『リンキング・ラブ』ソフト化記念!AKB48田野優花×金子修介監督対談

(C)2017 AiiA Corporation

2017年の現代から1991年の過去にタイムスリップしてしまった女の子・美唯が、そこで何と若き日の母親たちとともにアイドル・ユニットを結成し、AKB48ナンバーを歌う!

AKB48田野優花主演のSFアイドル映画として前代未聞のぶっとんだ楽しさ&面白さはもちろんのこと、その中からアイドル文化風俗史やバブル崩壊直後の日本まで見据えた社会風刺劇としても秀逸な傑作として、昨年話題を集めた金子修介監督作品『リンキング・ラブ』が4月4日にキングレコードよりDVD&Blu-ray発売されます。

http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIBF-1572/

また、3月18日(日)には東京・渋谷HUMAXシネマにてトークショーつきのイベント上映を開催!

http://humax-cinema.co.jp/cinema/shibuya/index.html#linking-love0221

ということで……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.295》

今回はそれらを記念して、金子監督と主演の田野さんに作品の思い出などお話をうかがってきました!

主演のオファーを受けて
最初はドッキリだと思ってた!?

田野 監督、お久しぶりです!

金子 昨年の秋に映画が公開されたときの舞台挨拶以来かな。その後僕は中国に行ってずっと撮影してたから、ホント久しぶりです。ちょうど1年前の1月には、この映画の撮影やってたんだものね。

田野 そうでした。ちょうど20歳になる直前の時期でしたので、すごく記念にもなりました。

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──田野さんはこの作品が映画初出演にして初主演でしたが、オファーがあったときの印象などはいかがだったのですか?

田野 実はこの企画自体がドッキリだと思ってました(笑)。自分が映画の主演なんて考えたこともなかったし、もちろんいつかは映画をやってみたいとは思っていましたけど、まさかこんなに早く、しかも主演だなんて、AKB48はヴァラエティ番組もやってますから「これって、もしかしてドッキリ……?」って、そんな考え方しか最初はできなかったですね(笑)。

金子 こういった打ち合わせの席みたいなところで聞かされたの?

田野 いえ、全然(笑)。何だかポロっと言われた感じでした。ですから、いつネタばらしされるのかなって。

金子 じゃあ、僕らとの顔合わせのときも?

田野 実はちょっと不安でした(笑)。また、このお話を信じられるようになってからは、「この子は違うな」とか監督に思われてメンバーチェンジされちゃうんじゃないかって、だんだん不安になってきたりして……。

金子 それはありえないよ(笑)。だってこの企画を受けてAKB48のメンバーをチェックしていく中で、田野ちゃんが美唯に一番ぴったりというか、面白いんじゃないかと僕は思ったんだから。宮本亜門さんの舞台に抜擢されてもいたしね。だからまず田野ちゃん主演ってところから始まって、それ以外の女の子たちはオーディションで選んでいったんです。

田野 同期の友人も実はオーディション受けてたって、後で聞かされてびっくりしました。で、そのときは《ヘビーローテーション》を踊らされたって(笑)。

金子 そうだったかな? 一応全員に《恋するフォーチュンクッキー》はやってもらったんですけどね。ただ、あれは誰でも踊れる曲だから、あまり参考にならなかった(笑)。

田野 もともと《フォーチュン》はみんなが誰でも楽しく踊れるように作られた曲ですからね。

金子 歌って踊れて芝居もできる子を選びたかったからね。でも、結果として選んだ子たちはみんなよかった。

田野 映画の中でAKB48ナンバーを、いつものメンバーではなく石橋杏奈さんをはじめとする女優さんたちと一緒に歌って踊るというのも、すごく新鮮で刺激的な体験でした。私は途中からダンスレッスンに参加させていただいたんですけど、もうみなさん既に完コピできてたから、もうびっくりしちゃって。しかも女優さんだから表現力も豊かだし、改めてすごいなと思いましたね。また「ここはもっとこうしたほうがいい」みたいな意見もみんなで出し合えたのもよかったです。

金子 クライマックスのライヴ・シーンでは基本3台のキャメラに加えて、ブレのない画を撮れるステディカムをコンパクトにしたオズモなども使いながら撮影しました。

田野 手持ちのすごく小さくて可愛いやつもありましたよね。私、感動しました。

金子 こんなんで写るのかなって思ってたとか?

田野 いやいやいや(笑)

金子 でも時々調子が悪いときはあって、撮影の釘宮慎治さんは困ってた(笑)。

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シンプルすぎて難しかった
1991年当時の振り付け

──現役アイドルでもある田野さんから見て、1991年のアイドル事情など、どう映りました?

