賛否の嵐に決着つくか!?『宇宙戦艦ヤマト2202第六章』最速上映ルポ!

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 

1974年にTVシリーズ第1作が作られて以来、今に至る空前の国産アニメーション・ブームを築き上げた大きな牽引力としてリスペクトされ続けている『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ。

2013年からは当時の作品群を見て育った“ヤマト・チルドレン”の精鋭クリエイターらによって、第1作に新たな解釈を施しながらリニューアルした『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズがスタートして話題となり、現在はその続編となる『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』が全七章(全26話)の予定で鋭意制作中です。

『2202』も昭和の映画版第2作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78)およびTVシリーズ第2作『宇宙戦艦ヤマト2』(78~79)を基に、『2199』同様さまざまな新解釈を施しながらリニューアルしたものです。

しかし、特に『さらば』は当時のヤマト・ブームを決定づけた記念碑的作品だったこともあって思い入れの強いファンも多く(実は私もそうなのですが)、そのため『2202』は昭和のヤマトとともに育った壮年世代と、『2199』で初めてヤマトに触れた平成の若い世代とで評価が真っ二つに割れがちでもあるのです。

そんな中『2202』シリーズの最新第6弾となる『宇宙戦艦ヤマト2202 第六章・回生篇』が堂々完成し、11月2日からの劇場上映に先駆けての最速上映会が10月22日に新宿ピカデリーにて開催されたのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街339》

もういてもたってもいられなくなったので、お邪魔してきました!

今回の『第六章・回生篇』は
「溜飲が下がる出来!」

『宇宙戦艦ヤマト2202』は、地球を侵略しようとするガトランティス帝国に我らが宇宙戦艦ヤマトが立ち向かう……なんてざっくり筋を記してしまうと身も蓋もないのですが、かつての映画『さらば』ともTV『2』とも異なる仕掛けがあちこちに張り巡らされていて、それゆえの論議が新旧ヤマト・ファンの間で激しくなされています。

『第六章』最速上映に際しては、監督の羽原信義およびシリーズ構成の福井晴敏の両名が登壇し、まずは前作『第五章・煉獄篇』の最終エピソードとなる第18話を銀幕に映しながらの生オーディオ・コメンタリーが行われました。

前作のおさらいという点でも、来場者としては得した気分。画面を見ながらの羽原&福井両氏のユーモアまじりのコメントの数々に場内の空気は和やかに……。

しかし、おそらくはこの『2202』の中で、もっとも昭和ヤマト世代を激昂させてしまった問題のラスト5分(!)が映し出されると、やはり空気は一変。

要はこの衝撃のラストの後、これから始まる『第六章』がいかなる展開を迎えるのか、もう一刻も早く見せてくれ! といった渇望感に場内は一気に包まれていくのでした。

コメンタリーを終えて再び登壇した羽原&福井の両氏も、さすがにこのラストを目の当たりにしながら面白いことをしゃべるのは不可能といった弁と、しかし『第六章』を見た後は「これまでシリーズを見てきた多くの観客の溜飲が下がるでしょう」などとコメント。

それは一体どういうことなのか……?

微妙にざわつく場内の緊張と不安と期待を混在させつつ、いよいよ『第六章・回生篇』の上映がスタートするのでした!

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 

改めて「ヤマトとは何か?」を問う
土方&山南ファンも必見!

現在、作品サイトやユーチューブなどで『第六章・回生篇』の冒頭10分が期間限定で配信されていますので、そこまでの筋なら記しても許されるかなと思いますが、『第五章』ラストで絶体絶命の危機を迎えたヤマトは、そのまま戦線離脱を余儀なくされ、土方竜艦長の命令で脱出を命じられた乗組員の多くは波動実験艦「銀河」に収容されます。

そしてヤマトは、脱出が間に合わなかった古代進ら一部のクルーを乗せたまま、敵であるガトランティス帝国の重力圏内へ落下……。

はい、今お伝えできるのはここまで!

しかし、ネタバレは避けますが『第六章』は波動システムを含むヤマト本体をコピーして作られた銀河とヤマトのありようを対比させながら、スリリングなドラマが進行していきます。

つまりは、これによって「ヤマトとは何か?」が改めて強調されていくのです。

同時に『第六章』では、これまでシリーズが進むにつれて観る側の胸の内に増大していった謎や疑問、不満といった諸要素の多くの真相を解き明かしていく作りにも成り得ています。

上映前に羽原&福井氏の説いた「溜飲が下がる」とは、そのことなのでした。

先にも述べましたが、『2202』は本来基となるべき『さらば宇宙戦艦ヤマト』や『宇宙戦艦ヤマト2』の展開から微妙に、しかし確実に異なるラインが敷かれており、それゆえに過去のヤマトを愛する世代からは「なんでそうなるの?」といった疑問や不満が回を重ねるごとに増えていきました。

