特撮向上委員会

SPECIAL

2020年09月06日

『仮面ライダーゼロワン』最終回がいかに素晴らしかったのか語る

『仮面ライダーゼロワン』最終回がいかに素晴らしかったのか語る

■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会

世界最高峰の特撮と、それに引けをとらないエモーショナルで上質なドラマを見せてくれた『仮面ライダーゼロワン』最終話。

或人と滅の最終決戦。

悪意VS悪意。

ヒューマギアを作った人間は欠陥だらけの弱い存在。

しかし人間に作られたヒューマギアも完全無欠ではなかった。

どっちが優れている劣っているではなく、お互いの弱さをカバーしていくことに共存の光があるのか。

「ゼロワン」は全編を通して、遠くない未来に人類が遭遇するであろう問題をリアルにかつエンターテイメントに仕上げてくれた作品だったと思います。

とにかく、高橋文哉さん演じる或人と砂川脩弥さん演じる滅の感情剥き出しのぶつかり合いが悲痛で、見ているこっちの涙腺は崩壊寸前。

とても演技には見えず、本当に殴ってるのではと思うほどの迫力。

ギャグ言って声を張り上げていた楽しい或人と感情を表に出すことがなかった滅という対照的な二人が、それぞれイズと迅を失ったことで感情と想いがシンクロしていく。

ここのアクション、杉原輝昭監督がきっとやりたかったであろうことが詰め込まれてたんじゃないでしょうか。

ゼロワン1、2話で見せていただいた杉原監督と渡辺淳アクション監督が作られたアクションシーンも、今まで見たことがないライダーアクションで度肝を抜かれましたが、最終回の演出もパイロットとはまた違ったアプローチで非常に見応えがありました。

アタッシュカリバー使い放題の最終決戦場。

武器を無限に使い放題の戦いは、どこかテレビゲームの要素が入ってるような。

それを特撮に落とし込むなんて発想がすごすぎる。

空中に蹴り上げてからもう一回膝蹴りをかますところなんて、まるで「ドラゴンボール」の世界。

あれはアニメだからできるんです。

それを実写でやってしまうなんて、正気の沙汰ではありません。

毎週毎週アクションが行われている世界でも例を見ない特異な現場の日々の積み重ねで、表現不可能と思われることさえ成し遂げ、僕らに驚愕の映像を届けてくださっているわけです。

予想と想像を軽々と超えるこのアクションシーンの連続は、ファンを全員唸らせたんではないでしょうか。


僕が個人的に一番たまらなかったシーンは、滅のパンチを受け止めてから徐々にゼロワンに変身していくあのシーン。

まるで『仮面ライダークウガ』の教会のシーンを彷彿させるようなシーン。

なめらかで、そしてとても美しく思わずうっとりするこのシーン、もう既に50回は見ました。

あと、やっぱり外せないのは、数話前から差し込まれていた或人が闇に落ちていく様を可視化したグレーの或人。

それが最終回、滅にアークドライバーを破壊された後に白黒の映像に色が戻るんですが、あれで何も語らなくとも全て理解できるというすごい演出。

杉原監督のこだわりを余すところなくすべて受け取ることは、ファンとしての使命なのかなと思っております。


ドラマもすごかったですが、それもこれもキャストの高い演技力がなくては台無し。

高橋文哉さんなんてまだ弱冠19歳なのにしっかり主役として腰を据えてて、演技も最初から拙いところなんて全くありませんでした。

感情の出し方が非常にうまくて、声を張った時って演技がちょっとブレちゃうこともありそうなのに、高橋さんは全くブレてないどころか叫びがとても似合う俳優さんで、見てる人の胸にズシンと届くんですよね。

でも一番驚いたのは鶴嶋乃愛さんかな。

イズとアズの演じ分け、完璧じゃないですか。

表情の微妙な使い分けが上手いんでしょうね。


最後の最後まで、或人とイズに惹かれっぱなしでした。

最終回のBGM、流れるタイミングとか全部完璧やったなぁ。

あぁ、これはサントラ買うっきゃないなぁ。

サントラ聴いて冬映画までなんとかしのぎましょう。

あと、「ウラ仮面ライダー」も絶対見てくださいね。

(文:篠宮暁)

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