金子 劇中でも実際、当時の振り付けで踊るところがあったしね。

田野 正直、こんなに振り付け簡単なんだって(笑)。でも逆にシンプルすぎて覚えづらいというか頭に入ってこないというか、簡単そうなものって実は難しいんだなってことがよくわかりました。

金子 実際、こちらもどういった動きにするか、撮影するまでなかなか決められなかったですね。その前の動きのパターンなどをいろいろ見比べながらやっていくしかなかった。僕らはまったく振りのない時代からアイドルを見てきているんだけど(笑)、今回おばあちゃん役で出演してもらった浅田美代子さんも、そんな70年代アイドルの代表ですね。90年代にしてもあの頃の振りってタメがないし、そもそも意味もなくて、でもそこが可愛かったりする(笑)。

田野 でもピンクレディーは昔踊ったことありますよ(笑)。今のアイドルが昔のアイドルの曲を歌うって、AKB48でもときどきやってますので。

金子 そういえば田野ちゃんは子どものころからダンサーになりたかったんでしょう?

田野 そうです。小さいころからダンサーとか、ダンス教室を開くとか、ダンスに携わることをしたいなってずっと思ってたんです。もともとは仲の良かった友達がダンス体験教室みたいなのに行くから一緒についてったら、そこで結構うまく踊れちゃって(笑)。親からもセンスあるんじゃない? なんて言われて、自分でもどんどん楽しくなってったんです。

金子 運動神経は良いほうなんだっけ?

田野 良いほうです。そこはお父さん譲りですね。ただ、運動神経とダンス神経とでもいうのか、それは全然別ものというか、かなり違いますね。ダンスはセンスだと思います。

金子 そういえば満島ひかりも昔アイドルユニットで踊ってたけど、運動は全然ダメだって本人が言ってたなあ。

田野 私もスポーツは陸上競技なら得意ですけど、球技はバレーボールくらいしかできないんですよ。

金子 最初いただいた田野ちゃんの資料には「腹筋が割れている」って書いてあった(笑)。

田野 いや、あれは部活動とダンスのレッスンを同時にやり続けてたら、いつのまにかインナーマッスルが(笑)。

金子 バレーボールは背が高くないと不利だから、小柄な田野ちゃんは大変だったんじゃないの?

田野 でもアタッカーやってました!(笑)。ジャンプ力があったんですよ。

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1本のミュージカル舞台を見て
芝居の楽しさに目覚めました

──田野さんは演技の面白さに目覚めたのはいつ頃ですか?

田野 お芝居は『イン・ザ・ハイツ』(14)という、AKB48の先輩・梅田彩佳さんが出演されてたミュージカルを見に行って、そこからですね。実はそれまで私はお芝居が嫌いというか苦手というか、セリフも全然覚えられないし、「どうして覚えなきゃいけないの!」ってタイプだったんですよ。でも、その舞台は歌も踊りも素晴らしくて、キラキラした世界が頭から離れなくなってしまって、そのうちお芝居そのものに興味を持ち始めるようになって舞台や映画などを積極的に見るようになりました。金子監督の作品は『生贄のジレンマ』(13)を見てました。

金子 いきなりハードなものから入ったな(笑)。

田野(笑)

金子『生贄のジレンマ』のとき、清野菜名はもともとロングヘアだったんだけど、どこか重いイメージになりがちだったのでショートにしてもらったら、その後どんどんオーディションに受かるようになったって(笑)。あと最初の頃は彼女の演技が硬かったので、上手くいっているところだけを編集で繋いだものを見せて、勉強してもらったりもしました。でも今回、田野ちゃんは全然そういう必要がないくらい、最初から間の取り方とか芝居の基本みたいなものができてたから、逆になぜだ? と考えてしまったくらいで(笑)、とにかく僕は面白かった。

田野 えー、すごく嬉しいです。

金子 でも舞台の経験はあったわけだけど、初めての映画の現場ってどうだった?

田野 実は毎朝緊張してました。現場に行くときの車の中で、いつもおなかが痛くて……。でもいざ現場ではそれが顔に出ないよう努めてました。

金子 緊張してるのはこちらもわかっていたし、特に最初の頃はじっと様子をうかがっている感じだったかな。

田野 もうメチャ様子うかがってました(笑)。というか、ここで自分が何かするなんて立場じゃないなって恐縮しまくってたんですよ。普段メンバーと一緒のときはぶっ飛んでることが多いんですけど(笑)、このときは共演者の方々も豪華すぎるし、私はここでちゃんと芝居をしなきゃいけないんだ、調子に乗ってはいけないんだと。ただし共演者の中で古橋舞悠ちゃんが私と多分同じタイプだったのか、彼女と一緒にいるときはテンション高かったかな(笑)。

