絶好調な竹中直人!特集上映にバースディ・ライヴと、還暦を過ぎても「少々おむづかりのご様子」!?

俳優、映画監督、コメディアン、さらにはミュージシャンに絵本作家、カメラマン、エッセイストなどなどマルチな活動を続ける異能の才人・竹中直人。

昨年還暦を迎えた彼ですが、その活動はますます勢いづくばかりで、今年3月20日、61歳の誕生日を目前に控えて……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.214》

映画上映にライヴと、さまざまな催しが開催されるのでした!

目黒シネマにて特集上映、下北沢にてライヴ開催!

まずは3月18日から24日まで、東京の名画座・目黒シネマにて俳優竹中直人特集が開催されます。

18日(土)~19日(日)

『くちづけ』(13/堤幸彦監督)

©2013「くちづけ」製作委員会

『僕らのワンダフルデイズ』(09/星田良子監督)

©2009 『僕らのワンダフルデイズ』フィルムパートナーズ

20日(月)~22日(水)

『ヌードの夜』(93/石井隆監督)

『共犯者』(99/きうちかずひろ監督)

©東映・東映ビデオ・東北新社

23日(木)~24日(金)

『三文役者』(00/新藤兼人監督)

©近代映画協会

『恋に唄えば♪』(02/金子修介監督)

©2002「恋に唄えば♪.」製作委員会

※上映スケジュールやトーク・イベントなどの詳細は、ホームページまで。
http://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/

昨今の都内の名画座はそれぞれ独自の路線を打ち出しながら映画ファンに向けてのサービスを怠ることなく、新旧の映画ファンの動員に腐心し続けており、その努力と躍進には大いに目を見張らされものがありますが、目黒シネマも市川準監督や大林宣彦監督などユニークな特集を定期的に開催し、また場内には上映作品に合わせた手作りのポップが華麗に飾られ、時にはスタッフがコスプレしてお出迎えすることもあるという、実に挑戦的な名画座であります。

実はこの目黒シネマにて昨年竹中直人監督特集が催され、彼がこれまで監督してきた7作品が一挙上映されて好評を博したことから、今回はその第2弾として、俳優としての主演映画特集のプログラムを組んでみたという次第です。
(実はこの特集の前日までは周防正行監督、竹中直人出演の『シコふんじゃった。』と『Shall we ダンス?』が35ミリ・フィルム上映され、その初日には周防×竹中トークイベントも開催。こちらも大盛況でした)

今回は父と娘の実話を基にした感動作『くちづけ』以外はすべて35ミリ・フィルム上映。

余命半年のサラリーマンがバンドを結成する音楽映画『僕らのワンダフルデイズ』や、竹中ハードボイルド映画の筆頭であり、後に続編も作られた石井隆監督の傑作『ヌードの夜』と、東映Vシネマの隠れた傑作『カルロス』から発展したきうちかずひろ監督の『共犯者』は、現在見られる機会が少ない貴重な上映といえるでしょう。

昭和の日本映画界を代表するバイプレイヤー殿山泰司の生きざまを、竹中が外見の物真似と内面の精神性、双方の魅力で見事に体現しきった名匠・新藤兼人監督の『三文役者』、かたや当時人気若手だった優香と玉山鉄二を相手にコメディアン竹中直人の才能が爆発する金子修介監督のミュージカル・ラブコメディ『恋に唄えば♪』のおバカな楽しさは『ラ・ラ・ランド』に負けてない⁉

また3月20日、竹中直人の61歳の誕生日を記念してのバースディ・ライヴ「とうとう61になっちまった!どうする直人?!の小さなLive」《NAOTO TAKENAKA LIVE 2017》が開催されます。

●日時:3月20日(月)16:15開場/17:00開演
●場所:東京・下北沢GARDEN
●料金:¥3500(税込み/1ドリンク別)
※全自由・未就学児童入場不可(小学生以上有料)

竹中直人の低音の声の響きを活かした魅力は、松田優作などの声真似のみならず、歌の方面でも若き時代から発揮され続けてきましたが、ここでは長年培ってきた年輪も加味された男の渋みなどもとくと味わえること必至。
(でも歌の合間のトークは、おそらくは「少々おむづかりのご様子」で、観客たるこちらをほっこりさせてくれることでしょう)

やっぱり「映画」!これこそ竹中直人の原点!

