映画コラム

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2017年02月12日

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」は、バートン版ワンピース+Xメン!

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」は、バートン版ワンピース+Xメン!



(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.



劇場公開してからも、その高い評価が口コミによって伝わり、現在大ヒット中の話題作、それがこの「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」だ。
原作は「ハヤブサが守る家」のタイトルで日本でも翻訳が発売されている、「ハリポタ」と並ぶ児童文学のベストセラー小説なのだが、これをあのティム・バートン監督が映像化したのだから、当然見る前から期待も高まるというものだ。

今回自分が鑑賞したのは、地元のTOHOシネマズ、平日の21時からの最終回。400席のスクリーンでの上映という点からも、本作が確実に観客を集めていることが実感できるのだが、果たして作品の出来はどうだったのか?

予告編




ストーリー


フロリダで生まれ育ったジェイクは、周囲になじめない孤独な少年。そんな彼の唯一の理解者である祖父が、ある晩謎めいた死を遂げた。
祖父の遺言に従って小さな島を訪れたジェイクは、森の奥で古めかしい屋敷を発見。そこには美しくも厳格なミス・ペレグリンと、奇妙なこどもたちが住んでいた。
やがて彼らと心を通わせるようになり、夢の様な時間を過ごしたジェイクは、自らに宿った「ある力」に気付き、屋敷に迫る恐るべき脅威に立ち向かっていくのだった・・・。(公式サイトより)


きっとあなたも好きになる、魅力的なキャラクターたち!


「奇妙なこどもたち」のタイトル通り、本作に登場するのはいずれも人間離れした特殊能力を持つキャラクターたち。
残念ながら、その能力ゆえに人間社会とは離れて生活しなければならない彼らの境遇は、まさに「X−メン」に登場するプロフェッサーXとミュータントの生徒たちを思い起こさせる。

例えば、宙に浮かないように鉛の靴を履いた少女エマ、いたずら好きな透明少年ミラード、後頭部に鋭い口を持つ女の子クレア、予知夢をスクリーンに投影できる男の子ホレース、体の中に無数の蜂を飼う少年ヒュー、指先から炎を放つ少女オリーヴ、常にマスクを被っている謎の双子、などなど。

特に、主人公ジェイクの持つ能力が戦闘には直接役立たないが、実は敵との戦いにおいて必要不可欠な物だという点、そしてその能力を生かして、ラストの危機的状況を逆転させるのは、見ていて「良くできている!」と思った。

しかし、本作鑑賞後に観客が一番に思ったであろうこと、それは「双子最強!」だろう。
確かに最初から彼らを活躍させていれば、もっと楽に戦いが進んだに違いないのだが、それだと映画が早く終わってしまうから仕方が無い。
果たしてこの双子の能力とは何か?それは是非劇場でご確認を!



(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.




最後に


その特異な能力のために社会に適合出来ず、保護者であるミス・ペレグリンの庇護の下に、絶対に安全な時空間の中で生活している子供たち。

思えば、「社会に溶け込めない者、異型の者、差別される者たちを描く」という点は、ティム・バートン作品に共通のテーマだと言える。
本作のもう一つの舞台となるのが1943年の第二次大戦下の世界であり、ドイツ軍の爆撃によりミス・ペレグリンの寄宿舎が破壊されるなど、今回もそのテーマは色濃く反映されているのだが、実は過去作品に比べて、予想外に客観的で抑制が効いているのに驚いた。

表面上は児童向けの文学作品でありながら、要所に監督独自の悪趣味とも言える「ブラック・ジョーク」を配置しつつ、少年の成長譚&時空を越えて成就するラブストーリーとしても楽しめる作品に仕上げたその演出力!

もちろん、出演俳優陣の素晴らしい演技により、登場人物たちがまるでそこに生きているかの様に思える点も大きいのだが、多彩なキャラクターの紹介に終始すること無く、彼らの人間的成長や背負っている悲しみまでを描写しているその内容には、きっと大人の観客の方が感情移入出来るはずだ。

実際、原作である「ハヤブサが守る家」と本作では、その内容にかなり独自のアレンジがなされているので、映画を見た方には是非合わせて原作を読むことをオススメする。残念ながら続編の2作品はまだ日本で翻訳されていないのだが、なんと「ハヤブサが守る家」の続編のタイトルは「Hollow City」!
本作を見た方なら、「おぉ!見たい!」と思わず反応してしまうことは確実の、このタイトル!是非早く映像化して欲しいものだ。

予告編の印象から、「あ、またいつもの騒がしいガチャガチャした内容なんでしょ」と思ってスルーしている方にこそ、是非オススメしたい本作!

「ビッグフィッシュ」や「シザーハンズ」がお好きな方なら、絶対に満足出来る作品となっているので、今すぐ劇場へ!

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(文:滝口アキラ)

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