傑作『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL 』こそ全ライダーファンへの最高のプレゼント!

仮面ライダー劇場版の中でも、歴代の平成レジェンド・ライダーが夢の競演を果たす「平成ジェネレーションシリーズ」。そのファイナルとなる『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』が、12月9日より遂に全国公開された。



「ビルド&エグゼイド」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映


実は過去の類似シリーズ作品への欲求不満から、今回は年明けを待っての鑑賞か、DVDソフト化を待とうと思っていた本作。だが、ネット上のあまりの高評価と観客の興奮振りに、「おお、これは期待できるかも!」と急遽月曜日の夜9時からの回で鑑賞に臨むことに。

入り口で特典のカードもちゃんと頂いて、期待3割の不安7割で観た本作の内容と出来は、果たしてどうだったのか?

ストーリー




「ビルド&エグゼイド」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映




スカイウォールという巨大な壁で三つに分断された仮面ライダービルドの世界に、仮面ライダーエグゼイドの敵であるバグスターが出現!
存在しないはずの敵がなぜこの世界に…? 正体不明の敵に為す術なくその場に崩れる戦兎の眼前には、体の半分がメカに覆われた奇怪な人物が佇んでいた。

科学者を名乗るその男が巨大なマシンを起動させると、上空に突如として逆さになった世界が出現した。一方、エグゼイドの世界でも同じ現象が勃発。スカイウォールのある世界が、地上へ刻一刻と迫りくる。

二つの世界が激突するまでに残された時間は、わずか24時間。消滅へのカウントダウンが始まった。 未曾有の危機に直面した人類を救えるのは—— そう、“あの”戦士たちだけ。(公式サイトより)


予告編


とにかく、あのシーンやあの設定が、意外な展開へと繋がる脚本が見事!!


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映画の冒頭で登場するのが、意外にも8月に劇場公開された『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』に、ビルドが顔見せ的に特別出演したシーン。

ライダーファンならお馴染みの、次に放送される新ライダーが一足早く劇場版でお披露目するという、あの設定だ。当然自分も劇場で観た時に、「あ、これが次のライダーなんだ」程度にスルーしていた、このシーン。

実はこのシーンに意外な真相が隠されていたことが、本作で初めて明かされる!しかも今回の劇場版への重要な伏線となっていた上に、今後のビルドのテレビシリーズへの重要なヒントが隠されていたとは!

この冒頭部分でもうお分かりの様に、とにかく本作への脚本の練り混み・着眼点や発想が素晴らしく、「今回の劇場版は違う!」と思わせるに十分なのだ。

しかもそれでいて、普遍的なテーマである「仮面ライダーとは何か?何のために戦うのか?」が、しっかりと描かれているのが素晴らしい!更に今回、ビルドでは無く相棒の万丈龍我にスポットを当て、同じくエグゼイドに登場するパラドと対比させる手法が実に見事!

思い返せば、自身の無実を証明するためと恋人の復讐のために戦って来た万丈が、ついに仮面ライダークローズとなったものの、自身の中に戦う理由が見いだせず、ビルドの様には戦えないことに後ろめたさを感じて悩んでいることは、テレビシリーズでも繰り返し描かれていた。だがこの劇場版において、遂に彼は自身が仮面ライダーとして戦うべき理由を見い出すことになる。

誰のために、そして何のために万丈は戦うと決心したのか? それは是非劇場でご確認を!

第32話「新グリードと空白と無敵のコンボ」



本作での見せ場は数多いのだが、後述するアンクの復活と並んで、我々観客の心に響くシーンがある。

それは、各平成レジェンドライダーたちの登場シーンだ。

過去のシリーズ作品の様に、ラストの戦闘シーンに変身後の姿で揃って突然現れて、ただ戦うだけで終了…。そんな展開に毎回ガッカリさせられてきた観客の皆さん、今回は大丈夫!

今回のレジェンドライダーたち、実はそんな安易な登場の仕方はしないのだ。

人々が、そして仲間が最大の危機に陥った時、レジェンドライダーが一人ずつ変身前の姿で現れて窮地を救う。その登場が繰り返し積み重なって、遂に勢揃いし最終決戦へと向かうこの盛り上げ方!

