堤幸彦:正しいやり方ではないが…映画『天空の蜂』完成報告会見・書き起し
原作者・東野圭吾のコメント
「映画化など絶対に不可能だと思っておりましたが、執筆中に思い描いた以上の映像に圧倒されました。監督や俳優の皆さん、そのほか多くの方々の熱い思いが伝わってくる、骨太の素晴らしい映画だと思います。私自身の血も、この小説に取り組んでいた20年前のように騒ぎました。きっと多くの人々の心を揺さぶることだと思います。」
MC:堤監督、ご自身でも「少しびっくりするような仕上がりになった」とコメントされていますが、改めてどのような想いで、本作に挑まれたのでしょうか。
監督:テロという現代の脅威だったり、3.11を通して生で危機感を感じた中、どのようにこの題材と関わるか。そして、親子の作品でもあるので、その想いを映画的にどう語るか。日本で題材にすべき作品ですし、いろんなテーマが詰まっています。自分だったらどんな立場でいるか、ぜひ考えてほしいです。
MC:また、完成した映画をご覧になって、手応えはいかがでしたか?
監督:自分で言うのもなんですが、本当にビックリしました。この凄さはぜひ劇場で体感していただきたい。特に音と、音楽はこだわっています。
ビッグBの音は生き物のようにとリクエストしているので迫力が凄まじいですし、音楽は作曲家のリチャード・プリンさんがハリウッド映画のような仕上がりにしてくださいました。ぜひその辺もお楽しみください。
MC:本作では、8時間に懸ける男たちの熱いドラマやアクションシーンとともに、わが子を救おうとする父と子のドラマも非常に印象的でした。同時に、今の日本人にとって非常に深いテーマ性も持ち合わせている作品だと思います。江口さんはどのような思いや覚悟で、ご出演を決意されたのでしょうか?
江口さん:まず原作を拝見させていただいたのですが、恐怖をリアルに感じました。8時間の中でエンターテイメントに仕上がっていますが、子供から大人まで伝わる、感動作に仕上がっていると思います。“蜂に刺される”と、本木さん演じる三島のセリフにもありますが、沈黙する群衆になってはいけないのだと思い、何か形で残したいと参加を決めました。
MC:本木さんは、本作のご出演を前に東野圭吾さんの原作をお読みになって、この小説が既に20年も前に書かれていたことに大変驚かれたと伺いました。実際にご出演されるにあたって、どのような想いで三島役に臨まれたのでしょうか?
本木さん:頭の中では原作と脚本がうまく混ざっていますが、緊迫感であったり、人間が作り出してしまった怪物“ビッグB”であったり、意思がみえない仮面をつけた沈黙する群衆など…この作品にはたくさんのものが詰まっていました。
自分自身も3.11のような災害を超えて、価値観を再構築しなくてはならなかった時、胸に歯がゆさであったり、恥ずかしさだったり、自分自身も沈黙する群衆の一人だったのではないかと感じ、そのメッセージ性に引き込まれました。
原作者・東野さんもおっしゃっているように、事件の真相がどうかよりも、これから未来がどうなっていくのかを描いています。三島の憤り、矛盾を演じられるよう頑張りました。
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