『007 スペクター』をより面白く堪能するために……


時代とともに移り変わる
ボンドガールの資質


007 SPECTRE スペクター



肝心のボンドガールに触れずじまいでしたが、今回のヒロイン、マドレーヌ役に知的美女レア・セドウが扮しているあたり、時代の推移を痛感させられます。

そもそもボンドガールはボンドの活躍を彩るセクシー美女として認識されていたのが、時代の流れとともにそれ以上の存在感を要求されるようになり、さらにはソフィ・マルソーやハル・ベリーなど実力派女優がヒロインを演じるようにもなりました。

今回のレア・スドウも単なるセクシー度よりドラマとしての機能を重視してのキャステイングのように思われますが、一方でセクシー熟女モニカ・ベルッチの登場には、往年のボンドガールの個性を委ねているようでもありました。

思えばショーン・コネリー扮する初代ボンドは美女をボンッと突き飛ばしてベッドインするような荒っぽい男でしたが、3代目のロジャー・ムーアはたとえ敵でも女性に対しては笑顔で接するという優しいプレイボーイ風で、5代目ピアース・ブロスナンはその中間をいっているような感じもしたものです。

一方、どこか暗い影を引きずるダニエル・クレイグの6代目ボンドは、これまでは女性に対しての興味が従来のボンドより薄い気もしていましたが、では今回はどうか? それは見てのお楽しみということで……。

結局、今回の『スペクター』をもっとも堪能するためには、やはりシリーズ全作を見ておくことという、ごく当たり前の、身も蓋もない結論に達してしまったようです!?

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)

SPECTRE (C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.

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