Jホラー、1996年から今日までの20年の歩み
粗製乱造から再び大型企画が。
「リング」「呪怨」でスタートを切り、「着信アリ」シリーズ、「富江」シリーズなどが出てくると日本映画内でもホラー映画が大きなウェイトを占め、海外でも評価を集めリメイク権が売れるようになると一気にJホラーブームになり、制作本数が一気に増えた。
幸か不幸かこれにリンクしたのが戦国時代とも一万人時代ともいわれる空前のアイドルブーム。ホラーにスクリーミングクィーン(絶叫ヒロイン)が必要不可欠ということでアイドル側・映画制作側の双方需要が一致してアイドル主演のホラー映画が大量に公開された。そうなると必然的に発生するのが粗製乱造・玉石混交という流れで、作品数は増えたもののクオリティ面で追いつかなくなっていった。そのアイドルのファンだけが劇場に来なくなり、結果としてJホラーの日本映画内の占める割合が急速に狭くなっていった。
短い期間に公開規模を限定して、出演アイドルのファンだけに特化して宣伝を展開、入場者プレゼントなどを週替わりで用意、その後のソフト販売もそれなりに計算できるとなればば良くも悪くもビジネスとしては成立してしまう。それはそれでいいのだが、純粋なホラー映画ファンにはホラー映画が縁遠くなるように感じ始めていたのも事実で、このまま先細りしていくかと思われた。
復調のきっかけはやはりJホラーブームを生み出した二大ブランド「リング」と「呪怨」だった。
ともに現実世界でのブランクの生かし方が巧みだった。「リング」シリーズはその過ぎた時間を利用して貞子の存在が都市伝説化しているという設定にして「貞子3D」シリーズをスタート。「呪怨」は完全に設定をリブートして「呪怨 わりの始まり」「ザ・ファイナル」と最終章を改めて描いた。
この二つのシリーズの新作が全国規模で公開さるようになり、Jホラーが久しぶり日本映画のメインストリームに還ってきた。その後の大型企画作品は、簡単に作品名だけ上げると「女優霊」の中田監督自身によるアンサームービー「劇場霊」。
久しぶりにホラーのフィールドに帰ってきた中村義洋監督の「残穢‐住んではいけない部屋‐」。
園子温監督オリジナルの設定で進む「リアル鬼ごっこ」。
三池崇史監督のバイオレンス描写が冴える「神様の言うとおり」。
日本初の大作ゾンビ映画「アイアムアヒーロー」
(C)映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)花沢健吾 / 小学館
森田剛がサイコパスモリタを演じる「ヒメアノ~ル」などなど。
(C)2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会
“R15指定上等!!”といった気概で作られた、後を引く恐怖映画が絶え間なく劇場に並ぶようなってきた。ちなみに、アイドル主演ホラーも座組が大幅に強化されて、「ホ―ンテッド・キャンパス」が全国規模の公開作品として待機中だ。
(C)2016「ホーンテッド・キャンパス」製作委員会
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