きました。

(C)松竹

──今回、ボルダリングを題材にすることで、工夫したり苦労したところは?

真壁幸紀監督(以下、真壁):ボルダリングのことを知らない人が見ても、初見でわかりやすく描くことです。一方で、ボルダリングを本格的にやっている人が見ても納得のいく出来にしなくてはならない。そのさじ加減は意識しました。

このお話をいただいたのは、クランクインの半年くらい前。その時点で塚田僚一くんが主演で、題材がボルダリングということまで決まっていました。僕自身がボルダリングのことをまったく知らなかったので、試合を見に行ったり、実際にやってみたり…というところからのスタートでした。

──試合をご覧になった時の感想は?

真壁:一番インパクトがあったのは音楽。選手が登っている間、大音量でずっと流れているんです。劇中で使用しているようなEDMが流れていて、DJらしき人もいました。そのスタイリッシュな空間がすごく印象に残ったので、映画をつくるうえでその空気感も大切にしたいと思いました。

──ご自身もボルダリングに挑戦されたんですね。

真壁:僕はすごくヘタクソでした(笑)。筋肉があっても登れない。体操選手のようなバランス感覚と体幹が必要とされます。そういった意味でも塚田くんは理想的で、とてもうまかったです。確か経験者だったと思います。もちろんジムの先生についてもらって、クランクイン前の数ヶ月間はトレーニングもしてもらいました。

特に塚田くんと岩本(照)くんはもともとうまいという設定だったので、課題にどんどんチャレンジしてもらって、実際にきちんと登れるようになってもらいました。2人ともすごく上手で、吹き替えなしで撮影できるレベルに早い段階で達しましたが、試合のシーンはかなり難しい課題にチャレンジしてもらうので…。

撮影日まで本当に登れるかどうかわからなくて。そういった意味でドキュメンタリー的な要素もはらんだ作品になったと思います。表情もフィクションではなく、本物です。

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──本作は大学のサークル活動を描いたものでしたが、実際にそういったサークルの方々に取材をされたんでしょうか?

真壁:明治大学がボルダリングに力を入れていて、授業にもボルダリングがあるくらいなんです。その授業を見学したり、サークルの学生に話を聞いたりしました。

──題材がスポーツだと、撮影するうえで大変なことも多そうですが、ハプニングなどはなかったのでしょうか?

真壁:たったの10日間で撮影したので…(笑)。一番恐れていたのは怪我でしたが、撮影期間が短いからこそ集中できて、無事終えることができたんです。なので、ハプニングというようなハプニングもなく、平和に撮影できましたね。

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──キャスト陣のチームワークはいかがでしたか?

真壁:そこは劇中に沿って、塚田くんがリーダーとして引っ張っていってくれました。撮影期間が短いので、毎日が長丁場で、やっぱりスタッフもキャストも疲れが見えてくる。そういう時に彼の明るさにみんなが助けられていました。

──天然キャラの塚田君が引っ張っていくというのは、意外な気もします。

真壁:きっと本来の彼はそういう一面を持っているんだと思いますよ。主演として、みんなをしっかり見ていましたね。

──では、現場のムードメーカーは誰だったんでしょうか?

真壁:おちゃらけるのは深澤(辰哉)くんですね。あとは佐久間(大介)くんも突き抜けて明るいので、現場を盛り上げてくれました。ただ、実際にはしんどい撮影だったと思います。全員吹き替えなしを貫いたので。

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──劇中のキャラクターも本人たちに近いものを感じました。

真壁:一応、全員あてがきをしています。

──逆に塚田くんに関しては、そこまで本人に寄せているイメージはないように感じました。

真壁:僕はアイドル活動をしている彼のことをあまり知らないので…。役者としてのお芝居のイメージだけでいうと、そんなに本人とずれている印象はありませんでしたね。

クランクインの前に彼の過去作品を見ましたが、お芝居にふり幅のある、とてもいい役者だと思いました。主人公の岡島は、もともと喜怒哀楽の激しいキャラクターにしようと思っていたので、彼にピッタリだと思いました。

逆に撮影していくうちに皆さんが彼に抱いているような“コメディアン”としての要素を発見したくらいです。

面白い芸人さんだからといって、芝居としてコメディができるかといったらそれはまた別の話ですよね。塚田くんはお芝居として、きちんとコメディを演じられる。逆に言うとシリアスな芝居もうまいはずなんです。役者として、とてもいい素質を持った青年だと思います。

──河口は、岩本くんのイメージに近い印象でした。

真壁:クランクインの前にお芝居の稽古もしたんです。そのときすでに彼が考えてきている芝居の方向性があったので、その延長線上でやってもらいました。それもあって、等身大で無理のない素直な芝居ができていたと思います。脚本を読み込む力もありますし、表情やせりふの言い回しも自分できちんと考えてきてくれました。

