宇宙は、でかくて強い不気味な昆虫でいっぱいだ!!
「テラフォーマーズ」VS「スターシップ・トゥルーパーズ」



テラフォーマーズ
(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

擬人化したGが、火星で人類を襲う!!

先輩 いやもう、「テラフォーマーズ」は、たまらなかったね。

女の後輩 また変な映画を見た自慢ですかあ?

先輩 変な映画じゃないわい。「テラフォーマーズ」は、三池崇史監督の新作にして、貴家悠のベストセラー・コミックを映画化したSF大作だぞっ!!

女の後輩 そのSF大作に、なんで昆虫が出るんですか?

先輩 人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させ・・。

女の後輩 ガンダムのナレーションかいっ!?

先輩 いや、本当にそうなんだ。人類を火星に移住ようと計画するんだけど、地球人に適した環境にするために惑星改造、つまりテラフォーミングを行うわけさ。ところがそのために送ったのが、地球のコケと、ある生物で、これが・・。

女の後輩 その「ある生物」が、なんだか謎っぽいですね。

先輩 これがねえ・・・Gなんだよ。あの黒光りして、キッチンの隅っこに集団で蠢いて、追い詰めるとウィングで空を飛ぶ、あのG!!

女の後輩 いや〜あああああ!! G、嫌い、大嫌いっ!!!

先輩 ほお。君にも苦手なものがあるんだなあ。

女の後輩 苦手なんじゃなくて、嫌い!!!もういいです。「テラフォーマーズ」の話、聴きたくないいいい!!!

先輩 まあそう言うなよ。これが映画としては、すこぶる爽快な大傑作になってるんだから。

女の後輩 Gと「爽快」と「大傑作」という言葉が、イコールで結びつきませんっ!!

先輩 とにかくだなあ、そのGが永年かけて進化してしまい、2本脚で歩いて地球人を襲い、しかもこれがやたらに強い。こいつらが火星で大量繁殖してしまうんだよ。で、火星移住計画の第2段階として、15人のクルーたちがこいつらと対決する。いわばSF的設定を活かしたバトルムービーってわけさ。

女の後輩 火星でGを大量殺戮する映画ですかあ?

先輩 まあ、言いようによってはそうとも言う。しかもこれってよく見れば、地球人が火星を侵略しようとしているわけだからな。宇宙人に侵略された地球人が、反撃するという「インデペンデンス・デイ」みたいなストレートなSF映画ではない。

女の後輩 そもそも火星にGを送るなんて、地球人のほうが悪い。

先輩 それもそうだけど、擬人化したGをなんとか退治しなくちゃいけないから、15人のクルーにも昆虫が持つ特殊能力のDNAが植えつけられていて、つまり昆虫同士が火星で闘うってあたりが、「テラフォーマーズ」の面白いところ。

女の後輩 Gは昆虫とは言わないと思う。あれは害虫で・・・。

先輩 ひとりでブツブツ言ってなさい。

ムチムチした女性艦長が、棺桶みたいな宇宙戦艦に乗って、でっかい昆虫の群れと闘う映画?

先輩 そういえば、以前も宇宙で昆虫と戦う映画があったよね。「スターシップ・トゥルーパーズ」だったか。

女の後輩 尊師の、ポール・バーホーベン監督サマの作品ですわ。きゃあ♡

先輩 好きなの? バーホーベン。

女の後輩 そりゃもう、ずっとお慕い申しております。特に「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」「インビジブル」の3作は、“アメリカってこんなにバカなことやってんだぜ3部作”の1本。

先輩 誰が命名したんだ? そんな3部作?

女の後輩 私に決まってるじゃないですか。だって、「スターシップ・トゥルーパーズ」って、かの有名なSF作家のハインラインの原作をもとに、製作費9000万ドルの巨費をかけて当時映画化した超大作で、にも関わらずその内容は「棺桶みたいな宇宙戦艦で、ムチムチしたねーちゃんが艦長やってて、虫と闘う話」と高く評価されたものです。

先輩 いや、それって誉めてないだろ?

女の後輩 ですから、「テラフォーマーズ」のように、擬人化したGと、昆虫のDNAが入った地球人たちが闘うような作品とは、レベルが違うんです。

先輩 なんだとぉ!? そっちがバーホーベンなら、こっちは三池だぞ!!

女の後輩 「スターシップ・トゥルーパーズ」に登場する宇宙昆虫たちは、Gみたいなお不潔なヤツじゃなくて、尖ったの、とにかくデカいの、プラズマ放射するの、もふもふして頭がいいのと、バリエーションも豊か。

先輩 Gと大して変わらないじゃんか。こちとらクルー自ら変身して闘うあたり、さすがは変身ヒーローの国だけあるなあ。

女の後輩 こっちは軍隊ですから。たかだか15人のクルーが昆虫人間に変身して、どれだけのGを退治出来るというんですか?

先輩 そもそもバーホーベン監督は、一種の皮肉のつもりで「スターシップ・トゥルーパーズ」をそういう映画にしたんだからな。バグをたくさん見せたくてそうしたわけじゃあない。

ついに火星をも制覇した、無敵の三池組!

女の後輩 分かってますよ、そんなこと。だったら「テラフォーマーズ」はどーなんですか?社会批判とか人口問題に対するシビアな視点とか、あるんですか?

先輩 ない!! 見事なまでにない!!

女の後輩 はああああ??? なんすか、それ?

先輩 そんなこたあ、どーでもいいのだ。「テラフォーマーズ」という映画は、火星でGと昆虫人間と化した地球人が、血と体液を噴き上げながら戦う映画。それでいーのだ。なんたって世間はゴールデン・ウィーク、連休なんだから。小難しい映画を見る時じゃないぞ。

女の後輩 あの、「スターシップ・トゥルーパーズ」も、公開はゴールデン・ウィークだったんですが・・。

先輩 製作費と虫の種類では負けているかもしれんが、エンタテイメントとしての気合いは、こっちのほうが上だっ!!

女の後輩 こ、こちらには宇宙艦隊がいます!! ムチムチした女性艦長も、小娘から熟女まで、各種取りそろえて・・・。

先輩 じゃかあしい!! バグのプラズマで、真っ二つにされている艦隊なんぞ、あっても仕方ないだろーが!! とにかく火星を制覇した三池組にかなうものなし!! 以上!!

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(企画・文:斉藤守彦

    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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