全裸で水浴び!健康的なエロ満載の女ターザン版もののけ姫、それが「シーナ」!
先日から日本でも上映が始まったのが、最新のCG技術により、往年の人気アクション映画を遂に現代に蘇らせたことでも話題の映画「ターザン REBORN」。
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内容的には、ターザンが現代社会に帰ってからの姿を描いた映画「グレイストーク」に近いのだが、更にもう一度ジャングルに戻り、CGを駆使したアクションが炸裂するという、1本で2度美味しいお得感が味わえる娯楽映画巨編となっている。
実は、上半身裸で見事な筋肉美を見せる本作のターザンを観ていて、ふと、「あー、これが女性だったらもっと面白いのに・・・」と。
そう考えていて思い出したのが、今回紹介する女ターザン映画、「シーナ」だ。
日本公開から既に30年以上も経つ映画にも関わらず、主演のタニア・ロバーツのセクシーな魅力と、CGではない本物の動物たちの素晴らしい演技によって、今でも一部の映画ファンの間で根強い人気を誇る作品だ。今回は「ターザン REBORN」をこれから観る方の予習、あるいは既に観てターザン物に興味を持った方のために、ぜひこの「シーナ」を紹介したいと思う。
ストーリー
アフリカの奥地に存在するという、「病気やケガの治癒能力を持つ土」を調査する白人の地質学者夫婦。だが、突然の地震による落盤により死亡してしまう。残された幼い娘シーナは、現地の部族の女祈祷師に育てられることになった。やがてシーナは、動物をテレパシーで動かすジャングルの女王へと成長する。稀少金属が眠る鉱山の利権、それを狙う部族間の争いに巻き込まれて死んだ女祈祷師の復讐と、ジャングルの平和のため、動物たちを引き連れてシーナが立ち上がる!
女版ターザンである「シーナ・ジャングルの女王」、その誕生と映画史的背景
映画「シーナ」の元となったのは、1955年にアメリカで放送開始されたTVシリーズ「ジャングルの女王」(英語題:Sheena Queen Of The Jungle)。主演はブロンドの美女、アイリッシュ・マッカラで、日本でも1957年にTBSで放送された人気シリーズだった。
原作はS・M・アイジャーの人気コミックなのだが、なんとその誕生は1938年で、スーパーマン誕生の僅か1ヶ月後!映画版でも、主人公がちゃんとチンパンジーのチキを連れているなど、やはりその根本には本家「ターザン」シリーズからの影響が多く感じられる。
実は映画版「シーナ」のリメイク版企画実現には、80年代初頭におけるアメリカ映画界のトレンドが大きく関係している。
まず、80年代を代表するSEXシンボルだった女優ボー・デレク主演で、ジェーンの視点からターザンを描いた変化球映画、「類猿人ターザン」が1981年に製作され、翌年1982年には、まずシュワちゃん主演の「コナン・ザ・グレート」、続いてやはりタニア・ロバーツ出演で、動物と会話が出来る剣士が主人公の映画「ミラクルマスター・七つの大冒険」がアメリカで公開されるなど、アメリカ映画界の傾向としてターザン路線からの「半裸の筋肉男優アクション」の需要が高まっていた。
更に見逃せないのが、「シーナ」と同じ1984年に公開された女性版スーパーマン映画の「スーパーガール」だ!こうして女性が主人公のアクション映画大作の登場にも後押しされ、遂に1984年、これら様々な要素を兼ね備えた「シーナ」が、遂にスクリーンに復活したというわけだ。
ちなみに、同じ1984年には、コナンの続編「キング・オブ・デストロイヤーコナンPART2」が公開され、更に翌年1985年には、女コナン物とでも言うべきスピンオフ作品「レッド・ソニア」が公開されている。ブリジット・ニールセンとシュワちゃんが競演したこの映画、実はマーベルコミックス「RED SONIA」を実写化したものであり、現在のマーベル・シネマティック・ユニバースの先駆けとなる作品だと言えるだろう。
こうして見てくると、比較的低予算で出来るこのジャンルの作品が、この時期に集中して製作されていた事が判る。実は今でも、この手の「強い半裸の女性」が活躍するアクションは根強い人気があり、「シーナ」も2000年に、ジーナ・リー・ノリン主演で新たなTVシリーズが作られている。幸い、このTVシリーズは日本でもDVD化されており、3本がリリースされているのだが、タイトルがそれぞれ、「ジャングル」、「ジャングル2」、「人喰蟻」となっているので要注意!主演のジーナ・リー・ノリンがモデル出身で超セクシーな上に、なぜか主人公シーナが動物に変身出来る能力がある!など、楽しめる要素満載なので、レンタル店で見かけたら是非一度鑑賞して頂きたい。
ちなみに、「レッドソニア」も2008年頃にリメイクの企画があったが、主演のローズ・マッゴーワンの降板や資金・権利上の問題などで、残念ながら実現することはなかった。
恥ずかしくないヌード、そしてエロ!健康的お色気こそ、女ターザン物の魅力!
