映画コラム
普通のラブコメに飽きた大人へ。ユニークな恋愛映画のおすすめ
普通のラブコメに飽きた大人へ。ユニークな恋愛映画のおすすめ
Photo credit: Collin Key via VisualHunt / CC BY-NC-SA
いよいよバレンタインデーですね。チョコレートやスペシャルデートの準備をする人もいれば、まったく興味ない人もいるかと思いますが、この時期が近づくと「ラブコメ」や「ロマンス映画」をつい観たくなってしまいませんか?
「どうせつまらない映画だろう」と、恋愛映画に対して偏見を抱く人が少なくないと思いますが、実はとても見応えのある傑作作品もたくさんあります。
というわけで、今回は「普通のラブコメ」に飽きた人へ独特なロマンス映画をおすすめします。
1:『ブルーバレンタイン』
話題の『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリング(ディーン)と『マリリン 7日間の恋』でゴールデングローブ賞(主演女優賞)を受賞したミシェル・ウィリアムズ(シンディー)が出演する、サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭などで注目を浴びたラブストーリーです。
ある日医科大学の学生のシンディーが引越し屋で生計を立てているディーンと知り合います。二人はすぐ仲良くなりますが、シンディーは男友達との関係により妊娠していることを発覚します。
5年後ディーンとシンシアが1人娘をもっている夫婦となっていいます。ディーンはペンキ屋、シンディーは看護師として家計を支えている。2人の間はうまくいかないが、娘のためを思い離れる決心ができません。
『ブルーバレンタイン』が愛の始まりと終わりを描きながら、もはや愛や永遠の幸せに幻想をもっていないカップルが抱く後悔と葛藤を語ってくれる傑作作品です。
2:『ルビー・スパークス』
天才作家として大きな期待が寄せられているカルヴィン(ポール・ダノ)がスランプに陥っており、新しい小説を一枚も書けず絶望の日々を送っています。「とりあえず書いてみて」と精神科医にすすめられ、理想の女の子“ルビー・スパークス”の物語を書くことに。しかし、架空の人物だったはずのルビー(ゾーイ・カザン)がある日カルヴィンの前に現れます。
カルヴィンはルビーが自分の想像の産物であることを隠しながら執筆を通じて「理想的な彼女」を作り続ける。しかし、ルビーが強い個性を表しはじめ、「完璧な恋愛」がいつまでも続くわけにはいきません。
理想の相手は自分の都合に合わせてくれる存在であるべきでしょうか?このように自問自答する人、また愛する人を支配してまで幸せを手に入れたいと思っている人にこそ『ルビー・スパークス』をおすすめします。
3:『エターナル・サンシャイン』
失恋したら、全ての思い出を捨てるまでその痛みから解放されたいと思いませんか? もし記憶を削除してくれる会社が存在したら、あなたはどうしますか?
『エターナル・サンシャイン』が描く世界ではそのようサービスを提供する会社が存在します。ある日、ジョエル(ジム・キャリー)の手に不思議な手紙が届く。そこに最近別れた恋人クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)についてこう書かれていた。「クレメンタインはジョエルの記憶を全て消し去りました。今後、彼女の過去について絶対触れないようにお願いします。ラクーナ社」、と。
そこで彼も彼女との記憶を消すことを決意し、一晩寝ている間に脳の中の特定の記憶だけを消去できる施術を受けます。しかし、クレメンタインと過ごした日々を逆回転で体験する無意識のジョエルは、忘れたくない貴重な時間の存在に気づき……。
『マルコヴィッチの穴』や『アダプテーション』などのシュールな世界を作り上げたチャーリー・カウフマンの脚本家から生まれた傑作作品です。
4:『her/世界でひとつの彼女』
『エターナル・サンシャイン』の物語が気になりました?そうなら『her/世界で一つの彼女』も見逃してはいけません! 『her/世界でひとつの彼女』は、上記の『マルコヴィッチの穴』と『アダプテーション』の監督スパイク・ジョーンズが監督と脚本を手掛けたSF恋愛映画です。
近未来のロサンゼルスに住むセオドア(ホアキン・フェニックス)は妻キャサリンと別れてから悲嘆の日々を送っています。ある日人工知能型OSサマンサと出会います。セオドアが声(スカーレット・ヨハンソン)だけで実態のないサマンサに対して魅力を感じ、次第に二人は恋人同士のような深い関係になりますが、セオドアのすべての期待に応える「理想的な彼女」のような存在だったサマンサが徐々に自分の個性を表しはじめる……。
本作品が第86回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しました。
5:『ムーンライズ・キングダム』
第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選定され、高い評価を得たウェス・アンダーソン監督の映画です。
1960年代のニューイングランド島が舞台。ボーイスカウト活動をしているサム(ジャレッド・ギルマン)が常に本を読んでいる少女スージー(カラ・ヘイワード)に恋をします。キャンプの生活になじめない二人は文通を始め、キャンプから抜け出すことに。島をひとりで守っているシャープ警部、ボーイスカウトのウォード隊長、スージーの両親など、大人たちが自由に森で過ごしている二人を追いかけ、小さな事件の波紋が島中に広がっていきます。
ウェス・アンダーソン監督の独特のユーモアと映像を楽しめる、キュートなラブストーリーです。
6:『フィリップ、きみを愛してる!』
事故で命を失いかけたスティーヴン(ジム・キャリー)は、好きなことだけをして生きることを決意する。詐欺師として暮らしはじめたスティーヴンは、ある日保険金詐欺で投獄されますが、刑務所で運命の人に出逢います。それは優しいフィリップ(ユアン・マクレガー)です。
フィリップと豪華に暮らすためにスティーヴンが再び詐欺師の道を歩み、再び投獄されますが、それでも諦めず4回も詐欺と脱獄を繰り返すのです。そしてその目的はたったひとつ、フィリップに「きみを愛してる!」と伝えるためです。
この映画の一番大きなびっくりポイント? 『フィリップ、きみを愛してる!』の物語が実話だということ! 実在のスティーブン・ラッセルが現在も懲役167年の刑でテキサスの刑務所に収監されています。彼のドキュメント小説「I LOVE YOU PHILLIP MORRIS」を基に、ユーモアが溢れる『フィリップ、きみを愛してる!』が映画化されたわけです。
ラブコメと聞くと「浅い映画」という印象を持つ人が多いかと思いますが、恋愛をテーマにする傑作作品もたくさんありますよ。今年のバレンタインデーに少し変わったラブロマンスを観賞してみてはいかがですか?
(文:グアリーニ・ レティツィア)
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