おうちで映画も美味しく!そば&うどん映画映画特集!

関西ならではの
アイテムとなるうどん

さて、蕎麦ときたら日本が誇るもうひとつの和の麺類はうどんになるわけですが、その代表格は本広克行監督の『UDON』(06)に他ならないでしょう。

(C) 2006 フジテレビジョン ROBOT 東宝

うどん県としても有名な香川県を舞台に、コメディアンになる夢をあきらめて讃岐うどんの製麺所を営む実家に戻り、地元タウン誌に就職した主人公(ユースケ・サンタマリア)とその周囲の人々の交流を描くハートフルなヒューマン・コメディ映画です。

ほぼ全編にわたって香川県ロケを敢行。実は本広監督自身が香川県の出身ということもあって、思い入れもひとしおといったこだわりの作品になっています。

そう、蕎麦が関東ならば関西はやはりうどん。

その意味では関西を舞台にした映画やドラマのほうがうどんが登場する頻度は高いともいえます。

個人的には大阪を舞台にしたはるき悦巳の伝説的コミック『じゃりン子チエ』およびそのアニメーション作品で、主人公チエちゃんの父親テツが大のうどん好きで(特に天ぷらうどんが好物)、それにまつわるエピソードもあったりしました。

吉本興業のお笑い芸人たちが短編映画を監督する企画“YOSHIMOTO DIRECTERS 100/100人が映画撮りました”の中には、内場勝則が監督した『スキヤキのうどん』(07)なんてものもあります。これは大阪下町で暮らす父(内場)が、離婚した妻(未知やすえ)とともにアメリカで暮らしていた娘(岸由紀子)を一時預かることになっての人情喜劇でした。

日本の刑事ドラマでは大概刑事たちがざるそばを食べる風景が見られたりしますが、リドリー・スコット監督による大阪を舞台にした刑事アクション映画の名作『ブラックレイン』(89)では、マイケル・ダグラスと高倉健の米&日刑事コンビが、松田優作扮する殺し屋の愛人(小野みゆき)を張り込みしながら、市場の屋台でビールを飲みながらうどんを食べるシーンがあります(ここでマイケル・ダグラスは箸の持ち方を直されます)。

このシーンでどことなく同じリドリー・スコット監督のSF『ブレードランナー』(82)を思い出してしまった映画ファンも多かったことでしょう。

最後にうどんと蕎麦の融合例とでも言いますか、中村義洋監督のミステリ映画『チーム・バチスタの栄光』(08)では、主人公の厚生労働省の役人(阿部寛)がうどんと蕎麦を同時に食べていて、ヒロインの心療内科医師(竹内結子)に驚かれるのですが、このとき彼は「うどんをおかずに蕎麦を食べているんです」と答えたのでした……。
(でも、うどんと蕎麦の相盛り弁当みたいなものって、うちの近所のスーパーにも売ってた時期があったので、個人的にはそんなに驚かなかったのですけどね)

市川崑監督のヒューマン刑事映画『幸福』(81)では、関東と関西の蕎麦とうどんにまつわる認識の相違が事件の謎を解く大きな鍵となりますが、これ以上書いてしまうとネタばれになってしまうので、ぜひご自身の目と耳でお確かめください。

などなど、今回はちょっと蕎麦に力点が傾きすぎちゃいましたかね。実は個人的には蕎麦派なもので……(うどん派のみなさん、ごめんなさい。テツにどつかれませんように!)。

(文:増當竜也)


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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