ふたりのサムライへの惜しみなき賛辞 ~SAMURAI賞授賞式~

■「キネマニア共和国」

昨年度の東京国際映画祭より新設された、比類なき感性で「サムライ」のごとく、常に時代を切り開く革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を讃えるSAMURA(サムライ)賞。その第2回授賞式が10月26日夕刻、『歌舞伎座スペシャルナイト』内で歌舞伎座にて行われ、受賞者の山田洋次、ジョン・ウーの両監督が出席した。

まずジョン・ウー監督は、映画の師匠として尊敬する山田監督とともにこの賞を受賞できたことを名誉に思うと挨拶。

「山田監督の映画はいつも愛と人間性に満ちあふれていますが、これぞ普遍性のある価値観であり、そのことによって世界中の人々に受け入れられる映画足り得ているのだと思います。
私自身も、その“人間性”に心惹かれて、映画の世界を愛するようになりました。これからも、私の全人生を映画に捧げたいと思います」

ウー監督は、映画を学び始めた1960年代、特に日本映画の影響を受けてきたのだという。

「日本は偉大な映画人を多数輩出し、彼らによって世界中の人々に知られる映画がたくさん生まれました。私自身、こうした日本映画からたくさんインスパイアされてきましたし、それは今も続いています」
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それを受けて、山田監督もウー監督への賛辞を惜しまない。

「僕の作品は“SAMURAI”(=侍)という言葉にふさわしいほど勇ましいものではありませんし、本来その言葉にふさわしいのは、ジョン・ウーさんではないかと思います。心から彼にお祝いを言いたいと思います。
東京国際映画祭には第1回から参加してきましたが、それから28年の歳月を経て、今日ここで素晴らしい賞を頂けたことを非常に光栄に思っております」
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ここで、ジョン・ウー監督を敬愛する大友啓史監督と、山田監督の新作『母と暮らせば』主演の吉永小百合が花束をもって壇上に登場。

「ウー監督の大ファンで、昨夜も眠れぬまま夜通し5本、ウー作品を見て、改めてそのパワーに圧倒されました」と興奮気味の大友監督は17年前、映画留学先の米ロサンゼルスでウー監督と出会い、映画をやっていく上での教えを乞うたというが、そのことをウー監督も覚えていてくれた。

「監督をするのだったら、まずはちゃんとした脚本を書いた方がよいですよ、とお話しました。これからも、ひたすら映画を撮り続けてください。将来の大友監督の作品に、私は期待しています」

一方、これまでさまざまな山田作品に出演してきた吉永小百合は、山田監督のことを「学校の校長先生であり、人生の師匠でもあります」という。

「山田監督とご一緒させていただくたびに、映画の仕事をしていてよかったと思います。撮影の合間にいつも楽しいお話をしてくださいますし、そのひとつひとつがとても心に残るんですよ。私はいつまでも山田学校の生徒でいたいですし、監督がお持ちの価値観に一生ついていきたいという想いがあります」
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これを受けて山田監督も少し照れくさそうに、しかし嬉しそうにこう語ってくれた。

「小百合さんと一緒にいると、この人には大事なことをちゃんと言わないといけないという気にさせられます。彼女には嘘をつけないし、真実を語らなければならない、そんな気持ちにさせてくれる。だから、いちいち一生懸命、良い事を言っちゃうんですよ(笑)。小百合さんと仕事をすることは、僕にとって大変な励みです」

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(文:増當竜也)


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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