【インタビュー】映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』主演・黒木華



――もう1人重要な役・真白を演じたCoccoさん。黒木さんは、音楽人としてのCoccoさんのファンでもあるそうですね。

そうなんです。それもあって、今回共演する以前に、Coccoさんの主演の『KOTOKO』を観ていたんですが、その時に衝撃をうけたことを覚えています。まるで役を演じている感じではなくて、自分自身を削って、生身をさらしているような映画で、フィクションなのにフィクションと思えない感じでした。
その時に、すごい衝撃をうけて「どういう風に演技をされるんだろう」と思っていたんです。歌手の方だから、感性がすごいと思うんです。自分の気持ちや内面を言葉にして、人に晒していくことはすごいと思っていて、その分すごく自由な人なのかなと思ってたんです。

――実際は違った?

台詞はすごく忠実なんです。岩井さんも、もっと自由な感じでやる人かと思っていたと言うぐらい、すごく真面目な方。

――映画で観る印象とは違いますね。

台詞に忠実なのに、なんであんなに自然に”真白”としてそこにいるように見えるんだろうと思いました。そのおかげで、居てくださるだけで、私も七海になれちゃうんです。不思議な魅力がある人で、すごく刺激を受けました。あと、現場ではムードメーカーで、明るくて、たのしくて、人を気遣ってくれる人です。

今の時代を映す作品、そして理想の結婚相手


リップヴァンウィンクルの花嫁 黒木華 インタビュー



――ちょっとプライベートなお話を聞かせていただきたいのですが、自宅で”うどん”を粉から作っているって本当ですか?

本当です(笑)

――なかなかうどんを粉から作らないですよね。

こだわらなければ簡単ですよ。作りたくなったら作っちゃうんです。パンも作ります。

――料理得意なんですね。

今の時代は“クックパッド”という神器があるので(笑)便利な時代だなって思います。

――ネットを使いこなしていますねー!そういえば、本作でも冒頭ネットを通じて彼氏を見つけるところからはじまりますね。

今っぽいなと思います。LINEのようなメッセージアプリも、すごくハードルが低いじゃないですか。嫌になればお互いにブロックできるし。それってすごいことだと思うんです。

――といいますと?

私が中学のときはすでに携帯はあったのですが、それよりさらに一歩踏み込みやすい感じがするんです。だけど、すごく遠い感じがする。私からすれば、会ったこともない人と合うのはハードルが高いし、ましてや結婚するなんて想像できない。ニュースでも「ネットで知り合った」なんて言葉が出てくるので、それが”今”なんだと思いました。だから七海ちゃん自身も今っぽい存在だなって思います。

――黒木さん自身の結婚観は?

結婚願望がないんです(笑)ただ、うちの母親が私を30歳で産んでいるので、目標というわけじゃないけど、なんとなくそうなのかなというのはあります。

――理想の結婚相手は?

お互いに自立して、ずっと感謝しあえるような相手が理想です。自立しているからこそ支え合えると思います。

自分がそうであったように、心に残る作品に


リップヴァンウィンクルの花嫁


映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』より (C)RVWフィルムパートナーズ

――作品の話に戻るのですが、最後に猫のかぶりものをして歩いてるシーン。あれが流れてきたときに「終わらないほしい」と思ったんですよね。最初上映時間を聴いて3時間って長いなって思ったのですが、岩井俊二監督が「いつまでも撮り続けたい映画だった」と言われていたように、僕も「いつまでも見続けていたい映画」だと思ったんです。

嬉しいですね。岩井さんに伝えます(笑)

――あのシーンはどういったタイミングで撮影されたんですか?

岩井さんが急にアイデアが浮かんだらしく「傾きながら歩いてくれ」とか言われて歩いた感じです。かぶりものをしているので、どこを歩いているかわからないから、ただ歩いているという感じでした。

――どうしてあの猫型のかぶりものを?

あれは、顔が見えないSNSの匿名性を表しているらしくて、それと七海ちゃんのSNSのアイコンが猫だからだそうです。

――これから観る方に、どういう風に観ていただきたいですか?

本当に淡々としているけど、物語のうねりがすごい作品。私が『リリイ・シュシュのすべて』を観て、いつまでも心に残ったように、今の時代の人たちがみて、この作品が、いつまでも心に残ってくれたらいいなと思います。

リップヴァンウィンクルの花嫁 黒木華 インタビュー



映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、本日2016年3月26日より公開。


画像ギャラリー


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(写真・文/黒宮丈治)

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