『死霊館 エンフィールド事件』が大好評×大ヒットスタート!

全米興収ランキング(6/10〜6/12付)

1『死霊館 エンフィールド事件』(New)
2『ウォークラフト』(New)
3『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(New)
4『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』(↓)
5『X-MEN:アポカリプス』(↓)
6『Me Before You』(↓)
7『アングリー・バード』(↓)
8『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(↓)
9『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(↓)
10『ジャングル・ブック』(↓)
(速報値/Box Office Mojo参照)

先週・先々週と、どうも釈然としない成績だったサマーシーズンの大作勢。そんな中、今週末は3000館規模の大作が同時に3本も公開された。案の定その3作品がベスト3を独占した今週のランキングではあるが、それぞれ明暗がくっきりと分かれたようだ。早くも全米興収に訪れた夏バテは、まだその余韻を引きずっている。

今週見事に1位を飾った『死霊館 エンフィールド事件』は3年前にサプライズヒットを飛ばしたホラー映画の続編。

ba80927352335e0f (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

前作は2903館で封切られ、週末興収は4200万ドル弱。そのときはサマーシーズンの目玉だった『怪盗グルーのミニオン危機一発』を首位から引きずり下ろし、同じ週に大々的に公開され目玉となるはずだったドリームワークスの『ターボ』を寄せ付けもしない貫禄を見せた。

固定ファンの多いホラー映画は、安定した興収を期待できる一方で、爆発的なヒットには結びつきづらいジャンルではある。稼ぎ時は夏場よりもハロウィンシーズンのイメージが強いが、この手のオカルトホラーは夏シーズンの方がヒットしているようだ。1作目の『死霊館』は、同系統の作品の歴代5位の興収。上位にいるのが『シックス・センス』や『エクソシスト』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』なのだから、それがかなり特筆すべきことだとよく判るだろう。

もっとも、今回の2作目で劇場アベレージ的には下がっている(館数が400シアターほど増え、興収は微妙に下がっている)とはいえ、4000万ドルの製作費を、国内1週目で回収できるだけのポテンシャルの高さを維持したことは驚愕だ。今年のサマーシーズンはことごとく空振りするのではないかと危惧していたことが馬鹿馬鹿しく思えるほど、危なげないスタートだ。

しかも、批評自体はホラー映画としてはなかなかの好評だった前作と同水準か、やや上回るほどの高評価を集めており、これは今後全年代向けの大作が公開されていく中で、どの程度健闘を見せるのか楽しみである。

対して2位に初登場した『ウォークラフト』は今週の3本の中ではもっともシアター数が多い割に、まずまずというか、かなり勿体の無い数字に思える。SFファンから大歓迎されたダンカン・ジョーンズ監督の前2作と比較すれば、それはもちろん興収的には上回っているとはいえ、酷評が目立つのがネック。

ウォークラフト ポスター (C)Universal Pictures

しかしながら、驚くべきはその海外興収である。一部の国では先月末から公開されていたこともあってか、早くも2億ドルを突破している。それだけでなく、アメリカと同じく今週公開だった中国だけで、全世界興収の50%を占めているのだ。これはもはや照準を海外に絞りたいところだろうが、来週以降も3D大作が詰まっているので、持続するのは決して簡単なことではないだろう。

2本のジャンル映画に後塵を喫した『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』は、わずかに『ウォークラフト』に届かなかっただけ、と好意的に見ることもできる一方で、どうしてもスマッシュヒットを記録した前作からの落ち方が目立ってしまう。初週末2900館で2935万ドルだった前作に対して、3200館の拡大で2300万ドル。『死霊館』よりもはっきりとその落差が見て取れるのである。

グランド・イリュージョン 見破られたトリック ジェシー・アイゼンバーグ TM & (C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

例によって前作よりも微妙な批評がつけられていることに加え、今回のゲスト出演には『ハリー・ポッター』以降ヒット作に恵まれないダニエル・ラドクリフと、不安要素が重なる。華麗なるマジシャンたちの映画に、全世界中が魔法使いのイメージを持っている役者が配役されるとなれば、トリックを見破るのはなかなか大変そうだ。こちらも世界興収で安定を図りたいところだが、前作が地味にフランスでヒットしたのは監督がフランス人のルイ・レテリエだったからに他ならない。監督が変わった本作は、厳しい闘いとなる。

ベストテンの他の作品に目を向けてみるが、先週1位から3ランクダウンを強いられた『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』は、1億ドル突破に黄信号。前作は2週目で突破したのに対し、今回はまだまだ及ばない。前週比4割ほどの週末興収を繰り返すようならば、かなり絶望的な結果になるだろう。それでも、来週あたりには1週早く公開した『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』を超えることはできるだろう。

ほとんどの作品が綺麗に3ランクずつ下がっている中で、低い下降率で踏みとどまり、アリスを上回った『アングリー・バード』は1億ドル突破目前。今ひとつ期待はずれの興収だった最近のアニメーション作品では、『I LOVE スヌーピー』も『カンフー・パンダ3』も4週目で1億ドルを超えているが、こちらはまだお預け。昨年秋に公開された『アーロと少年』と同様に、5週目での1億ドル突破が確実である。オープニング成績こそ下回ったものの、その後の維持率はなかなかのもので、最終的には『アーロと少年』の1億2000万ドルを超える可能性も期待できる。

来週にはついにピクサーの最新作『ファインディング・ドリー』が登場。3億8000万ドルのメガヒット作となった前作に続く興収をあげ、2016年はディズニーの年だと改めて証明することができるのか。

ファインディング・ドリー (C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

そんな彼らの前に立ちはだかるのは、3年前に〝ハリウッドで最も稼ぐ男〟に選ばれたドウェイン・ジョンソンと、こっそりヒット作を連発するケビン・ハート共演の最新作『Central Intelligence』。面白い対決が見られそうな予感がする。

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(文:久保田和馬

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    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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