特に仮面ライダーオーズこと火野映司の登場シーンは、もうこれ以上無い程に「大正解」のシチュエーションとセリフが用意されている上に、「仮面ライダーキバ」のあの名シーンの再現にもなっているという凝り方が見事。

更に、この登場シーンが後のアンク復活シーンに繋がり、しかもそれがオーズ最終回のあの感動のシーンのリバースになっているとは!

そうなのだ、テレビから消えた今も平成ライダーたちはきっとどこかで戦っていて、人間の姿で我々のそばにいて見守ってくれている。そして、絶体絶命の危機には必ず現れて助けてくれる、これこそが仮面ライダーの存在理由なのだ!と我々に教えてくれる本作が、観客の高評価を受けているのは、もはや当然と言えるだろう。

ここまで過去の平成シリーズのツボを押さえた脚本で撮られた映画なら、今回の興業ランキング初登場1位も納得出来ると言うもの。

過去のシリーズ作品へのイメージから、劇場での鑑賞を迷っている貴方、何も迷うことなく今すぐ劇場へ!

「お帰り、アンク!」それこそは我々観客の心の声だ!


最終話「明日のメダルとパンツと掴む腕」



全国のライダーファンが今回の劇場版に賛辞を送り、興奮して劇場に詰めかけている大きな理由、それはタイトルにも書いた通り、「仮面ライダーオーズ」のアンクが遂に復活する!という展開のため。

しかも演じた三浦涼介が出演するというニュースに、ファンの期待は最高潮! そう、Wの二人とオーズのこの二人の姿を再びスクリーンで観ることこそ、全平成ライダーファンにとっての悲願だったからだ。

実は今年、Wの二人はマンガ雑誌の表紙で再び揃って登場したのだが、更にオーズの名コンビまでもが同じ年にスクリーンで元気な姿を見せてくれるという、このサプライズ!

前述した通り本作でのアンク復活シーンは、テレビ版の最終回の名シーンをアンクと映司の立場を逆転させて再現するという、ファンにとっては正に「眼福」としか言い様のない展開を見せる。

第20話「囮と資格と炎のコンボ」



そこから見せる映司とアンクの見事なチームワーク! そして、余りに大量過ぎる敵を倒すために、アンクが選んだある方法とは?

このシーンは観客も、「そうか、確かにアンクならそう行動するよな」と納得するしかない見事な脚本であり、本作で延々と描かれる「仮面ライダーが払う自己犠牲の理由と意味」を象徴する名シーンでもある。

今回登場する平成レジェンドライダーたちが、いったい何を思い何のために過酷な戦いを続けているのか? それが各人の口から語られるその瞬間こそが、我々観客への最高のクリスマスプレゼントとなっているので、ここは是非劇場で!

最後に




「ビルド&エグゼイド」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映



本作がこれほどヒットしていて、観客の評価・満足度も高い理由。それはここまで述べて来た通り、本作が長年平成ライダーシリーズ(具体的にはW以降)を見続けてきた全てのファンにとって、最高のクリスマスプレゼントとなっているから!

正直、歴代ライダーが顔見せ的に大量出演して戦うだけが見せ場の過去作に何度も裏切られてきたファンが、今回自分たちの見たかった物を遂に見た! そんな喜びと想いに、次々と感想やレビューをネットに拡散。

それを見て更にファンが劇場に足を運ぶという、観客の口コミの凄さが証明された結果。それこそが本作が土日2日間(12月9〜10日)の全国映画動員ランキングで、初登場1位を飾った最大の理由なのだ。

ただ、もちろん問題点や疑問が無い訳ではなく、その多くは敵側の設定や描写に依るところが大きい。

相変わらず、メダルや敵の復活への便利な理由付け程度に使われる「財団X」や、結局何がしたいのか、なぜ二人いるのか今一不明な悪役など。ヒーローたちの濃密なドラマ性と盛り上がりに対して、この部分は正直かなり足を引っ張っていると言わざるをえないのが残念。



「ビルド&エグゼイド」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映



だが、決して公開前話題になった福士蒼汰の出演だけが見所では無い、現在放送中の「仮面ライダービルド」を見る上でも、今後の展開やビルドの正体への重要なヒントが込められた、この『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL』!

今まで平成ライダーを見たことの無い方も、逆にここからオーズやフォーゼなどの過去作へと戻って観ても全然大丈夫なので、まずは劇場へ!

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(文:滝口アキラ)

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