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2016年01月19日

観光客を呼ぶロケ地をゼロから作り出すロケーションジャパン

観光客を呼ぶロケ地をゼロから作り出すロケーションジャパン

ロケーションジャパンtop


シネマズ公式ライターのアスカです。


映画と切っても切れないのがロケ地。実際に撮影現場となった現地へ行ってみたいけどその作品を撮影した場所がどこなのか、エンドロールには撮影協力などといった形で地域名や施設名が記されていますが、細かい場所まではわからないことが多いですよね。そんなロケ地のグルメや観光情報を網羅しているのが機関誌ロケーションジャパンです。



「おいしいグルメがあるけどまだ注目されていない地域がたくさん見つかったんです。販路がないのはもったいないと思い、LJマルシェで販売することにしました」



そう語るのはロケーションジャパン編集長の山田実希氏。同誌を発行している株式会社地域活性プランニングは映画・ドラマのロケ地として地域への誘致を促し、ロケ地となった地域のグルメや観光情報を機関誌に掲載して発信しながら、名産品をLJマルシェでネット販売までを行っています。今回、ロケ地情報の最前線を行く同誌の山田氏にインタビューを実施。同社の役割やロケ地の事例、ロケ地巡りをする際の楽しみ方などをお聞きすることができました。


ロケーションジャパン1




ロケ地を観光地に変える「ロケーションジャパン」


同社はロケ地となった場所へ観光客を呼び込む、つまり、聖地巡礼を支えている影の立役者です。聖地巡礼というとアニメの舞台になった地域に足を運ぶイメージがありますが、例えば『北の国から』なら北海道・富良野といった具合に、映画やドラマでのロケ地を巡るという人々の行動は以前から普通に行われていることなんですよね。


ただ、ビッグタイトルでシリーズ化された作品のロケ地は放っておいても観光客が集まりそこそこの賑わいを見せますが、作品の撮影をきっかけにして町おこしをしようと考えている地域としては、ロケ地の情報をきちんとした情報として発信できるかがカギとなります。たとえ地方の田舎が作品を誘致できたとしても、撮影が終わってしまえばそれで終わってしまいます。


そこで、ロケーションジャパンではその地域のグルメや観光情報を調査し、作品を観た人がロケ地へ行ってみたい、そこの名物を食べてみたい、と思えるような情報をしっかり残すという仕事をしています。「ロケ地巡りのついでにその土地のおいしいものや温泉を楽しんでほしいです」と山田氏が語るように、ロケ地の情報は人を呼び寄せる効果があり、グルメや観光などにつなげるさまざまな可能性を秘めています。


その代表例が、ロケ誘致をプロデュースしたドラマ『孤独のグルメ シーズン3』で第3話に登場した静岡県河津町です。ドラマと同じ「わさび丼」を目当てに訪れるファンが河津町に殺到し、わさび丼はすっかり河津町の新名物に。わさびを使った7つの新商品も人気となり、河津桜で知られるこの地に新たな名物が生まれました。多額の広告費をかけずに、ドラマのロケ地になったことでたくさんの観光客を呼ぶことに成功したのです。ロケの誘致とグルメ開発、そして、情報発信の三拍子が揃って実現できた事例と言えます。



ロケーションジャパン2



ちなみに、そんな河津町は2015年8月に開催の「全国ふるさと甲子園」で準グランプリを獲得していましたね。


関連:全国ふるさと甲子園は地域をアピールする真剣勝負と、人の魅力が溢れる場だった




すべてのドラマがロケ地探しで利用する「ロケなび!」


そもそも、ロケーションジャパンは映画やドラマなどの映像関係者を対象に、ロケ地に適した場所を紹介する機関誌でした。しかし、意外と一般の人も読んでいることがわかり、ロケ地をインターネットで探す時代になったということもあって「ロケなび!」が誕生。映像関係者向けのロケ地情報はロケなび!に集約し、ロケーションジャパンはニーズに合わせて一般向けのグルメ・観光情報に注力するよう路線変更しました。


ロケなび!はロケ地探しサービスで業界No.1となっており、2016年1月より放送を開始したテレビドラマのすべてが利用しています。特にロケ可能な建物の情報に強く、ホテル、電鉄、学校など160以上の施設を掲載。映画を観ているとよくホテルや廃校でのシーンを目にしますが、そういった施設を簡単に見つけられるのがロケなび!というわけです。


企業や建物の所有者は撮影場所として貸すことで撮影使用料を得られるため、中にはそれで多くの収益を上げている施設もあるんだそうです。企業や学校は遊休施設や校舎の空き時間を活用して収益化できるだけでなく、イメージアップにもつながるのでメリットだらけ。ある女子大学ではドラマに使われたことによって入学希望者集めに役立ったんだとか。


ロケーションジャパン3




ロケ地・観光情報・名産品販売の3ステップを提供


地域活性プランニングはロケ地探しサイト「ロケなび!」によって地域にロケを誘致し、ロケ地のグルメ・観光情報を掲載した「ロケーションジャパン」でロケ地を観光地へと変化させ、そして、気軽にロケ地のグルメがネットで買える「LJマルシェ」によってより多くのお金を地域にもたらすという、3ステップの仕組みを提供する重要な役割を担っています。


さらに、山田氏の話によると、日本で撮影したいのに撮っていい場所がわからないハリウッド関係者向けにロケーションジャパンの海外版を発行する計画を進めているんだとか。2016年中に実現するかどうかは未定ですが、もし海外版が発行されることになれば今以上に外国人観光客が増える要因にもなるでしょう(すでに創刊号は発行済み)。


映画やドラマが今後もたくさん製作されることは間違いありません。同社のロケ地開発力・発信力には映画・ドラマ関係者からも地域からもより一層の期待が高まるのではないでしょうか




作品に浸ってロケ地の観光やグルメを楽しもう!


インタビューが終盤に差し掛かったところでロケ地巡りの楽しみ方を伺ったところ、本気で楽しむ大前提として作品は絶対に見ておくことを挙げた上で、現地に行ってデジカメやスマホで写真を撮るときには作品の該当シーンと同じアングルで撮影するとより楽しめる、とのコツを教えていただきました。建物の角度や背景に気をつけて撮影しましょう。また、本当に好きな作品だったらその作品のBGMをかけて車で行くのも良いとのこと。


ただし、ロケ地が私有地であるときには注意。柵を越えたりせず、民家を勝手に撮影するのもやめましょう。マナーをきちんと守りながら楽しみましょうね。


ロケーションジャパン4



最後に、山田氏は「ロケ地はプロが選んだ風光明媚な場所なので、たとえその作品が好きじゃなくてもきっと素敵な場所だと思いますから、観光のつもりで楽しんでほしいです」とおっしゃっていました。地域のおいしいものを味わったり温泉などに行って満喫しましょう!


ロケーションジャパン編集長の山田さん、お忙しい中ありがとうございました。


(写真・染谷昌利/取材・アスカ)

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