映画コラム

REGULAR

2016年05月23日

股間の食い込み200%アップ!実はサム・ライミ版「クモ男2」な「変態仮面」続編!

股間の食い込み200%アップ!実はサム・ライミ版「クモ男2」な「変態仮面」続編!


実は「シビル・ウォー」と同じ問題を扱っている!「変態仮面・アブノーマル・クライシス」


実は変態仮面のマスクは、自身の正体を隠すためだけの物ではない。

それ自体が変身用アイテムとして必要不可欠であり、パワーを得るためには被り続けなければならない物。例えるなら、アイアンマンにとってのアーマーだとも言える。
問題はそのエネルギー源が、ある特定の人物=ヒロインの精神的犠牲の上に成り立っているという点だ。

実は本作のテーマは、「シビル・ウォー」における「一般市民への犠牲問題」に通じるものなのだ。社会全体への被害や犠牲ではなく、もっとミニマムな世界、つまり自分に一番近くて大切な人の不幸の上に成り立つヒーローの存在を描くことで、観客により身近な問題として感じさせることに成功している。

それに加えて、本来原作の「シビル・ウォー」においてのもう一つの重大な問題である、「スーパーヒーローたちが、自身の正体を隠す理由」という部分こそ、実は映画「変態仮面」で描こうとしてきたことなのだ。

ヒーローの正体が明らかにされることで、彼の身近な存在が危険にさらされる描写は、本家「クモ男」の原作でも何度も描かれてきた。実際、本作にも映画版「クモ男」へのオマージュは度々登場するのだが、特に顕著なのは「クモ男2」での電車事故を食い止めるシーンの再現だろう。体を張って自分達を救ってくれたヒーローに対する、一般市民の畏敬の念と感謝を見事に表現した屈指の名シーンの再現は、確かにサム・ライミ版の「クモ男2」の名シーンへのオマージュではあるのだが、本来「シビル・ウォー」で描かれなければならなかった部分である、「ヒーローが自分の正体を隠す必要性」を見事に表現していて、ここだけ取ってみても、本作は「シビル・ウォー」を越えた!と断言できる。(注:あくまでも個人の見解です、念のため)

前作「変態仮面」の大ヒットにより、なかなか日本で成功しなかった、「一般向けのヒーロー映画」が、「下ネタと裸」による一点突破で突き抜け、見事に成功したことは、まさに快挙といっていいだろう。メイキング映像で鈴木亮平自身が語った言葉「この映画は絶対に世界で受ける」が、文字通り実現したと言うわけだ。

待望の続編である、この「変態仮面・アブノーマル・クライシス」こそ、まさに世界市場に通用する日本オリジナルの「ヒーロー映画」誕生の証明だと言える。

サブ1


(C)あんど慶周/集英社・2016「HK2」製作委員会



最後に


「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」の映画が、実は大人の鑑賞に堪えうる作品内容を持つことは、すでに一般観客にも浸透しているが、どうか本作「変態仮面・アブノーマルクライシス」も、うわべに惑わされて馬鹿にすることなく、是非劇場に足を運んで鑑賞して頂きたい。変身アイテムと主人公のコスチュームが特異なだけで、その本質は普通にヒーロー物の王道を貫いて突き抜けて、更に月まで行ってしまったような内容の作品だけに、普段アメコミ映画を劇場で観ている方たちにこそ、絶対のオススメ作品と言えるからだ。

どうしても「恥ずかしいから、DVDになってから家で観る」という風になりがちな作品だが、幸い今は窓口でタイトルを言って買わなくても、オンラインでチケット予約が出来る時代なので、ここはぜひとも大スクリーンで、鈴木亮平の奇跡の肉体を存分にその眼に焼き付けて頂ければと思う。

■このライターの記事をもっと読みたい方は、こちら

(文:滝口アキラ

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!