そもそも竹中直人(1956年3月20日生まれ。神奈川県出身)は幼いころからの大の映画好きが昂じて、多摩美術大学時代は自主映画制作に邁進し、卒業後は劇団青年座在籍と前後してさまざまな素人お笑い番組に参加し、83年『ザ・テレビ演芸』でグランドチャンピオンとなって一躍コメディアンとしてブレイク。

「笑いながら怒る人」や「ショスタコビッチ一郎太」「ナンの男」といった特異キャラはもとより、松田優作や松本清張、ブルース・リーに加山雄三、丹波哲郎などの物真似、さらには感情を込めた“あいうえお”などが、お茶の間で人気となりました。

また89年から90年にかけて放送されたTBS「東京イエローページ」は80年代を代表する深夜コメディ番組として今なおお笑いファンの間では伝説的に語られています(この路線は後に94~95年「竹中直人の恋のバカンス」、97年に「デカメロン」と継続され、それぞれカルト的人気を博しました)。

映画デビューは84年。滝田洋二郎や森崎東、五社英雄ら錚々たる監督たちの現場で着実にその存在感を露にしていき、コメディアンだけではなく俳優としての才能を開花。どんな小さな役でも映画の現場にいられれば幸せ!といった面持ちで意欲的に出演を続けていきます。

そして「そうだ。自分が監督になれば、最初から最後まで現場にいられるんだ!」ってことで、ついに91年に念願の初監督を果たした『無能の人』がヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。一躍映画監督としても注目されるようになり、その後も『119』(94)や『東京日和』(97)『連弾』(01)『サヨナラCOLOR』(05)『山形スクリーム』(09)『自縄自縛の私』(13)と、コンスタントに監督作品を発表し続けています。

92年の『シコふんじゃった。』などでは日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。また『天使のはらわた 赤い眩暈』(88)以降、石井隆監督作品になくてはならない存在となり、竹中直人の発案でハードボイルド映画の傑作『GONIN』(95)が誕生したのも有名な話です。

舞台出演も旺盛で、90年に青年座を退団した後も劇作家の岩松了とともに「竹中直人の会」を立ち上げたのを皮切りに、現在まで定期的に演劇活動を行っています。

そんな竹中直人が大きく飛躍したのが1996年。まずは前年の『EAST MEETS WEST』などで
キネマ旬報助演男優賞を年の初めにいただき、また同時期に公開された『Shall we ダンス?』でその年の日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。

そして何といっても1996年はNHK大河ドラマ「秀吉」主役に抜擢された年でもあり、その型破りな秀吉像が大いに話題を集めると共に、国民的人気を得ました。

キネマ旬報で連載されたシネマ・エッセイ「少々おむづかりのご様子」はキネマ旬報読者賞を受賞。2006年には「おぢさんの小さな旅?」で絵本にも挑戦、カメラマンとして写真を発表したこともあり、さすが多摩美出身だけあってアーティスティックな活動に怠りはありません。

声の仕事も押井守監督の劇場用アニメ映画の傑作『機動警察パトレイバー2the movie』(93)荒川役や『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(09)金獅子のシキ役など、その熱演が語り草となるものが多く、洋画の吹き替えでも『バットマンフォーエヴァー』(95)のブルース・ウェイン役や、最近では『アベンジャーズ』シリーズのニック役サミュエル・L・ジャクソンの声も定着してきました(私自身は80年代にゴールデン洋画劇場で放送されたディズニー映画幻のSF超大作『ブラックホール』79のおんぼろロボットB.O.B.の声が、実は大のお気に入り)。

またラジオ・パーソナリティとしても、TBSラジオ「竹中直人~月夜の蟹」(ナイター・オフ・シーズンの毎週月曜20時~)はその前番組「竹中直人のハードボイルド・ソーセージ」から連なる長寿番組として多くのリスナーに親しまれています。

こういった多彩な活動を続けつつも、本人の原点はやはり映画。昨年、還暦を記念してNHK出版から自伝的エッセイ新書「役者は下手なほうがいい」を刊行しましたが、その中身もやはり映画愛に満ち満ちたものでした。

役者は下手なほうがいい (NHK出版新書)

今年も4月19日には6年ぶりのニューアルバム「ママとカントリービール」をリリース(3月22日よりiTuneより先行配信)するなど、俄然意欲を示し続けている竹中直人。その原点たる彼の映画俳優としての世界を、目黒シネマにて改めて体験してみるのはいかがでしょうか?

(文:増當竜也)

    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。


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