アニメ

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2015年10月10日

ネズミ版『七人の侍』としての 3DCGアニメ映画『GAMBA ガンバと仲間たち』

ネズミ版『七人の侍』としての 3DCGアニメ映画『GAMBA ガンバと仲間たち』


快挙ともいえる
ベテラン声優・野沢雅子の起用


もっとも、いざ作品に接してみてユニークに思えるのは、ガンバたちがいわば傭兵として島へ赴き、ノロイらと戦うというストーリー展開が、黒澤明監督の『七人の侍』(54)の韻を踏んでいることで、そういえばガンバら仲間の数は、助けを求めに来た忠太を含めるとちょうど7人なのでした。
GAMBA ガンバと仲間たち


つまり、本作はネズミ版『七人の侍』なのです。

これは1940年に生まれ、戦後の混乱から60年安保、高度経済成長期などとともに多感な思春期をくぐり抜けてきた原作者・斎藤惇夫の志向性とも即しているような気がしてなりません。

一方でこの視点は、TVアニメ版には意外に希薄な要素であったようにも思われますが、それはTVアニメ版のほうが冒険色が強く打ち出されていたからではないでしょうか。

対する本作のほうは、およそ90分といった尺も考慮しながら、全体的に闘いに重きを置いた映画としてタイトに構成されている感もあります。

特に後半からクライマックスにかけての闘いは、白組ならではのダイナミックな3DCG映像が効果を発して圧巻。

環境とお財布の中身にゆとりのあるかたは、ぜひ立体視(3D)で鑑賞することをお勧めします。

キャラクターではノロイの声を演じた野村萬斎が適役ですが、それ以上に今回嬉しかったのは、TVアニメ版でガンバの声を務めていたベテラン野沢雅子が、ガンバたちを助けるオオミズナギドリのリーダー、ツブリを演じていることです。
GAMBA ガンバと仲間たち


TVアニメ版と3DCG版とではガンバをはじめキャラクター造型は漫画チックか否かを問う以前に、平面と立体の大きな違いがあり、その意味でも今回のガンバは若手声優の梶裕貴で大正解だったと思いますが、それでも70年代ファンとしては野沢雅子の声も聞きたい。
そんな願いにこたえてくれていることで、本作はTVアニメ版にもリスペクトを捧げた作品になり得ています。

またTVアニメ版のツブリはオス(声は嶋俊介)だったのですが、今回はメスになっています。
かつては少年役を得意としていた大ベテランの名声優・野沢雅子ですが、ここにきて女性の声を担う機会も増えているようで、その意味でも今回、彼女がメスのツブリ役で登場し、後進を頼もしくバックアップしているのが感無量なのでした。

正直、同世代の友人などから「TVアニメとイメージが違いそうだしなあ」といった、未見の段階で既に否定気味な意見もよく聞くのですが、既に見ることができたこちらとしては「イメージが違っているからこそ面白いし、でも“何か”が同じだよ」と言い返すことにしています。

それが『GAMBA ガンバと仲間たち』の本質です。

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)

『GAMBA ガンバと仲間たち』は2015年10月10日(土)全国ロードショー!
公式サイト http://www.gamba-movie.com/

(C)SHIROGUMI INC., GAMBA

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