2011年10月28日

あの人に会いたい!インタビュー「アントキノイノチ」上田プロデューサー(前編)

あの人に会いたい!インタビュー「アントキノイノチ」上田プロデューサー(前編)

松竹 上田プロデューサーにインタビュー!





「アントキノイノチ」という作品について



― まずは、「アントキノイノチ」とはどのような映画か教えてください。
「アントキノイノチ」プロデューサーインタビュー

上田プロデューサー
非常に捉えどころが難しい映画ではありますが、一言でいうなら、「生と死」というとかく固くなりがちなテーマと、「遺品整理」という現代の日本の片隅で起きている出来事を、若干22、3歳の若い男女の目線を通して描いていく映画です。それぞれにトラウマを抱え死の淵を経験した彼らが、遺品整理で死に触れることで、「それでも生きていくんだ」ということに気づいていくというストーリーです。

モントリオール世界映画祭でイノベーションアワードという賞をいただき、聞きなれない名前に最初は「なんだそれ?」と思ったのですが(笑)、革新的で質の高い映画に与えられる賞ということで、そういったテーマの部分がまさに評価されたのだと思っています。

― 原作は2009年に発表されたさだまさしさんの小説ですが、映画化を決めた経緯は?
上田プロデューサー
やはり、原作が「面白い」という話から、徐々にピースが広がっていきました。そして、このような作品のテーマに合致するであろうということで瀬々監督にお願いをさせていただきました。

―主演が岡田将生さん、榮倉奈々さんということですが、キャスティングにおけるこだわりは?
上田プロデューサー
最高の若手実力派の二人ということももちろんありますが、固くなりがちなテーマということと、瀬々監督の持つ映像センスに対して、役者さんは柔らかいイメージが欲しかった。二人の持つ柔らかさ、透明感が、この作品には欠かせませんでした。




― 「余命1ヵ月の花の嫁」「Life 天国で君に逢えたら」を手がけた制作チームとのことですが、命というテーマを描くことへのこだわりがあるのでしょうか?
上田プロデューサー
生と死って、実は人間の一番の関心事だったりするんですよね。だからこそ感動したり泣けたりするものになるのですが、それ以前に、もっと深くて根源的な部分に常に焦点を当てている制作チームだと思います。

それに加えて、今回は「遺品整理」というものを扱っていますが、それはあくまで仕事で、根底に「孤立死」という寂しい日本の現状がある。そういった時代性の中に、生き死にを捉えていくという視点を持っています。

― プロデューサーという立場で、今回一番こだわったことは何ですか?
上田プロデューサー
今回、自分として最も深くコミットしていったのは脚本作りの部分です。毎回7、8時間の打ち合わせを重ねる中で、原作の設定を変えたところがあります。

「生きることは大変なんだけど、みんなそれでも生きて行くんだ」ということを伝えたかった。若い人たちに観てもらいたい作品だから、辛いこともあるけどそれでも人生は続いていく、ということをどうやったら表現できるか試行錯誤を重ねた結果、原作を多少脚色することになりました。

「アントキノイノチ」プロデューサーインタビュー

― 同じ松竹作品で「おくりびと」がありますが…
上田プロデューサー
「遺品整理」ということで、おくりびとの「死化粧」を連想する方も多いかもしれませんが、それとはちょっと違うタイプの映画だと思います。今回の「遺品整理」はあくまできっかけで、作品には主人公二人の青春を描きたかった。

とはいえ、「遺品整理」という部分も、美術や設定の細部までかなりこだわっていて、リアリティのある映像に仕上がっています。映画に出てくる「クーパーズ」という遺品整理の会社は、実在の会社がモデルになっているのですが、そこの社員の方に撮影現場を見ていただいた際に、「実際の現場にそっくり」と言う感想をいただきました。主演二人は、実際の現場で遺品整理の一日体験をしています。

― この作品から感じて欲しいことなどを教えてください。
上田プロデューサー
深く考えずに、まずは映画に身を任せて感動してもらえたらいいですね。

ただ、エンディングまで見終わったあとに何かしら受け取るものがあるかと思います。誰でも少なからず心に傷を負った経験があると思うので、どこかに響くものがあるのではないかと。

上田プロデューサーからは、映画の事、ご自身の事などたくさんのお話を伺いました。こちらのインタビューは3回に分けて掲載させていただきます。次回をご期待ください。

あの人に会いたい!インタビュー「アントキノイノチ」上田プロデューサー(中編)
あの人に会いたい!インタビュー「アントキノイノチ」上田プロデューサー(後編)

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