「X-ミッション」公開記念、ブロマンス映画とエクストリームスポーツの先駆者「ハ―トブルー」

X-ミッション

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伝説のアクション映画がバージョンアップ度MAXで復活!!

いよいよ公開が迫った、エクストリームクライムアクション「X-ミッション」。

モトクロス、ウィングスーツ、サーフィン、フリークライミングと陸海空を危険すぎる手段で駆け抜けるエクストリームスポーツ(Xスポーツ)。その高等テクニックを強盗に応用するチームが跳梁跋扈するなか、事態を重く見たFBIは一人の捜査官を潜入させ、事件解決に動く。

潜入を命じられたFBI捜査官ジョニー・ユタは独特のカリスマ性を感じさせるボーディがリーダーを務めるチームこそが件の強盗集団と見定めて、接近。自身も得意としているXスポーツを通じて、チームの一員となり犯罪の証拠つかもうとする。

その一方でジョニーはボーディの信念に魅せられ始める。

とここまで書いたところで、お気づきの方もいるかもしれないが、この「X-ミッション」は91年のキャスリン・ビグロー監督の「ハートブルー」のリメイクなのだ。強盗のシーンで大統領のマスクを被ってくれるなどオリジナルを知っているとニヤリとする部分もある。ともに原題は同じ「POINT BREAK」で分岐点を意味して、ここでは生と死、犯罪者と捜査官など対になる部分も表現している。

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製作総指揮には当時、監督の夫だったジェームズ・キャメロンが担当し、ジョニーをキアヌ・リーブスが、ボーディはパトリック・スウェイジが演じた。監督のジェンダーによって作品のテイストが決まるわけではないが、それにしてもビグロー監督は下手な男性監督よりも骨太なアクション映画を発表し続けている。一つの頂点は元夫となったキャメロンの「アバター」(09年)との賞レースを完勝してみせた「ハート・ロッカー」(08年)だろう。

映画の公開時期としては、今の姿を見るとちょっと信じられないが、当時はコメディ路線を主戦場にしていたキアヌの路線脱却と、「ゴースト/ニューヨークの幻」でブレイクしたパトリック・スウェイジのネクストステップというタイミングに重なる。

ブロマンス映画の先駆者が全盛期の今に帰還

いわゆるゼロ年代に入った時期から映画の一つ構成要素に“ブロマンス”というものが登場する。

ブラザー(BROTHER)とロマンス(ROMANCE)を合成させた造語で、親友よりさらに一歩・二歩深い男性同士の友情を指している。時に親密すぎるほどの関係が描かれていることもあるが、必ずしも同性愛の関係にあるわけではない。

もともと遥か昔から男性2人組が主人公の映画は無数にあった。単純に男同士の友情の物語といわれた時もあり、バディームービーなどと表現されることもあった。

LGBTへの理解度が進んでいることもあるのだろうが、最近ではその関係性がもう一歩深く描かれるようになった。「シャーロック・ホームズ」シリーズ(09年、11年ガイ・リッチー監督)のロバート・ダウニー・JR演じるホームズとジュード・ロウ演じるワトスンの姿などその好例と言える。その流れでブロマンスという言葉が登場するのだが、「ハ―トブルー」はそんな言葉が生まれる遥か以前に登場したブロマンス映画の先駆者だった。

ともに惹かれあい、憧れあい、そして疑いあう。お互いが完全には相いれないもの同士であることをどこかで知っていながら、それでも行動を共にする2人。いつか破たんするとわかっている関係をいつまで続け、どう終わらせるか?

はたから見れば、不器用で遠回りにしか見えない選択も彼らにとってベストの決着の付け方にとなる。関係性のあり方から、決着の付け方まである時代では受け入れられなかったあり方も今はごく自然に受け入れられている。一つやっかみを言えば往々にしてイケメン同士の組み合わせであることが多いので、それが一因なのかなと思ってしまうだが。

ちなみに、この後キアヌはさらなるブロマンス映画「マイ・プライベート・アイダホ」(91年、ガス・ヴァ・サント監督)にてリヴァー・フェニックスと対照的な生い立ちでありながら友情を育む役どころを演じている。

「テッド」シリーズ(12年・15年、セス・マクファーレン監督)、「SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁」(16年、ダグラス・マッキノン監督)。邦画でいえば「バクマン」(15年、大根仁監督)「さらばあぶない刑事」(16年、村川透監督)と百花繚乱状態のラブロマンス映画。

もちろん「X-ミッション」も「ハートブルー」もまずはアクションを堪能するべき映画なのだが、そこに隠されたもう一つの要素にもちょっと気をまわしてみてはどうだろうか?

(文:村松健太郎)

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