──深澤くんが演じた新井は、津軽弁が印象的でした。

真壁:カメラマンが津軽出身でね(笑)。指導をしてもらいました。深澤くんに関してはとにかくふざけるのがうまいので、それを活かしたキャラクター作りをしました。ただ、根っこの部分はとても真面目な青年ですね。ふだんはおちゃらけてるんだけど、いざという時には岩本くんとツートップで「Snow Man」をまとめあげる。そういうギャップも、新井として劇中で描いたつもりです。

──渡辺翔太くんが演じたのはヤンキーキャラの桃田でしたね。これは意外でした。

真壁:渡辺くんは全然ヤンキーではないのですが、衝動的な一面を持った青年だと思います。天然キャラなのかな? それで細かいことは気にしない、いい意味でアバウトな部分を持ったキャラクターにしました。

僕のイメージというよりは、脚本の川浪ナミヲさんや高見健次さんに聞いた印象で決めました。こちらからのオーダーとしては“考えてるようで考えてないような芝居をしてくれ”と言いました。それがすごくハマっていたと思います。

──宮舘涼太くんの演じた高井戸はツッコミどころ満載で、登場シーンから面白かったです。

真壁:宮舘くんが“面白くしよう”としてないところが面白いんですよ。本当に真面目なので…。芝居も本気でやってるからこそ面白い。あのキャラクターで笑いを取りにいっちゃうとつまらないことになるんですけど、宮舘くんは本気で真面目にせりふを言っている。むしろ、真面目すぎて考え込んでしまうタイプなんですよ。

そんなに深く考えずに僕が発言したことも“どういう意味なんだろう”ってすごく考えてしまうので。“そんな考えなくていいよ!”っていつも言ってました(笑)。気がつくと、彼は現場で眉間にしわが寄っていて(笑)。楽にお芝居をしてもらう事を心がけました。

──佐久間大介くんはダンスサークルにも入っちゃうような、イケイケキャラの桑本でしたね。

真壁:劇中で、桑本にはあるアクシデントが起こるんですが、それは佐久間くんの持つ天性の明るさがあったから、そうしようと思いました。スポーツものでアクシデントが起こると湿っぽくなりがちなんですよ。でも佐久間くんが演じる桑本だったら、逆にそこから勢いがつけられると思いました。つらい気持ちはあるんだけど、それを見せずに明るく振る舞える桑本の強さを、佐久間くんに感じました。

──阿部亮平くんが演じる中道はゲームオタクの役でしたね。

真壁:実は1番難しかったのは中道でした。稽古でも1番話し合いましたね。キャラクターが7人もいると、どこかしら要素がかぶってきてしまう。

今回はあてがきも入っているので、もともと彼らを知っている人はすんなり受け入れられたと思いますが、初見の人はまず誰が誰かっていうキャラクターの見分けから入らないといけない。それを7人分色濃く出すって結構大変なことなんですよ。

それで細かい芝居のニュアンスもつけていて、中道に関してはわざとセリフを棒読みっぽくしています。阿部くんと意見交換をする中で生まれたアイデアです。一緒にキャラクター作りができて面白かったですね。一番意識したのはマイペースぶりを発揮すること。それは阿部くんにもある要素かもしれないですね。

(C)松竹

──では最後に、監督が本作で描く“ボルダリングの魅力”とは?

真壁:ボルダリングって自分との戦いなんですよ。もちろん試合では順位もつけられるし、戦う相手がいるわけだけど、最終的には自分と向き合うスポーツ。そういう意味では自分の成長がもっとも感じやすいスポーツなのかもしれない。

ボルダリングをやっている人はもちろん、ちょっと興味があるけど…くらいの人たちにもぜひ見ていただきたいですね! 尺も90分で短めに設定してますので(笑)、サクッと気楽に見ていただいて、ボルダリングへの入り口になったらうれしいですね!

映画『ラスト・ホールド!』は5月12日(土)より、全国ロードショーです。

真壁幸紀(まかべ・ゆきのり)

1984年生まれ。2007年、株式会社ROBOT入社。『踊る大捜査線』『ALWAYS 三丁目の夕日』などの作品で監督助手を務めた後、ディレクターデビュー。2015年『ボクは坊さん。』で、長編映画監督デビュー。2017年、東京都と国際短編映画祭SSFFの共同制作ショートフィルム『HOME AWAY FROM HOME』を発表。

(撮影:大谷和美、文:倉光亜希)

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    映画好きのライターです。ジャンルは洋画邦画問わず、ロードショーもの、単館系、ホラー、恋愛、友情、アクション、ファンタジー、アニメ、何でも見ます! お気に入りの映画は『仮面の男』『モンド』『バーレスク』『パーマネントのばら』『飛ぶ教室』『鑑定士と顔のない依頼人』『パンズラビリンス』『女の子ものがたり』『イノセント・ガーデン』『母なる証明』『王の男』『私が、生きる肌』などなど…最近だと『五日物語』が面白かったです!

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