『STAR SAND -星砂物語-』吉岡里帆インタビュー「戦争映画なのに少女の恋を描いたロマンチックなお話」

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修学旅行で広島と長崎に行ったライター、ゆうせいです。2017年8月4日(金)、戦争を少女の恋の角度から描いた話題作『STAR SAND -星砂物語-』が公開されます。

本作は『戦場のメリークリスマス』で助監督を務めたロジャー・パルバース氏の初監督作品であり、ご本人が書かれた小説が原作となっております。

『STAR SAND -星砂物語-』のあらすじ

(C)2017 The STAR SAND Team

2016年東京。友人らともあまり馴染めず、大学にも何となく通っているだけの志保は、卒業論文の題材として戦時中の沖縄をテーマにしてはどうかと教授にアドバイスされ、一冊の日記を手渡される。そこには1945年の沖縄の小島で暮らしていた16歳の少女の見聞きしたことが書かれていた。志保はそれを読むうち、この日記の持つ謎に惹かれていく……

『STAR SAND -星砂物語-』で現代の大学生・志保を演じた吉岡里帆さんに、インタビューを実施。戦争映画ということもあり、どうしても暗くなりがちですが、少しでも多くの人に見てもらいたいという想いから、撮影裏話や監督との関係などを中心にお聞きしてきました。

── まず本作に出演されての率直な感想をお聞かせください。

(C)2017 The STAR SAND Team

吉岡里帆(以下、吉岡) 何と言っても外国の監督とのセッションはすごく新鮮でした。題材が戦争なのでシビアな部分もありましたが、原作、台本を読んでとにかくロマンチックだなと感じました。爆撃などは一切なく、その裏でひっそりと生きている、これまであまり描かれなかった一面を抜き取る真逆のアプローチには目からうろこでした。戦争映画とは思えないほど情緒的な作品だと思っています。

── たしかに本作では、爆撃など戦闘シーンは一切描かれていませんでした。しかし戦争の厳しさと悲しさはすごく伝わってきます。撮影後、生活に何か変化はありましたか?

吉岡 変わった部分はいくつかあるんですけど、戦争に対する思いのベースは変わっていません。父親が広島出身で、祖父母は被爆者でもあり、戦争がいかに愚かなものであるかは小さいころからずっと教えられてきましたから。なので、平和への思いはより強くなりました。ここは監督とも意見が一致したのでうれしかったですね。

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── 作中ではっきりと笑顔を見せてくれるのはわずか1シーンのみでしたが、それは意識して演じられたのでしょうか?

吉岡 そうですね。私の役は、戦争映画の登場人物というよりも、監督が思い描く現代の若者の姿(象徴)なんです。監督の若い頃はとにかく自分のやりたいことが明確に見えている人、エネルギッシュな人が多かったようですが、最近の若い子たちにはエネルギーがない、目標がないとずっとおっしゃっていました。大学に通うにしても、なぜその大学で、何を学びたいのかはっきりしていない人が多いと。

私の友だちは目標がしっかりしている人が多かったので意外な意見だったのですが、とにかく興味がない、なんにもしたくない、できれば一日中音楽を聞いてすごしていたい。そんなイメージを忠実に演じました。

(C)2017 The STAR SAND Team

── 吉岡さんの周りの方はエネルギッシュな方が多いのですね。少し気になったところがあります。大学生・志保の服装が吉岡さんのイメージと大きく違うと感じましたが、ご本人としてはいかがでしょうか?

吉岡 私もそう思います。実は服装に関しては監督とは全然意見が合わなくて、衣装合わせが本当に大変でした。監督はアメリカ生まれなので、やはりヤンキーとかストリート系のファッションが若者のイメージなんです。すごく短いパンツに切り刻んだTシャツ、そしてロックバッジ。とにかくロックバッジを着けたいって。もっと厚底でピアスも、みたいな。

でも、そんな学生ってほとんどいないじゃないですか。さらに本当は金髪を希望されていて、それだと個性的でいきいきとしている学生に見えてしまう。日本人の感覚をすり合わせるのがむずかしくて、その結果が作中の格好になりました(笑)。

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── 「大学がつまらない」「卒業まで1人で過ごすかも」と悩んでいる学生にアドバイスができるとしたらどんなことでしょうか?

