松居大悟監督:離れ離れになりたくない―『私たちのハァハァ』初日舞台挨拶

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『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015』で、数々の話題作を抑え、”ゆうばりファンタランド大賞”と”スカパー!映画チャンネル賞”のW受賞を果たした松居大悟監督の最新作『私たちのハァハァ』が2015年9月12日に初日を迎え、舞台挨拶に主要キャストならびに松居大悟監督が登壇した。

女子校生が自転車でハァハァしちゃう青春ロードムービー

『私たちのハァハァ』は、バンド・クリープハイプのファンである女子高生4人組が、東京で行われるライブを目指し、福岡から東京までの1,000キロの道のりを自転車で駆け抜ける青春ロードムービー。スペースシャワーTV開局25周年記念として制作され『アフロ田中』『男子高校生の日常』の松居大悟監督がメガホンをとった。

私たちのハァハァ

シンガーソングライターの井上苑子、6秒動画『Vine』で一躍時の人となった大関れいか、『ミスiD 2014』ファイナリストの真山朔、『悪の経典』『映画 鈴木先生』の三浦透子といった、期待の新鋭女優たちが4人の女子高生を演じた。また、ロックバンド・クリープハイプも本人たち役で登場することでも話題となっている。

私たちのハァハァ

「初日をこうして迎えられて、全員が横に並んだ姿がすごく嬉しい」と挨拶をした松居大悟監督は「元々クリープハイプとミュージックビデオを作っていたりしていたんですが、タイトルなどで検索して、観た人の感想とかを見たりするのが好きだったんです。観た人それぞれの感想とかが違っていて、それが作っている時のテーマを遥かに越えて、すごく深いものになったりとか、ファンとか観ている人の解釈で映画なんて作品なんていくらでも越えられるんだと思ったら、その人達のための作品を作りたいと思った」「なんで、そういう映画が無いんだろうっていうことも思って、元々光にあたっている人が上手くいくとか失敗するとかそういうドラマなんてあって当たり前だし、それじゃ僕にとっては親近感が無いような気がしたので」と本作を制作した経緯について語った。

–{ハァハァした4人の女子校生}–

私たちのハァハァ

撮影時の感想を聞かれ、井上苑子は「普段は(歌手として)歌っているので、撮ってる時は、自分が映画に出るという意識がなかった。撮影中は、みんな和気あいあいと仲良くしていたので、変な緊張感がなくて、こうして完成した映画を観ると『ちゃんと映画なんやな』って思って、すごい嬉しいです」とコメント。

私たちのハァハァ

大関れいかは「私も撮影中は映画を撮っているという感覚がなくて、すごく楽しかった。最初は演じている自分が何してるんだろって、すごく恥ずかしかった。でも、やっているうちにすごく楽しくなっていって、スタッフさんとかみなさんがしてくださった気遣いとかのおかげで、すごく楽しく撮影できて、これがこの楽しい映画につながったんじゃないかなと」と初めての演技に戸惑いつつも演じきったことを語った。

私たちのハァハァ

演技未経験でありながらもオーディションで出演を勝ち取った真山朔は「本当に素人だったので、不安のほうが大きかったんですけど、みなさんに引っ張ってもらって、一度しか無い18歳の夏をこんなに素敵に切り取ってもらえて、私にとって大切な大切な作品になりました」と感慨深くコメント。

私たちのハァハァ

三浦透子も「4人で普段過ごしている空気感のまんま、ずっと映画をつくっていったので、思い入れはすごくあります」と他の3人と同様なきもちであったと語り「人に聞いた秘密をずっと1人で抱えていた感じで、公開するまでの時間がずっともやもやしていて、やっと初日を迎えてみなさんのもとに届けられてすごい嬉しいです」と笑顔で語った。

–{涙たっぷりの監督に…}–

何度も涙がこぼれ落ちそうになる松居大悟監督

4人のそれぞれのコメントを聴いた松居大悟監督が「すごい感慨深くなって。泣きたくないのに泣きそうになってきたな」と涙を浮かべながら話しはじめ「1年前の夏に撮って撮ったあと、それぞれのライブとかイベントとかに行ったりずっと一緒に過ごしてきて、取材とかも一緒にしてきて、ようやく初日を迎えて映画としてはこれからみんなのものになっていくんだと思ったんですけど、ということは僕らはもう会わなくなるのかなと思ったら、なんか寂しいですね」と更に言葉につまる場面も。

私たちのハァハァ

完成した映画を観た感想について聞かれた中村映里子は「松井さん、またいい映画作ったなと。本当にいい映画だと思ったのと、夢中になれることがあるのってすごくいいなって。私はそういう青春を送ってこなかったから、すごく素敵だなと思ったし、若いからとか、高校生だからとかじゃなく、いくつになってもたぎらせてくれるものがあるといいなと思いました」と発言すると、松居大悟監督は言葉もなく涙を目にいっぱいに浮かべ、キャスト陣が思わず「監督泣きそうになってる!」と笑いながら反応し、会場は一気に笑顔とともに温かいムードに。

私たちのハァハァ

私たちのハァハァ

『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015』で上映したものからは、中村映里の登場する最後のシーンがカットされた理由を聞かれた松居大悟監督は「夕張映画祭をかけたとき、本当に僕は4人の気持ちになっちゃって『なんでこんなところで怒られなくちゃいけないんだろ』って思ってつらくなっちゃって、(そのシーンを)切ったらすごくすっきりしたので」と作品への思いいれの強さを感じさせる発言も飛び出した。

私たちのハァハァ

松井組では常連の池松壮亮は「松井さんとは、何度もやってきましたけど、今回が一番おもしろいと思いました」と太鼓判を押した。

私たちのハァハァ

最後の挨拶で松居大悟監督は「本当にキャストとかスタッフとかみんなで作った作品だからという制作側の思いもありつつ、それが本当にようやくお届けできて『みなさんのハァハァ』にしたいなというのが純粋な気持ちです。元々こういう風に劇場に足を運んでくれたりとか、その感想を抱いたりしてくださる方がいるおかげで、僕はこの映画を作らせてもらったので、どんどん拡がっていったら、すごくいいなという気持ちと、離れ離れになりたくないなという気持ちの両方があります。でも、いっぱい観て欲しいです」と最後までこぼれそうな涙を我慢しながら語り、大勢の拍手の中舞台挨拶が終了となった。

私たちのハァハァ

映画『私たちのハァハァ』は、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー。

(C) 2015「私たちのハァハァ」製作委員会

(取材・文/黒宮丈治)

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