池袋サンシャインシティは拘置所跡地で、東池袋中央公園は処刑場跡地だった?
池袋の人気スポット、サンシャインシティ。実は元々「スガモプリズン」という拘置所があった場所なのです。今回はその「スガモプリズン」と映画『壁あつき部屋』についてご紹介します。
「スガモプリズン」とは?
元々巣鴨刑務所があった場所で、旧「東京拘置所」でもありました。
映画『スパイ・ゾルゲ』でも知られるゾルゲ事件の主犯、リヒャルト・ゾルゲと尾崎秀実の死刑が執行された場所でもありました。
そんな旧「東京拘置所」は、第二次大戦後にGHQによって接収。名称が「スガモプリズン」になります。B級戦犯、C級戦犯の52名の死刑執行もされました。
また、極東国際軍事裁判で死刑判決を受けた東條英機らA級戦犯者の7名の死刑執行もこのスガモプリズンでされました。
1952年に日本に移管され「巣鴨刑務所」になるも、「巣鴨プリズン」と呼ばれることが一般には多かったそうです。
1958年にこの「巣鴨刑務所」は閉鎖。1964年に開催された東京オリンピックに合わせた再開発計画の一環として(オリンピック後の開発として)、紆余曲折ありながらも1978年にサンシャイン60が完成し、今でもサンシャインシティの中心として役目を果たしています。
なお、処刑のエピソードを聞くと些かサンシャイン60の印象が悪くもなるのが事実ですが、処刑場跡地はサンシャイン60の敷地には含まれておらず、東池袋中央公園として公園整備がされました。そこには平和の願いが込められた石碑が立てられ、今日でもその姿を見ることができます。
スガモプリズンの歴史を垣間見られる映画『壁あつき部屋』
1956年に公開された名匠小林正樹監督作品『壁あつき部屋』。2016年10月5日にようやくDVDが発売されることになりました。
スガモプリズンに服役していたB級戦犯、 C級戦犯の者たちの手記『壁あつき部屋 -BC級戦犯手記-』をもとに安部公房が脚本を執筆しています。
映画は複数のエピソードで構成され、服役している時を「今」として、なぜ戦犯になったのかをフラッシュバックで描いていきます。
一足お先に完成したDVDで拝見をさせて頂きましたが、その物語には胸が締め付けられる悲しさや理不尽さがありました。戦争でなくとも、日々人と人とは対立し、そして理不尽な上下関係が生む悲劇が繰り返される人類の物語。
過去の物語だからこそ、今生きるこの世界を改めて考えるきっかけになる。そんな作品であります。
まとめ
B級戦犯、C級戦犯を扱い、否が応でも戦争や平和を今の世界と繋げて考えてしまう本作ですが、戦争時代と戦後の一側面を見ることが出来る作品であるため、歴史の学習の一つとしても価値ある、見るべき作品であります。
どうしても若い世代であると、1950年台の映画には触れないで生きてきています。興味があるなしではなく、目の前にそれが現れないので結果的に見ないで生きてきています。
いざ見てみると、そこには今まで触れたことの無い映画の力があります。
悲しさや理不尽さを覚えつつも、「世界はこうあるべき」を押し付けず、私たちが今を生きる上で考えた方が良いであろうことの一側面を与えてくれる映画『壁あつき部屋』。
みなさんは、この映画のラストカットに何を思うでしょうか。
小林正樹監督『壁あつき部屋』は2016年10月5日に発売となります。
(撮影・文:柳下修平)
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