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『恐竜戦隊ジュウレンジャー』憎しみ、僅かな寿命…悲壮の戦士に興奮【篠宮暁の特撮辞典・第35回】
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』憎しみ、僅かな寿命…悲壮の戦士に興奮【篠宮暁の特撮辞典・第35回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
ファンタジー色を全面に打ち出したヒーロー『恐竜戦隊ジュウレンジャー』
映画『ジュラシックパーク』が大ヒットする1年前、一足早くスーパー戦隊シリーズに恐竜をモチーフにしたヒーローが現れました。その名も『恐竜戦隊ジュウレンジャー』。
前作の『鳥人戦隊ジェットマン』は、以前ここで書かせてもらった通り、トレンディドラマの要素を取り込み、大人も熱中する作風となっていました。それとは打って変わって、本作はファンタジー色を全面に打ち出して、子どもにもわかりやすく、「ドラゴンクエスト」のようなRPGゲームの要素も随所に組み込まれ、王道ながらも新しいことも取り入れた作品となっています。
余談ですが、当時僕は小学4年生。この「ジュウレンジャー」を境に、周りに特撮を見る友達が急激に減っていってしまい、僕は隠れキリシタンのように、ひっそりと特撮愛を育まざるを得ない状況となりました。
ここで僕も周りの友達に流され、特撮を卒業していたら、この連載もいただけていないでしょうし、ひょっとすると芸人もやっていなかったかもしれません。僕の特撮人生のターニングポイントに「ジュウレンジャー」が関わっているという、余談中の余談でした。
兄弟の葛藤、僅かな寿命…強烈なインパクトを残した戦士
この作品の1番のトピックスは、スーパー戦隊シリーズ初の6人目の戦士登場、これに尽きるでしょう。
第17話から登場した緑の戦士、ドラゴンレンジャー。それに変身するのはジュウレンジャーのレッド、ティラノレンジャー・ゲキの兄のブライ。いきなり仲間になるかと思いきや、このブライは弟・ゲキにある理由で憎しみを抱いていて、しばらく仲間にならず、敵として闘うことになります。
そして、ようやく仲間になったと思ったら、実は寿命が残り僅かで、寿命を減らさないように時が止まった部屋で過ごすも、弟たちのピンチにはその部屋を出て助けにいってしまい、そして寿命を減らし、最後は命尽きてしまうという悲しいキャラクターです。
最初は争いながらも仲間になって、最後は死ぬという流れはファンに強烈なインパクトを残し、その後の作品にも多大な影響を与えました。
戦隊ヒーローが、世界中の子ども達に知れ渡ったきっかけ
「ジュウレンジャー」がもたらした功績は日本だけに留まりません。翌年に「ジュウレンジャー」を下地にした『パワーレンジャー』という作品がアメリカで制作され、大ヒット。スーパー戦隊ヒーローは世界中の子ども達に知れ渡ることとなりました。
このヒットがなければ、本家のスーパー戦隊シリーズも打ち切りになっていたという話もあるくらいですから、本当に「ジュウレンジャー」さまさまです。
またまた余談ですが、僕が青い全身タイツを着て出させてもらっている番組のゲストに、ウイーン少年合唱団が来たことがあるのですが、1人の男の子が僕を見てブルーレンジャーだと言ってきたんです。意気投合して一緒にパワーレンジャーの歌を歌っていたら、ウイーン少年合唱団の偉い人に「喉潰れたらどうするんだ」と、めちゃめちゃ怒られたこともありました。
言葉は通じなくても戦隊を通して、外国人とコミュニケーション取れるなんて凄いと思っていた矢先に怒られたので、少しトラウマになりました。
ジュウレンジャー、どの回見てもハジュレ無し!
ドラゴンレンジャーの武器・獣奏剣から流れるメロディ、なぜかずっと頭に残ります。弟が持っていた獣奏剣のおもちゃを我が物のようにして当時遊んでいました。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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