金子 そもそも田野ちゃんを選ぶとき、彼女がふざけている動画を見て、あまりカッコつけない子だなと思ったので、これは美唯にぴったりだと。あと彼女が「ヤバイ」って言って、樋井明日香が「ヤバイって何?」って怒る一連のくだりがあるでしょう。あそこの田野ちゃんの目が本当に怖がってるのね(笑)。

田野(笑)

金子 新人の女優さんが、あそこまで本当に怖がってる感情を出せるのって面白いなと思った。でもそういったものって、きっとAKB48での日頃の活動や舞台などで培われたものなんだろうなと。

田野 そんな恐れている目とか、全然自分は意識してなかったんですけど、こうやればそれっぽく見えるかなという意識もなかったです。舞台だとそれもありかもしれませんけど、映像だと嘘っぽくなるような気もして……。またそういうのって相手の役の方あってこそだと思いますし、「ヤバイ」のところも樋井さんだからやりやすかったし、自然に演じられたんだと思いますね。

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達成感と寂しい気持ち、そして
感謝の気持ちで迎えたクランクアップ

──1991年当時を知る世代から見て、この映画は全く違和感なく時代が再現されていますが、そこに現代から来た美唯が元気印のストレンジャーとして立ち回っていく。でも、そのこと自体を本人が意識していないのもよかったのかもしれませんね。

田野 私自身バブル時代のこととか全然知らなかったんですけど、今回は役柄的にも特に何かを調べるということはせず、要するにあの時代のことを何も知らないまま演じたほうがいいとは思ってました。

金子 アイドル研究部に貼ってある過去のアイドルやアニメのポスターとか見てどう思った?

田野 何か可愛かったです(笑)。もともとああいうレトロな感じ、大好きなんですよ。

金子 レトロか……(笑)。

──では、さまざまな緊張やプレッシャーなどを乗り越えて、クランクアップしたときの感慨はいかがでした?

田野 よく覚えています。お父さん役の渡辺徹さんとご一緒のシーンだったのですが、あのときは達成感みたいな気持ちと何だか寂しいという想いと……。でも、やはりほんとに感謝というか、ありがとうございました! という気持ちでいっぱいでした。

金子 渡辺さんも80年代アイドルのひとりだからね。実際、当時の渡辺さんと今回若き日の彼を演じた白洲迅君って似てるんですよ。

田野 渡辺さんとの芝居もすごくやりやすかったです。今振り返ると「もっとここをこうできたのに」というのはいっぱいありますけど、その瞬間瞬間全力を注いでたのは間違いないし、まだまだ力不足な分これからも頑張っていかなきゃと思います。

──では最後に、みなさんの近況やこれからの活動などを。

田野 2016年のエピソード0から始まったオリジナルミュージカル・シリーズ第3弾『THE CIRCUS!―エピソード2Separation―』に出演します。東京公演は6月17日(日)から7月1日(日)までよみうり大手町ホールでやらせていただきますので、ぜひご覧ください。

□詳細は以下
http://www.thecircus.jp/

金子 僕は昨年の秋から今年の1月まで中国映画『シベリア風雲』を撮影していました。シベリアを舞台に中国移民とロシアン・マフィアが対決するという任侠映画みたいな内容で、これがようやくクランクアップして帰国してきたところですが、その間『リンキング・ラブ』や同時期に公開されていた『こいのわ 婚活クルージング』のPRにあまり参加することができなかったので、その分今度の上映会や4月のDVD&Blu-ray発売のPRに邁進したいと思っています。まずは3月18日の渋谷HUMAXシネマ上映会にぜひお越しください。田野ちゃんをはじめとするキャストのトークショーもありますのでお楽しみに!

プロフィール

田野優花(たの・ゆうか)

1997年3月7日、東京都生まれ。2011年、AKB48第12期研究生オーディションに合格し、現在はチームKに在籍。“たのちゃん”の愛称でファンに親しまれながら活動中。宮本亜門演出のミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』(14)の主役に選ばれて以降、舞台での活動も旺盛である。『リンキング・ラブ』は映画デビュー作にして初主演映画となった。6月から新作舞台ミュージカル『THE CIRCUS!―エピソード2Separation―』に出演。

金子修介(かねこ・しゅうすけ)

1955年6月8日、東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、78年に日活に入社。84年『宇能鴻一郎の濡れて打つ』で監督デビューし、同年度の横浜映画祭新人監督賞を受賞。その後フリーとなり『1999年の夏休み』(88/横浜映画祭監督賞)『ガメラ・大怪獣空中決戦』(95/ブルーリボン監督賞)など話題作を手掛ける。『デスノート』前後編(06/ブリュッセル映画祭観客賞)は香港、韓国でも大ヒットし、アメリカでも公開された。現在中国映画『シベリア風雲』の撮影を終えたばかり。


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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