2022年04月22日

<竹財輝之助インタビュー>「寂しい丘で狩りをする」で魅せる新境地に迫る

<竹財輝之助インタビュー>「寂しい丘で狩りをする」で魅せる新境地に迫る


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「ポルノグラファー」(フジテレビ系)シリーズ、「東京男子図鑑」(bilibili)、「にぶんのいち夫婦」、「部長と社畜の恋はもどかしい」(ともにテレビ東京系)など、数々の作品で甘い笑顔を見せてきた竹財輝之助。そんな彼が、4月22日(金)にスタートするドラマ「寂しい丘で狩りをする」(テレビ東京系)でぶっ飛んだストーカー男・久我を熱演。

“これまでに見たことのない竹財輝之助”について深堀りするべく、本作品への印象や役柄への意気込み、俳優という職業への思いについて聞いた。

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久我への印象は「ぶっ飛びすぎててもはやおもしろい」


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――芥川賞作家・辻原登の同名小説を原作とする「寂しい丘で狩りをする」、非常に過激かつ衝撃的な内容ですよね。台本を読んだとき、どのように感じられましたか?

竹財輝之助(以下、竹財):確かに重たい内容ではあるんですけど、今回僕が演じさせてもらった久我という役があまりにもぶっ飛んでるんですよね(笑)。なので、ある意味でドラマ全体を多少なりとも緩和できるといいなという思いはありました。

ただ、被害者であるみどり(倉科カナ)と敦子(久保田紗友)を悪者に見せたくなかったので、加害者である久我や押本(丸山智己)が最低最悪に見えるように意識しました。台本上、おもしろいですよ、久我。絵になったときにどうなるかなぁ(笑)。


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趣旨としてどうなのかはわからないですが、僕としては久我という人物を見てるだけで笑えちゃうんですよね。Paraviでの先行配信後、ファンの方の中には「怖い通り過ぎて笑っちゃう」とSNS上で呟いていた方もいらっしゃったんですけど、僕的にはそういう質の笑いではなくて。ぶっ飛んでておもしろいなと思いながら演じていました。すべてにおいてみどりのことを優先して、みどりのことだけを考えて行動しているので、そこだけはブラさないようにして、あとはもう自由に暴れさせていただきました。

――久我という役が決まったとき、どういう印象を受けましたか?


竹財:嬉しかったです、すごく。僕のパブリックイメージにないであろう役をいただけることは本当に嬉しいです。今回はいつも以上に気合が入ったというか、新人のような気分で臨みました。

髭や髪型はすべて”役”ありき。自分なりのスイッチは”現場の空気感”


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――現場に入る前に、役作りにおいて意識されたことはありますか?

竹財:ちょっと気持ち悪いかもしれないですけど……みどり役を倉科さんが演じると聞いて、倉科さんのことをとことん調べました。実際にお会いしてからは、劇中で隠し撮りしているみどりの写真を毎日見て、一日に一回はみどりのことを考えるようにしていましたね。

――個人的に、髭のあるなしで印象がぐっと変わると感じていて、今回は髭ありで挑まれていると思うのですが、竹財さんの中で髭のあるなしによるスイッチ的なものはあるのでしょうか?

竹財:なにもないですね。ほぼほぼ監督の意見です。髭だけでなく髪型も、時間があるときは基本的に生やしっぱなし、伸ばしっぱなしで衣装合わせに行って、「今回、どうしますか?」と監督の意向を聞いて決めています。最終決定権は監督です!


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――今回のようなご自身とはかけ離れた役を演じる際、スッと入り込める方ですか? それともご自身の中での切り替え的なものがあったりしますか?

竹財:切り替え……意識したことはないんですけど、現場に行って、メイクしてもらって、衣装を着ればなんとなくその役の雰囲気になりますね。

現場に入りたての頃は結構作り込んでしまうので、特に初日は緊張しているんですけど、2,3日目以降、芝居を重ねていくうちに役に馴染んでいく感覚があるので、現場の雰囲気というか空気感がそうさせてくれるのかなと。特にスイッチがあるとか、ずっと入りっぱなしとか、そういった感覚はないですね。

シャチ恋・同期コンビがまさかのストーカー男に!そのギャップにも注目


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――今回「部長と社畜の恋はもどかしい」で同期コンビだった丸山智己さんと共演されていますね。お二人とも全く違う役柄かつ”ヤバいストーカー男”を演じられていますが、現場での裏話があれば教えて下さい。

竹財:丸さんとは今回絡みが全くなくて、現場で入れ違いがあったくらいだったんですよ。そのときに「まだ干し芋食べてるの?」と話しかけたり、「竹財くん、やばいね、役。おもしろいね」と話しかけられたり。丸さんの芝居はParaviの先行配信で初めて拝見して、ちょっと引きました。「丸さん、目が死んでる!」って(笑)。シャチ恋こと「部長と社畜の恋はもどかしい」を見てくださっていた方には驚いてもらえるんじゃないかなと思います。

――他の共演者の方との絡みや、オフのときの雰囲気はどのような感じでしたか?