幼い頃に両親を失い、アフリカの部族に育てられたシーナ。都会の一般常識や、異性の存在を知らずに成長した彼女には、恋愛感情や裸が恥ずかしいという意識がない。だから男の前で平気で全裸で水浴びするし、男に裸を見られても、「なぜ水浴びしないの?」とのセリフが飛び出す始末。本人に恥ずかしいという意識がないため、いやらしさがなく非常に健康的で、観ている側も恥ずかしくないのが、この映画の素晴らしい所だと言える。ちなみに、本作でのシーナのコスチュームは、原作コミックの物を現代風に上手くアレンジしており、超ミニスカートから長く伸びた見事な脚線美には、あなたの眼も釘付けになること請け合いだ。
生涯を娯楽映画に捧げたジョン・ギラーミン監督と、今見てもエロい!主演のタニア・ロバーツ
本作の監督は、惜しくも昨年9月に亡くなった、生涯娯楽映画一筋に生きた信用出来る男、ジョン・ギラーミン!
代表作が「タワーリング・インフェルノ」、しかも遺作があの不朽の迷作「キングコング2」という、徹底した娯楽映画一筋の職人監督だけに、中盤の原住民の村が敵の一団に焼き払われるシーンのスペクタクル感が素晴らしい!今ならCGでいくらでも派手に出来るのだが、この当時の実物を爆破している迫力も捨てがたいものがある。他にも、ゾウやライオン・サイなどなど、CGではなく実際の動物たちに演技をさせている点も、現代の観客の眼には逆に新鮮に映るのではないだろうか。
そしてそして、何と言っても主演のタニア・ロバーツがセクシー!
彼女のブレイクのきっかけとなったTVシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」では黒髪だったのだが、本作ではその髪をブロンドに染めて大幅なイメチェンを図り、それが見事に大成功!こうした大胆なイメチェンの効果もあってか、彼女は本作「シーナ」の次に、大作「007美しき獲物たち」のボンドガールとして大抜擢されることに。見事にこの「シーナ」でチャンスを自分のものとしたタニア・ロバーツの、この作品に対する情熱とやる気は、シマウマに跨って疾走するその勇姿にも現れているので必見だ!
最後に
今見返すと、後年のジブリ映画「もののけ姫」にも通じるストーリーと、世界観を持つ本作。実は時代を先取りした作品として、現在では再評価するファンも多い。
象が女祈祷師の遺体を埋める穴を掘ってくれたり、サイが敵を威嚇しに突進して来るなど、現在ではCGでしか見ることの出来ない描写が、本物の動物の演技によって描かれている様は、今でも新鮮な驚きを我々に与えてくれる。
本作が持つ、自然への回帰と物質文明への警鐘というメッセージは、CG全盛の今の映画興業界に対するアンチテーゼとして、未だに十分通用するものだ。スマホのゲームやSNSに疲れた時にこそ、是非この映画を観て自然の素晴らしさと、タニア・ロバーツの脚線美に癒されてみては?
ちなみに本作は、その年の最低映画を決める、第5回ゴールデン・ラズベリー賞において、最低作品賞・最低監督賞・最低女優賞・最低脚本賞・最低作曲賞の主要部門にノミネートされていたが、残念ながらというか幸運にもというべきか、結局賞に輝くことはなかった。
「裸を恥ずかしいと思う心が恥ずかしい」、そんな基本的でとても大切なことを教えてくれるこの映画、オススメです!
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(文:滝口アキラ)
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