私自身、『さらば』は中学三年の多感な時期にリアルタイムで見ている世代なもので、そういった目で今回の『2202』をざっと五段階評価しますと……。

『第一章・嚆矢篇』(第1&2話)★★★

◎序章として無難な作りで、今後に期待を繋がせるものがあり。敵の大帝ズォーダーがいきなり「愛」を説き始める冒頭から、とかく愛を過剰かつ強引なまでに謳い上げてきた旧ヤマト・シリーズに対するアンチテーゼの姿勢も感じ取れるのでした。

『第二章・発進篇』(第3~6話)★★★

◎『さらば』と『2』の要素をうまくミックスさせた展開。また、かつて映画『ヤマトよ永遠に』(80)で三代目ヤマト艦長を務めた山南修がここではキャラデザインも一新してアンドロメダ艦長に就任している設定によって『2』の名場面がユニークに再現されると同時に、『さらば』では二代目ヤマト艦長、『2』ではアンドロメダ艦長だった土方竜が本作ではどのような立ち位置になるのかにも、俄然期待は高まっていくのでした。

『第三章・純愛篇』(第7~10話)★★★★★

◎「愛」を謳うためならトンデモ的な強引な展開でも何でもござれの旧ヤマト・シリーズの長所も短所も露呈させた作りになっているので、こちらとしてはもう懐かしくも微笑ましく思えてしまい、それゆえに星の数5つにしていますが、見方を変えれば0にもできます(つまり最高でもあり、最低でもある仕上がり?)。もっともこの章は土方さん救出作戦もメインとなる構成なので、土方ファンとしては大満足なのでした。

『第四章・天命篇』(第11~14話)★★

◎単純に話がややこしくなっていくし(説明台詞も一気に増える)、それに伴って誰とは言いませんが、あるキャラがどんどん鬱陶しくなっていく。と同時に前作『2199』でばらまかれたまま残された謎の数々の落ち葉拾いにも腐心しつつ、ここから『2202』独自の色が一気に強まっていくのには、正直戸惑いました。もっともこの章で土方さんが無事に二代目艦長に就任するのを見届けることができたのは、個人的にも大きな救い。

『第五章・煉獄篇』(第15~18話)★

◎デスラーの過去とかも描かれますが、そんなことよりも何よりも、それまで新旧ヤマト世代の対立を対岸の火事風に眺めていたこちらも、ここでのラストには大激怒! 理屈はさておき感情的に、旧世代にとって「やってはいけないこと」をやってしまいました。土方さんの見せ場が少ないのも不満。

と、このように私の場合、これまでのアニメ鑑賞遍歴の中でもっとも好きなキャラクター土方竜が今回どのように描かれているかを最大のポイントに置いて『2202』に接し続けているので、他のヤマト・ファンとはかなり異なる評価になっているかもしれません。

しかしながら、敗残の将としての恥を知りつつ、それでも初代艦長・沖田十三との友情を守るべく、あえてヤマトに乗って勝利のために生き続けようとする彼の生きざまは、今回の『第六章』でもそこはかとなく魅力的に貫かれています。

また今回、これまで土方さんの声を務めてきた石塚運昇氏が惜しくも亡くなったため、途中から楠見尚己氏が代わって演じることになりましたが、まったく違和感のない巧みな声のバトンタッチにも脱帽。石塚氏を偲びつつリスペクトする楠見氏のプロの誇りまでも感じられるのでした。

そして、これもまだ多くは語れませんが、今回は土方さんと山南修さんの関係性にもご注目のほどを!
(私はそこで哭きました!)

……などなど、このように『第六章』はそれまで否定的だった旧ヤマト世代もある程度納得させてくれる出来栄えになっています。
(上映終了後、ロビーで「今度は俺、許すよ!」などと興奮して感想を言い合うヤマトおじさんたちを多数お見かけしましたが、私も同意見です)

もっとも、次回で最終章なのに、この期に及んで更なる新しい謎などが提示されていて、「本当に次で完結させられるのか?」などと一抹の不安を抱いてしまったのも事実。
(まあ、最後の最後までハラハラさせたいという作り手側の意向も十分に汲み取れますし、あるいは旧ヤマトの『新たなる旅立ち』『ヤマトよ永遠に』『宇宙戦艦ヤマト3』『宇宙戦艦ヤマト完結編』といった流れに沿って、シリーズ化されていくのかもしれません?)

果たして『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」はどのような結末を迎えるのか?

10月からはテレビでもシリーズが開始されていますので(ちなみに今回のイベントの生コメンタリーを聞いて、「テレビの副音声にこのようなスタッフのコメンタリーを入れてほしい」という要望も観客からありましたが、羽原&福井の両氏も「前向きに検討したい」といった答えでしたので、そちらも期待したいところです)が、予習復習もかねつつ、この機会にぜひ銀幕の大画面でヤマトの勇姿を確認してみてください!

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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