いよいよ公開! 『ソロモンの偽証 後篇・裁判』の魅力に迫る。
はじめての方もそうでない方もこんにちは。
今年も桜が咲きましたね。
お花見しましたか?
八雲ふみねです。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ Vol.12
今回は…。
4月11日に『後篇・裁判』の公開を控えた映画『ソロモンの偽証』の魅力を、八雲ふみねならではの目線でお届けします。
現在絶賛公開中の『ソロモンの偽証 前編・事件』。
皆さん、ご覧になりましたか?
次から次へと立て続けに起こる事件。
さぁ、いよいよ…と、最高潮に盛り上がったトコロで、あのラストカット。
いやぁ〜、すごかったですねぇ。
まるで緊張の糸がプッツリ切れたような衝撃の幕切れに
「この “前のめり” な思い、どこに持っていけばいいの…。」と、戸惑いを覚えた人。
どうにもこうにも<後篇・裁判>の劇場公開まで待ち切れず、
書店で宮部みゆきさんの原作本を手に取り、巻末のページを開きたい衝動にかられた人。
はい、私もその一人です。
続きが気になって気になって、仕方がないですよね〜。
…と、ここまで読んで、
『前編・事件』、まだ観てないから話がわからん!!!
…と、「なんだか置いてけぼり状態」という方。
大丈夫。
まだ間に合います。
何故ならば、
いま<前篇・事件>をご覧いただけば、間もなく4月11日に『後篇・裁判』が公開。
…というコトは、
いい感じの “戸惑い” と “モヤモヤ” を持って、すぐに後篇に挑めるというワケです。
これはもう、今すぐ映画館へGOですっ!
そんな『ソロモンの偽証 後編・裁判』。
見どころは…と言いますと、裁判シーン。
そんなこと、言われなくても分かるよっ!
…と、お叱りを受けそうですが。
これが、素晴らしい!!!
私が後篇に初めて触れたのは、昨年12月。
本作の完成報告会見で司会を務めさせていただくにあたり、前篇を拝見した直後、
当時まさに、まだ編集中だったため、<後篇・裁判>を台本で拝読することに。
「中学生が行う裁判」が見せ場ということで、台詞はやや難解で、しかも膨大な量。
しかしあまりの面白さに、前篇を観たとき同様、その世界観に引き込まれ、一気に読み終えてしまいました。
脚本段階ですでに全編にわたって張りつめた緊迫感。
これが映像になると、一体、どうなるんだろう…。
中学生キャストたちは、どう体現していくのだろう…。
脚本のチカラに圧倒され、半ば放心状態になったことをつい昨日のことのように覚えています。
そして、待望の『後篇・裁判』を映像で拝見したのは、2月末、前後篇イッキミ上映会の直前。
先程も書きましたが、敢えて何度でも言いたい。
素晴らしい。
本当に、素晴らしい。
「前代未聞の学校内裁判」を通じて“真実”と向き合おうとする、中学生キャストたちの強い眼差し。
脇をガッチリと支える実力派俳優たちの、実力派ならではのきめ細やかな感情表現。
熱い思いを内在させながら、それでも淡々と1カット1カット切り取っていく成島出監督の演出。
思春期の少年少女たちの真っすぐさや残酷さがくっきりと映し出され、
裁判の過程で垣間見える“真実”を知るたびに、未来への希望へと導かれていく。
裁判ミステリーとしても人間ドラマとしても、非常に見応えある作品でした。
本作のいちばんの魅力は、やはり中学生キャストの面々。
長期間のオーディションを経て1万人の中から選ばれた精鋭たちです。
完成報告会見に始まり、クリスマス先行試写会、完成披露試写会、前後篇イッキミ上映会、前篇・初日舞台挨拶で、主要キャストの7人とMCとしてご一緒させて頂きましたが、
会見や舞台挨拶の模様を写真や映像で見返してみると、プレスやお客様へのお披露目を重ねるたびに、彼らの表情がどんどん引き締まっていく微笑ましい変化が見て取れます。
構内裁判の提唱者、主人公・藤野涼子を演じた藤野涼子さん。
役名を拝命して、堂々の映画主演デビュー。
劇中で見せる、真実を見透かすかのような汚れを知らない眼差しは強烈。
