映画コラム
セックスがちゃんと意味を持つ映画オススメ5選
セックスがちゃんと意味を持つ映画オススメ5選
Photo via VisualHunt
セックスは人間が子孫を残すために必要なものでありますが、快楽を求める行為としても定着しています。
ここでは、セックスをきっかけとして物語が展開する、セックス描写こそが重要であった5つのオススメ映画をご紹介します。
当然、すべて18禁ですのでお子様は観ないでね!
1:『愛の渦』
=乱行パーティー!
乱交パーティー会場を舞台とした作品で、ほぼその行為をする一夜のみを切り取っています。登場人物たちが服を着ているシーンは、なんと全体のわずか15%!とにかくヤリまくっているのです。
しかし、ただの下品な映画と思うことなかれ。
主人公がニートの青年であったり、平凡な女子大生が感じている“後ろめたさ”は、複雑な心理としてしっかり描かれています。
作中で描かれているセックスは“非日常”であり、普段の生活では手に入らないものです。そこで乱交に興じる人々は何を得て、何を感じるのか、そこが見所になっているのです。
いい意味でキツかったのは、セックスの合間での“なんとか会話をしようとするシーン”。この時のいたたまれなさ、居心地の悪さは、「早くこんなところから出たい!」と思わせました(褒めています)。
なお、タイトルの“愛の渦”を示すシーンは、作中ではっきりと出てきます。
見ず知らずの人間とのセックスは、そのまま“(海の)底”に連れて行かされる渦そのままのようでした。それを“愛”と呼べるかどうかは、観る人それぞれで異なるでしょう。
2:『ふがいない僕は空を見た』
=コスプレエッチ!
中年にさしかかりつつある人妻が、同人誌即売で出会った高校生と出会ったことをきっかけとして、不倫関係に陥っていく物語です。
このふたりはアニメのコスプレ服を着て「あんず」「むらまさ様!」とキャラ名を呼び合いながらセックスをします。もちろん“イタさ”を感じるのですが、人妻の日頃のストレス、その日常から現実逃避をしたいという想いを丹念に描いているので、彼女にしっかり感情移入ができるでしょう。
高校生とのコスプレエッチが人妻の心の隙間を埋める行為である一方、夫との間にはセックスをしても子どもが生まれない、という対比構造もとてもうまくできています。
何より強烈なのは、孫の誕生を望んでいる、姑の描写。その行動はとにかく怖く、人妻を“もう逃れられない”状況に追い込む様は、下手なホラー映画の500倍は恐ろしかったです。
この映画で感じたのは、セックスは喜びだけでなく、苦しみを与えるものであるということ。その“性”は“生(きること)”への尊さへとつながっていく、ということでした。
コスプレエッチをする映画と聞くと、これまた下品な作品に思えるかもしれませんが、実際はセックスに悩む人にこそ観て欲しい、メッセージ性の強い人間ドラマになっているのです。
なお劇中の高校生をはじめとした男性は、タイトルが示すように“ふがいない” ところを見せるのですが、最終的には男性へエールを送っているようでもありました。男性は子どもを産む苦しみを知らず、ただセックスをするだけで何もできない……そう思われがちですが、決してそうではない。映画を観終わって、そう感じたのです。
3:『ラスト、コーション』
=ハニートラップ(色仕掛け)!
この映画で描かれているのは、女スパイによる“ハニートラップ”、色仕掛けです。その行為に及ぶまでの過程がいい意味でねちっこく、(ある意味でセックス以上に)刺激的な作品でした。
色仕掛けをされる男は誰も信用できない特異な環境にいたために、女との肉欲にまみれたひと時だけ人間らしくいられる。スパイになる女は、演劇活動を経てスパイになり、偽りの自分でいなければならないはずなのに、男とセックスを繰り返すことで本当の自分を見出してゆく。
この、セックスを起点としてお互いの価値観が変わっていく心理描写が見所なのです。
もちろんスター俳優のトニー・レオンの肉体美も魅力のひとつ。女性であればうっとりするかもしれませんね。
なお、監督は『グリーン・デスティニー』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リーで、人間の内面が丹念に描かれていることに “監督らしさ”を存分に感じることができました。
スパイ映画としての構図はポール・バーホーベン監督の『ブラックブック』に似ているのに、ここまで別物の映画に仕上がっているというのもおもしろいですね。『ブラックブック』はPG12指定止まりと思えないほどの下品なシーンがあり、ブラックコメディの様相も呈していたりもします。
4:『フィギュアなあなた』
=等身大マネキンとのセックス!
フィギュア好きのオタク青年が犯したマネキン人形が、ヤクザをぶっ殺しまくった後になぜか青年と同居生活をするというプロットが大変素敵な映画です。佐々木心音さんがノーパン(丸見え)でアクションするのが最高だぜ!
“妄想か現実かわからない”領域に向かう物語であり、観る人によって解釈が異なるというのもおもしろいですね。
5:『セッションズ』
=段階を踏んで、はじめてのセックスをしよう
最低の音楽教師が出てくる、あの『セッション』とは違う映画ですのでご注意を。
ポリオによって首から下が麻痺した38歳の男性が、童貞喪失のためセックス・サロゲート(セックス代理人)を雇うという物語で、18禁指定しなくてもいいのではないかと思うほどに“健全”なセックスのやりとりが描かれています。
この映画でわかるのは、障がい者の性生活をサポートするセックス・サロゲートがとても尊い職業であること、セックスが本来はとても喜びに満ちた行為である、ということです。
これはセックスに嫌悪感を持っている、または抵抗がある若い方にも、ぜひ観て欲しいです。少しずつセックスに成功していく主人公がとてもかわいらしく、応援でき、(障がいを持っていなくても)自分も同じようにセックスに喜びを感じたい、と思うことができるでしょうから。
まとめ
以上にあげた5つの映画はセックス描写がありつつも、映画としての完成度も高い作品ですので、「18禁映画なんて観たことがない!」という人にもオススメできます。
特に『ラスト、コーション』と『セッションズ』は18禁とは思えないほどに万人向けの作品と言えるでしょう。暑い夏、ゲスい目的でも良いので是非見てみてください。(台無しな締め)
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(文:ヒナタカ)
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