吉岡 一度、好きなものと嫌いなものを思いつく限り書き出してみるのはどうでしょうか。書いて初めてわかることっていっぱいありますよね。実は高校時代にアイデンティティ、自分らしさってなんだろうと悩んでいた時期があって。

友だちと同じものを身につけていたり、他人の目を気にする自分からはやく脱皮したかったんです。なんにも気にならない人になりたいなと思い、父親に相談しました。すると、自分の好きなものと嫌いなものがはっきりしている人は絶対にぶれないと言われて。好き嫌いを書き出した瞬間に自分の好きなことが明確に分かったんです。あとはそれを突き詰めればいいだけだと。この方法は本当におすすめします。

吉岡里帆さんの「喜」「怒」「哀」「楽」エピソード

── 撮影中にはいろんなことがあったと思いますが、喜怒哀楽で分けるとどんなことがありましたか? まずは「喜」からお聞かせください。

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吉岡 私はアングラ演劇に衝撃を受けてこの世界に入りました。そんなアングラ演劇を担ってきた石橋蓮司さんや、緑魔子さんという大先輩のお話を聞けたことが喜びと言えます。「唐十郎さんはこんな演出をするのよ」とか、「私たちの時代の女優はね」とか。例えば、松竹に出ていたら松竹映画にしか出られないとか。当時の話をすごく楽しそうに話してくださったことがうれしかったですね。

── では「怒」をお願いします。

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吉岡 沖縄が舞台の作品なのに、沖縄ロケが無かったことです。台本を読んで、「あ、沖縄ロケないんだ…」って思いました(笑)。

── 次に「哀」をお願いします。

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吉岡 やはり寺島しのぶさんのシーンがいちばん哀しかったです。戦争映画ですけど、戦争のシーンがないので、つまるところ語りだけでその情景と痛み、そして哀しみを伝えなくてはいけません。それを担っているのが寺島さんのシーンであり、寺島さんだからこそ表現できたのだと思います。

── オチの「楽」をお願いします。

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吉岡 監督が私の顔を見るたびに、すっごくうれしそうな顔で「リホォー!」ってハグしてくれるんですよね。毎回、必ず。なんならチラッと目があっただけでもしてくれるんです。こんなに愛情を顔に出しながら伝えてくれるなんて、とってもうれしくて楽しい思い出になりました。撮影中、監督のその明るさに助けれられました。

でも、とあるシーンでは監督からのハグがなくて、「あれ?」と思っていたら監督から「里帆はそうしたいの? 僕だったらそうはしないけど」と言われて。

── ちなみにどのシーンですか?

吉岡 志保が日記の秘密に気がつくところ。キャラクター的に笑顔をつくりたくなくて、でも監督はしっかりと喜ぶ演技が欲しいとおっしゃって、そこはかなり話し合いました。監督自身は感情は顔に出ると思っている方なので、日本人的にはそうでもないってところを何度もいろんなシーンでやりとりしました。

── では最後に読者のみなさんに一言をお願いします。

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吉岡 記事を御覧の皆様、本当にありがとうございます。『STAR SAND -星砂物語-』はアメリカ出身の監督、ロジャー・パルバース氏が何十年も温めてきた小説を映画化したものです。戦争映画と言うと、苦しく辛いシーンの連続を想像されると思いますが、この作品は希有なことに、とってもロマンチックな、ある少女の誰にも見られることのなかった恋の物語となっています。きっと優しい気持ちになれると思いますので、ぜひぜひ劇場にお越しください。

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(撮影:結城さやか ヘアメイク&スタイリング:山崎惠子 文:ゆうせい 撮影協力:ベリーベリースープ 原宿神宮前店)

<衣装>ストライプシャツ:AS KNOW AS DE BASE ¥10,800、クロップドパンツ:イマージュ (セシール) ¥4,990、ネックレス:Sweets Jewelry Market ¥16,800(リース窓口 THE STYLIST STORE)、化粧品協力:UTOWA

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