2016年05月24日

「千葉くんにして良かった。とにかく素晴らしかった。」、「殿、利息でござる!」、中村義洋監督インタビュー

「千葉くんにして良かった。とにかく素晴らしかった。」、「殿、利息でござる!」、中村義洋監督インタビュー

「殿、利息でござる!」が5月14日より公開され、大ヒット上映中となっています。今回シネマズでは中村義洋監督にインタビューを行い、キャスティングや演出、ラストシーンの意図などについて伺って参りました。


中村義洋監督1



──今作はテンポや明るさが絶妙でしたが、どのように演出をされましたか。

中村義洋(以下、中村):僕が演出するとああなっちゃうという感じです。前作「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋‐」はホラーなので、逆にそれが出ないように気をつけました。何か意図してああなるというよりも、普通に撮ってるとああなる感じです。

──役者さんの素の魅力も存分に出ていますが、脚本の段階からイメージはしているのですか。

中村:なるべく考えないようにしてます。よくハーヴェイ・カイテルとかスティーブ・ブシェミをイメージして書いています。キャスティングした際に誰がやっても大丈夫にしとこうというのがあって。最終的にキャスティングが決まってからアテ書きに近いこともしますけど。

──今回映画が制作されるまでの流れを教えて下さい。

中村:東日本大震災があって、自分たちにできることは何かって色々悩んでたんですが、今やっていること、つまり映画製作を続けることこそ大事なのではないかと思うようになりました。そのあと、仙台のテレビ局(東日本放送)と、震災後5年というのをテーマにしてドラマを作ろうと言う話になり、様々な企画を検討していきました。その中でこの原作が出てきました。「これなんじゃないか」と思いましたね。それに実際の吉岡の宿場町は東日本放送から車で15分程度のところですし。これはやらない手はないなと。

──ナレーションの濱田岳さんが独特でとてもわかりやすかったです。濱田岳さんをナレーションに起用をしたのはなぜですか。

中村:まず過去の仙台で撮った作品でも多く組んでいるので何か関わらせたかった。お互い震災後の仙台を気にかけていたのもあるので。今回はスケジュールなどから残ったのがナレーションしかありませんでした。結果的にあそこまでわかりやすく整理が付くとは思いませんでした。やらせてみて本当に良かったです。

──濱田岳さんをずっと起用されている理由は。

中村:人間的な魅力さえあればイケメンじゃなくても主役でいいんじゃないかって(笑)「デリカテッセン」で主役をやっているドミニク・ピノンのように。

──仙台の繋がりで言うと羽生結弦選手が出ていますね。仙台が舞台ということで快諾頂いたのでしょうか。

中村:そうですね。この豪華キャスト陣を超越しつつ、実際の当時の伊達の殿様の年齢である25歳くらいの俳優…なかなか思いつかなかったんですよね。みんな何となく、だったら羽生選手なんかどうだ? と思いつつも誰もそれは口には出ず(笑)でもやっと名前が出て「まあ出ないよね」と思いつつダメ元で当たってもらいました。そしたら「出るって言ってますけどどうしますか」ってなって(笑)それで出て頂きました。

他の出演者には当日殿が出てくるまでキャスティングを秘密にしていました。みんなで当てにかかってましたよ。(仙台出身の)サンドイッチマンさんとか(笑)

──羽生結弦選手の貫禄とひれ伏す豪華キャスト陣のバランスが本当に絶妙でした。

中村:当時のそういう身分制度的に殿を直視しちゃいけないというのがあるじゃないですか。でもチラッと見たくなっちゃう的な(笑)それで実際のあの空間が良い感じになりましたね。ぴったり合って良かったです。

──キャスティングで言うと、阿部サダヲさんと瑛太さんのキャラクター設定が普段のイメージと逆な気がしてそこがまた面白かったです。

中村:そこは狙ってますね。妻夫木くんと瑛太も逆なんじゃないかとか話は出ましたね。その意外さはだいたい狙ってます。

──松田龍平さんが一番キレ者な演技ですが、そこのキャスティングはどのようにされたのでしょうか。

中村:そこも羽生選手と似てます。年齢設定にしても何にしても。それと「アヒルと鴨のコインロッカー」にも出てもらったので何かしら出てほしいというのがありました。

──千葉雄大さんや重岡大毅さん、若手のキャスティングはどのように決まったのでしょうか。

中村:千葉くんの役は誤解を恐れずに言うと、誰がやっても面白くなると思いました。さらに甘ったるいイケメンのおぼっちゃんな感じの人がやってくれたら、なお良しと。千葉くんは仙台市の横の多賀城市というところの出身というのもあって、芝居も見ないで即決で決めました。そでも現場の芝居を見たら、本当に千葉くんにして良かったと思いました。とにかく素晴らしかった。2回目に嘆願を出しに行くシーンなんて、素晴らしすぎて泣いてしまいました。その上、謙虚なんですよ。褒めると嫌がる(笑)結構役者陣はみんな仲が良くて、みんなで飲みに行ったりしてたらしいんですが、千葉くんは全然喋らない。ニコニコ飲んでるだけ。みんなからしたら脅威ですよね(笑)

重岡くんの役は阿部サダヲさんに似てる人というのが前提で探し始めました。僕の映画って親子や兄弟の役で本気で似た人を探したりするんです。重岡くんの名前が出て、出演作品を見たら芝居も抜群だったので「是非!」となりました。

──ラストシーンの演出意図について教えて下さい。

中村:原作を読んで最初に思いついたのがあのラストでした。最初と最後で同じ人が出てくるけど、受ける印象が全然違う、というものですね。また、吉岡の今を映すことで、親から子へ、未来へという願いも込めました。

──中村監督は泣かせ上手だと思うのですが、泣かせる展開で心がけてる部分はありますか。

中村:ストレートにはやらないことですね。どストレートはカッコ悪いと思うので。そして自分が泣いちゃうもの。その気持ちで撮っています。今作だと原作を読んだ時も泣いてしまったので、それがそのまま込められています。

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