その素顔は、いつも周囲への気配りを忘れない、素朴で可愛らしい女の子です。
他校生ながらも学校内裁判に参加する、神原和彦役の板垣瑞生さん。
私がナビゲーターを務めているティーチイン試写会&懇親会にも、サプライズ登場して下さいました。
当初は「ナイーブな美少年」といった印象でしたが、
合間の時間にゲームの裏ワザを教えてくれる、人懐っこい一面も…。
陰湿な性格で友人が少ない三宅樹理役を演じたのは、石井杏奈さん。
E-girlsとしての活躍をご存知の方は、樹理役とのギャップに驚いたのではないでしょうか。
<後篇・裁判>での保健室でのくだりは、名シーンですよ。
暴力沙汰の絶えない問題児、大出俊次役の清水尋也さん。
映画本編で見せる不良ぶりから一転、素顔は意外とお茶目さん。
大出が被告となって登場する裁判シーン、彼の背中の演技にはシビれました。
樹理の親友、浅井松子役の富田望生さん。
<前篇・事件>での、父親役・塚地武雅さん、母親役・池谷のぶえさんとの食事シーン、微笑ましいですよね。
舞台挨拶の度にコメントの練習を繰り返していた「頑張り屋さん」でもあります。
涼子のクラスメート、野田健一役の前田航基さん。
お笑いコンビ「まえだまえだ」のお兄ちゃんも、もう16歳。
舞台挨拶でも控え室でも、ムードメーカー的存在でした。
クリスマスに謎の死を遂げる柏木卓也役の望月歩さん。
イッキミ上映会の舞台挨拶時、「本作のオーディション、撮影、プロモーションを通じて自分がいちばん変化したことは?」という質問に、
「自分に自信がついた」と、穏やかな口調で答えて下さいました。
この映画に携わった33名の中学生キャスト陣は、きっと皆、共通の思いを持っているんじゃないかな…。
東京国際フォーラムで開催された完成披露試写会では、キャスト16名と監督が勢揃い。
前列左から、成島出監督、富田望生さん、清水尋也さん、板垣瑞生さん、藤野涼子さん、石井杏奈さん、望月歩さん、前田航基さん。
後列左から、塚地武雅さん、田畑智子さん、小日向文世さん、 夏川結衣さん、佐々木蔵之介さん、尾野真千子さん、黒木華さん、松重豊さん。
中学生キャストを見守る大人キャストの皆さんの温かい眼差しが、とても印象的でした。
ティーチイン試写会でも成島監督がおっしゃってましたが、
この映画は、現在の日本映画界において、とてもチャレンジングな作品だと思います。
主演は新人女優で、社会性の高い長編小説の原作、映画では前篇・後編の2作に分かれている。
しかも、映画興行のなかで所謂稼ぎ時である、春休みとゴールデンウィークに劇場公開される作品に抜擢。
人気俳優を配したエンターテイメント作品とは違い、真っ向から作品性で勝負する「戦い方」は、いまの日本映画界においては試練とも呼べるのではないかと思います。
それと同時に、無垢な才能と成熟した技がコラボレーションした本作は、日本映画界の歴史を大きく揺るがす作品になること、間違いないでしょう。
『ソロモンの偽証』。
この映画には映画製作の夢とロマンが詰まっていると私、八雲ふみねは思います。
それではまた次回、お目にかかりましょう。
お相手は、八雲ふみねでした。
『ソロモンの偽証 前篇・事件』大ヒット公開中
『ソロモンの偽証 後篇・裁判』は4月11日から全国公開
監督:成島出
原作:宮部みゆき「ソロモンの偽証」(新潮文庫刊)
出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、
佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、塚地武雅、松重豊、小日向文世、尾野真千子 ほか
©2015「ソロモンの偽証」製作委員会
・「ソロモンの偽証」公式サイト
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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