竹財:倉科さんは常に壁がありましたね(笑)。久我という役柄上、現場ではあまりお話していないんです。撮影前のテストで僕がやったことに対して「ううう〜!」って本当に逃げるんですよ、倉科さん(笑)。「これって芝居?」と、わからないくらい役に入り込んでいらっしゃって。倉科さんが、というかみどりが、僕に対して逃げるような、気持ち悪がるような、怖がるような目をしてくれたときは、「この芝居で合ってるんだな」と思って自信を持って演じました。

平山さんは結構お話してくださる方で、先輩としてのアドバイスもいただけて嬉しかったです。久保田さんも倉科さんと同じく、ほぼお話してないですね。現場で少ししかお会いしていないということもありますが、被害者側である敦子を演じる久保田さんからも、僕を見る目に嫌悪感を感じたので(笑)。今回は仲良くなるような役でもなかったので、基本的に一人でいることが多かったです。

“久我健二郎”を主観と客観で見る


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――久我は、世間一般、客観的に見ると”ヤバいヤツ”でしかないと思いますが、竹財さんが演じるからこそ官能的に見える部分があるかと思います。ヤバいヤツながらも視聴者を夢中にさせるために意識していることやポイントがあれば教えて下さい。


竹財:今回は正直、視聴者目線を全く考えてなくて。「みどりの目にどう映るか?」、ただそれだけですね。僕ならではのところで言うと、いつもの笑顔のイメージをぶち壊してやりたいなとは思っています(笑)。

――同じ笑顔でも、全く種類が違いますもんね(笑)。

竹財:半沢直樹を演じられていた堺雅人さんは”全部笑顔で表現する役者”って一時期言われていたんですけど、そういう意識は多少ありましたね。この作品を見た後に「一人でお風呂に入りたくない」「なにがあっても振り返りたくない」と思わせられるような、”気持ち悪い狂気じみた笑顔”を出せていたらいいなと思います。

――ご自身がみどりの婚約者・浅野の立場だったら、久我に対してどう思いますか? その憎悪を増すことが竹財さんにとっての役者としての見せ所かとは思うのですが……。

竹財:なにをしてもよければ鉄砲でパン! ですよね。浅野がつらいのは、刑事とみどりの婚約者という立場に板挟みなところで……。どちらにも振り切れない、報われない浅野が一番かわいそうな役だと思いました。

“竹財輝之助”ではなく、その役それぞれのイメージを持ってもらえることが本望


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――実は以前、竹財さんのコラムを書かせていただいたのですが、勝手ながら”エロ甘系イケオジ俳優”と名付けさせていただきまして……。


竹財:エロ甘系イケオジ俳優! いろいろ詰まってますね(笑)

――はい、凝縮しすぎてしまったのですが(笑)、ファンの方からも多くの共感の声をいただきました。竹財さん的に、こういう風に思われたいというイメージはありますか?

竹財:なんでもいいですね! こき下ろされても全然平気です。表現は人それぞれだし、いろんな呼称で読んでもらえるのが嬉しいですね、むしろ。

――今回の役柄は竹財さんの新境地になるのではないかと思っているのですが、役柄によって様々なイメージを受け取ってもらいたいというお気持ちが強いのでしょうか?

竹財:そうですね。時代にそぐわない考え方かもしれないのですが、”竹財輝之助”という固定観念を外しておきたいというか。役として見てもらえるように、竹財輝之助という存在は二の次で本当は隠れていたいんですけど、なかなかそうもいかないので……。なので、僕がどう見せたい、どう見られたいというのは一切ないです。もちろん、求められればやりますけど。


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――最後に、「寂しい丘で狩りをする」、重たいテーマではありますが、竹財さんが思う本作品の魅力をお聞かせいただけますでしょうか?

竹財:女性の方からするとつらい内容になっているかもしれませんが、そこから立ち上がる強い女性の姿を見ていただきたいです。また、久我と押本には種類の違う怖さがあると思うので、怖いのが大丈夫な方はぜひ真っ暗な部屋で見てみてください(笑)。

(取材・文=桐本絵梨花)

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