君は「シン・ゴジラ」を見たか。

■「役に立たない映画の話」

  

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【ネタバレ禁止バージョン】


アメリカ映画はゴジラと向き合っていない。


先輩 もう見たかね? 「シン・ゴジラ」は。

女の後輩 まだなんです。これから行こうかなあ、と。

先輩 そりゃあ、なるべく早く見たほうが良いよ。

女の後輩 そもそもなんで、日本のゴジラ映画は12年も作られなかったんですか?

先輩 最後に放った「ゴジラ/ファイナル・ウォーズ」があまりヒットしなかったからなあ。それと今回新作を作ったのは、やっぱりハリウッド・ゴジラを意識して、ということはあると思うな。

女の後輩 ハリウッド・ゴジラというと、一昨年公開された「GODZILLA/ゴジラ」のことですか?ギャレス・エドワーズ監督の。

先輩 そうそう。ただ、常々思っていることなんだが、アメリカ映画界はゴジラ映画に正面から向き合っていないね。

女の後輩 どういうことですか?

先輩 ギャレス・エドワーズはイギリス人の青年、その前に「GODZILLA」を撮ったローランド・エメリッヒ監督はドイツ人、当初予定されていたヤン・デ・ボン監督だってオランダ人だ。つまり、これまでアメリカ映画がゴジラのキャラクターを使ってゴジラ映画を作ることはあったけど、それをアメリカ人が監督したことはない。

女の後輩 何か特別な事情でもあるんでしょうか?

先輩 偶然だろうと思うけど(笑)。ただ、原爆を落とした国と落とされた国。「ゴジラ」が背負っているメンタリティというのは、この国の被害者意識にも繋がっているから、それは原爆を落とした国では理解出来ないさ。

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山田洋次監督にゴジラ映画を撮らせろ!!


女の後輩 それでもハリウッド・ゴジラが作られて、世界中でヒットしたじゃないですか。ならば本家の日本は、どんなゴジラ映画を作れば良いのですか?

先輩 やはり、世界唯一の被爆国であることを出すしかないだろうな。ギャレスのゴジラは、そのあたりハッキリと描いてなかったし。

女の後輩 じゃあ、そういうゴジラ映画を撮れる監督って誰ですか?

先輩 やっぱり戦争体験者だろうな。あえて名前を出すとすれば、山田洋次監督だ。

女の後輩 ええーーーーっ!!??

先輩 いや、御本人も怪獣映画を撮りたがっていたらしいんだよ。何年か前、松竹で河崎実監督が「ギララの逆襲」を撮る時、プロデューサーにそのシナリオを持ってこさせ、赤入れしたと言うから。

女の後輩 本当ですか?

先輩 御本人も言っていたらしい。松竹では喜劇もラブ・ストーリーもサスペンスも撮らせてもらったが、怪獣映画だけは撮っていないから、ぜひやりたいと。これは数年前に聞いた話だけどな。

女の後輩 ちょっと想像出来ないですねえ・・。

先輩 そんなことより、早く「シン・ゴジラ」を見てきたまえ。噺はそれからだ。今からだったら、次の回に間に合うぞ。

女の後輩 そうします。では。

 

ご注意
ここから先の「ネタバレ解禁バージョン」では、「シン・ゴジラ」の内容に触れています。映画をまだご覧になっていない方は、必ずご覧になってからお読みください!!

「シン・ゴジラ」を既にご鑑賞済みの方のみ、次のページにお進みください。

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