映画コラム

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2016年06月16日

大混乱を極めた都知事辞任劇は、まるで映画「フロスト×ニクソン」だった

大混乱を極めた都知事辞任劇は、まるで映画「フロスト×ニクソン」だった

数週間、数ヶ月に渡り都政の混乱があり、都知事は辞任する運びとなりました。それに関しての意見はあれこれ書きませんが、一つの映画のことが頭から離れなくなったのでご紹介します。

作品の名前は「フロスト×ニクソン」です。

フロスト×ニクソン [DVD]

ニクソン大統領辞任からの復活画策、そして謝罪劇を描いていく


ウォーターゲート事件で大統領を辞任したリチャード・ニクソン。そんな彼から謝罪を引き出そうとインタビューを依頼したイギリスの司会者デヴィット・フロスト。ニクソン側はそのインタビューでフロストを打ち負かして政界復帰のきっかけにしようと画策。そのインタビューとその前後を映画では描いていきます。

難しい政治の駆け引きサスペンスとかではなく、言うならばこれはバトル映画です。フロストVSニクソンの戦いの映画です。

もちろんそこに血は流れません。その代わりに激しいインタビューと言いますか舌戦が繰り広げられていきます。

フロストはニクソンの謝罪を引き出し自らのインタビュアーとしての地位を不動のものにしたい。ニクソンはインタビューを活用し、誤解を払拭し政界へ戻りたい。勝ったほうがそれを手にすることが出来るのです。

言葉と言葉のボクシング対決と言っても過言では無い戦いが映画では繰り広げられます。

舞台劇を原案としていますが、インタビューは実在し、フロストがニクソンから謝罪を引き出したのも事実です。ただしフィクションの部分ももちろんありますので、完全に信じこむのはちょっと危険でもあります。

どうしても今回の辞任劇と被る


「フロスト×ニクソン」はニクソン大統領の辞任会見から幕を開けます。つまり主題は辞めた後ということになります。

今回と言いますか、今実際に起きている都政の混乱は知事が辞任を表明するまでなので、今の状況と映画「フロスト×ニクソン」は明確に状況は被りません。

それでもニュースを見る度に映画を思い出すのです。おそらくですがニクソン元大統領が「説明すりゃみんなわかってくれるだろ」みたいな態度を取っていたからだと思います。ニクソン元大統領は説明することで信頼を取り戻せると自信を持っていたわけです。

実際インタビューはニクソン優勢で進んでいきました。しかし、ある一言で一気にニクソンは劣勢に。何かこの辺り、色々今起きていることと被るなと個人的には思いました。

ちなみにこの逆転のシナリオこそ映画最大の見どころですので、その辺りは是非映画をお楽しみ頂ければと思います。

純粋にこの映画はマジで面白い


本作の監督は名匠ロン・ハワード。アカデミー賞受賞作「ビューティフル・マインド」や、「アポロ13」、「シンデレラマン」、「ダ・ヴィンチ・コード」など多くの名作やヒット作を持つ監督です。

ロン・ハワード監督は特に実話を題材にした映画の評判が高いです。本作でも史実として知っていることを描いているのに全く飽きず、むしろのめり込んでいくのです。

映画的なカタルシスがあるのは「窮地に立った人物(フロスト)が一発逆転する」からでしょう。まるでボクシングの最終ラウンドで一発逆転したような、そういうカタルシスです。

ちなみに、本作はリチャード・ニクソンを決して完全悪としては描いていません。ニクソンの不器用さや人間味も合わせて描いています。映画が終わってニクソンに思うことは怒りというより哀れだなという同情心でした。

果たして舛添都知事は数年後、どう思われていくのか。未来のことは誰もわかりません。

言えることは1つ、「フロスト×ニクソン」は面白い映画なのでオススメ!ということです。

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(文:柳下修平

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