(C)2022「月の満ち欠け」製作委員会

映画『月の満ち欠け』の田中圭に超良い意味で感情をぐちゃぐちゃにされた



「ドス黒い田中圭」が拝めるおすすめ映画2作

田中圭は親しみやすくチャーミングな役も演じられる一方、クズや怖い役にも見事にハマる演技の幅の広さがある。筆者にとっていちばんの推し俳優なので、「田中圭の優しい言葉をもっと聞きたいし、かわいいところももっと見たい!」と思う一方で、クズ&怖いキャラにも突撃して「推しになんてことをさせるんだ〜(だがそういう田中圭こそがすごいしもっと見たい)!」となるケースも多い。

そんなわけで、ここでは田中圭の陽性の部分だけを知っている初心者にもおすすめ(?)の、「ドス黒い田中圭」が拝める2作をお届けしよう。どちらも田中圭が大好きだからこそ、その言動がマジでトラウマになりかけた(ていうかなった)、思い出深い映画である。

1:『みなさん、さようなら』(2013)



久保寺健彦による小説の映画化作品で、団地から出られなくなった男の半生を綴った作品だ。主演の濱田岳がなんと13歳から30歳までを演じ切っており、その演技が「中学生そのもの」に見えたことにも衝撃があった。PG12指定がされていて、性的な描写もあるが、それも思春期を経て大人へと成長してい主人公を描くために必要なものだったろう。

田中圭は映画の後半に、義理の娘となるブラジル人の少女を虐待していると思しき男として登場する。部屋にはゴミが捨てずに置かれており、まともな親ではなさそうな空気を醸し出している。主人公が彼とトランプの「大富豪」をしている最中、田中圭は『月の満ち欠け』と同様にずっと敬語で話しているが、それよりもどこか軽薄な印象も持つ。一見すると穏やかな普通の男だが、どう見ても「輩」な友人が部屋にやってきたりと、ピリついた緊張感が常にある。

そして、「仲良しごっこ」は、主人公のとある言葉で終わりを告げる。その時の田中圭の言葉と、そして笑顔が、泣きそうになるくらいに怖かったのだ。端正な顔つきで善良にも見えるのに、平然と鬼畜な言動をする様が、「魅力的だが理解できないサイコパス」のようでもあるのが恐ろしい。その「最後」の表情も凄まじかったので、ぜひ見届けてほしい。

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2:『哀愁しんでれら』(2021)



坂道を転がり落ちるように不幸のどん底まで落ちた女性が、「王子様」のような男性からプロポーズされる……という、表向きにはまさに『シンデレラ』のようなラブストーリー……に見せかけた、戦慄のホラーサスペンスである。

全ての事態に真面目すぎるほどに真面目に取り組む土屋太鳳がハマり役なのはもちろん、王子様役の「表向きは誠実だが、裏ではドス黒い何かを抱えている田中圭」が見事という他ない。そのちょっとした言動や、彼の母親の価値観から、「何かがおかしい」という印象がじわじわと心に侵食していくかのようだった。そうであるのに、田中圭というその人が魅力的だからこそ、「何かがおかしいけど、この人なら信頼できるかもしれない」になってくることこそが怖いのだ。

そして、トラウマになったのは「焼肉を食べる」シーンである。この時の田中圭の怒号が、冗談抜きで焼肉を食べるたびに思い出す、最悪(超褒めている)の食事シーンだったのだから。その様はほとんどブラックコメディ的で、「あまりにひどすぎて笑ってしまう」からこそ頭にこびりついてしまっているのだと思う。さらに極端にもほどがあるラストも含め、賛否両論まっぷたつも納得の劇薬エンターテインメントだが、個人的には大好き(ある意味で大嫌い)だ。

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また、この2作のドス黒い田中圭は人によってはちょっと刺激的すぎるかもしれないので、仲間に嫉妬するけど、大切なものを知っていく人間味もある、というバランスの、『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』を間に挟んで観てみるのもいいかもしれない。



もしくは、『mellow』『総理の夫』『そして、バトンは渡された』『ハウ』などの善性に振り切った役柄の田中圭を「中和」として観るのもいいかもしれない。個人的には、これからも田中圭には感情をぐちゃぐちゃにされたいので、さらなる幅広い活躍を願っている。

さらに余談だが、『月の満ち欠け』の監督を務めた廣木隆一による映画は、『ノイズ』『夕方のおともだち』『あちらにいる鬼』『母性』と合わせて、この2022年に5本も公開されている。人間の良いところも悪いところも丹念に鋭く描く作家であるので、ぜひその作品群も追ってみてほしい。

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(文:ヒナタカ)

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