帰ってきたのはジャックだけじゃない!パイレーツ新作は感動の大傑作だ!

■「映画音楽の世界」

パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 日本版ポスター

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みなさん、こんにちは。

キャプテン・ジャック・スパロウが帰ってくる。そう聞いただけでいつも以上に「夏が来た!」という印象が強くなるのは筆者だけでしょうか。前作から6年、いよいよ最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』の登場です。

軽妙なキャラクター、大海原を行く冒険譚、魅惑のストーリー、胸躍らせる音楽…。「海賊映画」というジャンルを見事に復活させた大ヒットシリーズも、2003年に記念すべき第1作『パイレーツ・オブ・カリビアン / 呪われた海賊たち』が公開されてから14年。シリーズも5作品目となりました。新たな監督を迎えてなお変わらない魅力を発し続け、観客からも新作を求められるシリーズとして世界歴代興収ランキングにも食い込むほどの人気を誇っています。

今回の「映画音楽の世界」では、そんな『パイレーツ・オブ・カリビアン / 最後の海賊』を紹介したいと思います。

帰ってきたのはジャック・スパロウだけじゃない!

パイレーツ・オブ・カリビアン / 最後の海賊 オリジナル・サウンドトラック

前作「生命の泉」では、監督に『シカゴ』『イントゥ・ザ・ウッズ』などミュージカル映画を得意とするロブ・マーシャルを起用するというジェリー・ブラッカイマーらしいサプライズがありましたが、本作の監督に抜擢されたのはヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリのノルウェー人監督コンビ。2人はゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞で外国語作品賞にノミネートされた海洋アドベンチャー『コン・ティキ』で一気に評価を高めた監督なので、大海原の冒険を映像に収めた2人ならファンも納得の人選ではないでしょうか。

そんな本作、シリーズ最新作ということに加えて話題となっているのがオーランド・ブルーム=ウィル・ターナーのシリーズ復帰です。

ウィルは第3作「ワールド・エンド」で命と引き換えにフライング・ダッチ号の船長として10年に1度しか陸に上がれない呪われた体となりました。第4作にその姿はありませんでしたが、本作ではウィルとエリザベスの息子、ヘンリー・ターナーが登場し父にかけられた呪いを解こうとジャック・スパロウに協力を仰ぎます。そのため本作でのウィルの存在も重要な位置を占めるので、単独作品とはいえ出来れば旧シリーズで第3作の「ワールド・エンド」をチェック、見直しをしておくのがいいかも知れません。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』より

本作の公開が「ワールド・エンド」から“ちょうど10年後”というのも偶然ではないのかも? 本作の悪役サラザールは「ジャックが最も恐れる」人物として描かれていますが、実は本作のウェイトはジャック対サラザールよりも、ヘンリーの視点に立ったほうが物語を俯瞰しやすくなっています。さらにバルボッサについてもシリーズ全作を通して本作での立ち位置が重要になってくるので、その点に関してもストーリーをじっくりと追ってほしいところ。

ジャックの存在感が薄れているような書き方になってしまいましたが、もちろんジャックに関しても、予告編から分かる通り今まで描かれることのなかった若き日のジャック・スパロウが描かれている点に注目。

「ジャック・スパロウという船長がいかにして誕生したのか」、つまりエピソード0的なストーリーも描かれています。そして若き日のジャックとも関りを持つ因縁の敵・サラザールに『ノー・カントリー』や『スカイフォール 007』での悪役が印象的なハビエル・バルデムが演じているのも大きなトピックス。本作は主要キャラそれぞれがなにがしかのエピソードを有しているので(天文学者カリーナを演じる新星カヤ・スコデラリオ含め)、見どころが詰め込まれていると言えます。

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一見するとストーリーが複雑に交錯しているように思えるかもしれませんが、思いのほかシンプルに「映画として見せる」ことを意識して作られている節があるので、ここはまず、エンターテイメント作品として楽しむのが1番。コメディ要素も1作目「呪われた海賊たち」に近いものがあるので、その点も原点に返ったような空気感が心地よいものになっています。

映画音楽のアイコンとなったテーマ曲も健在!

以前にも紹介しましたが、本作の音楽を手掛けているのはジェフ・ザネリ。

パイレーツシリーズは1作目を『リベリオン 反逆者』や『リクルート』などのクラウス・バデルトが、以降を『ダークナイト』シリーズなどのハンス・ジマーが手掛けていました。今回シリーズ初単独登板となるザネリですが、これまでのシリーズ全てにおいて補作曲という形で携わってきた作曲家なのでシリーズとしての音楽のブレはまったく見られません。ザネリはいまや冒険映画音楽の代名詞ともなった「彼こそが海賊」の作曲者の1人でもあるので、もちろんこのテーマ曲もアレンジを加えつつ健在、要所要所で鳴り響きます。

ジマーがプロデュース作業なども行わず完全に離脱しての初めてのパイレーツミュージックになりましたが、ザネリはジマーと密接に連携を取り、今回の音楽はシリーズとしての音楽の“らしさ”と、ザネリのメロディセンスが融合したものになっていました。

まず、本作自体が旧三部作を意識した作りになっているので至る所にこれまでシリーズで使われていたテーマ曲が多く顔をのぞかせています。「彼こそは海賊」はもちろん、シリーズを通して“もう1つのテーマ曲”といえるジャック・スパロウのテーマから第3作「ワールド・エンド」の主題曲も使用されているので、音楽も意識してパイレーツシリーズを鑑賞している人にとってはパイレーツ愛にあふれたサウンドが楽しめると思います。

ザネリはハンス・ジマーチームの中でもメロディアスに壮大なモチーフを表現する音楽を得意とする作曲家で、今回の作曲では「彼こそが海賊」の後半のアレンジに最もザネリらしさが出ています。「彼こそが海賊」は毎作エンドクレジットでバッチリ堪能することができ、本作でも鳴り響き渡るので勇壮で美しいメロディーラインに耳を傾けてみてください。

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まとめ

ウィル・ターナーの再登場で、前作以上に新シリーズの中で重要な役割を果たしている本作。新たなキャラクターの登場、強敵サラザールと見どころが多いですが、なによりこれまでのシリーズファンにとって、ある1つの答えを見せる形になっているので、今後のシリーズの行方を占ううえでも見逃し厳禁です。

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(文:葦見川和哉)

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