インタビュー

2017年02月17日

『さらばあぶない刑事』今夜放送!金曜ロードSHOW!プロデューサーが語るその魅力

『さらばあぶない刑事』今夜放送!金曜ロードSHOW!プロデューサーが語るその魅力

金曜ロードSHOW!では2月17日に、日本テレビ(以下、日テレ)を代表する作品『さらばあぶない刑事』をテレビ初放送します。放送にあたり、シネマズでは放送の経緯やターゲットにする視聴者層などについて谷生俊治プロデューサーと稲毛弘之プロデューサーにお伺いしました。




(c) 2016 「さらば あぶない刑事」 製作委員会



ー『さらばあぶない刑事』を放送することになった経緯を教えてください。

谷生 去年公開されて、約16億円を超える大ヒットを記録した映画ですので、金曜ロードSHOW!での放送を検討しました。日本テレビの出資映画でもありますし。

ただ、「あぶない刑事」(以下あぶデカ)はメインのファン層が、普段の番組のターゲットである視聴者層に比べ少し年齢が上になります。その点は懸案事項ではあるのですが、大ヒットを記録した作品ですし、金曜ロードSHOW!で放送して、より広い視聴者の方々にお届けしたいと考えたのです。金曜ロードSHOW!は親子視聴を大切にしていて、「あぶデカ」はドラマを楽しんで頂いていたお母さんがお子さんに勧めて一緒に見てもらえる、といったこともあるのではないかと期待しています。チャレンジ的要素を含む作品ですが、ぜひ見てもらいたいです。

稲毛 金曜ロードSHOWは、スタジオジブリ作品に代表されるアニメや「ハリー・ポッター」などのファミリーで楽しめる映画を放送することが多く、「さらばあぶない刑事」のターゲットとは若干視聴層が異なるかなと思っています。ただ、劇場でこれだけヒットした話題作ですし、金曜ロードSHOW!で放送することで、「あぶデカ」を知らない世代にも見るキッカケを提供できたらと思い編成しました。見てもらえれば満足していただける映画です。

谷生 アクションも派手ですし。

稲毛 最近、アクションが多い刑事ドラマが減ってきてると思うのですが、『あぶデカ』はアクション満載で、今の刑事ドラマに慣れている視聴者には新鮮に映ると思います。『あぶデカ』以前にはアクション満載の刑事ドラマはたくさんありましたが、『あぶデカ』はそんな、男臭いアクション刑事ドラマに、軽妙な会話のやり取りやおしゃれなファッションなどを取り入れて、その後大ブームを巻き起こすトレンディドラマの原点になる手法がたくさん見受けられんですよね。

谷生 最近「バディもの」という括りが一般的に使われるようになってきましたが、バディものとしても現在の日本のドラマなどに多大な影響を与えている作品だと思います。他のバディものは、弱点を補い合ったり、補填しあったりするものが多いのに対して、あぶデカは二人とも弱点らしい弱点がなく、組むことで相乗効果を引き出し合っているところも面白いと思います。

稲毛 金曜ロードSHOW!では1989年から2006年まで合計23回「あぶデカ」シリーズを放送してきました。特に90年代は毎年必ずラインナップし、金曜ロードSHOW!を代表するキラーコンテンツだったんです。今回、その06年以来、約10年ぶりの「あぶデカ」を放送出来ることを非常にうれしく思います。



(c) 2016 「さらば あぶない刑事」 製作委員会


ーこれまでシリーズものを放送するときは、何週かに渡って、何作も放送することが多かったと思いますが、今回単独で放送する理由は?

谷生 複数週にわたって、関連作品やシリーズ映画を放送する仕掛けを「祭り」と呼んでいて、ご指摘の通り、金曜ロードSHOW!では、よく行っています。ただ、本作は「あぶデカ」映画のテレビ放送が久々だという話題性もありますし、単独でもインパクトを持っていますので、「祭り」という仕掛けをせずに、単独で放送することにしました。

稲毛 前の週は『銭形警部』を放送したのですが、実は僕らの中では、勝手に2週連続『刑事祭り』のつもりでやってるんです(笑)『あぶデカ』も『銭形警部』も伝説の刑事やダンディズムなど共通するところも結構多いので、『銭形警部』を見てくださった視聴者には、翌週の『あぶデカ』にも興味を持ってくれるだろうと考えました。



(c) 2016 「さらば あぶない刑事」 製作委員会


ーターゲット層が30代後半から50代前半だと思うのですが、あぶデカシリーズを知らない若者層にはどのような反応があると思いますか?またどんな反応を期待されていますか?

谷生 過去のドラマシリーズを知らなかった方でも、見てみたら「面白い」と思ってもらえることを期待しています。今の若い世代ですと、あぶデカ自体を全くしらないという方も多いと思います。そういう方たちが金曜ロードSHOW!の「さらばあぶない刑事」を見て、「こんなに面白いんだ」という発見するきっかけになると嬉しいです。公式SNSで、本作の宣伝活動をしている中で、「あぶデカ、お母さんが絶対見るって言ってた」といった書き込みがありました。そのような形で、お母さんとお子さんで一緒に見られて、楽しんでいただければ最高です。

稲毛 中規模や小規模映画で話題になった作品を金曜ロードSHOW!で放送することで数字取れるということがありま。劇場ではそんなにヒットしなかったけど、騒ぎになる映画は結構ありますよね。劇場まで行くにはハードル高くても、金曜ロードSHOW!でやっていたら見ようかなという潜在ニーズはあると思います。今回の「あぶデカ」では、劇場公開時には興味を持たなかった人々に、金曜ロードSHOW!でやってるから見てみようかなくらいの、軽い気持ちで「あぶデカ」ワールドに入ってもらいたいなと思っています。

谷生 金曜ロードSHOW!で常に意識しているのは、「映画との出会いの場」を作っていきたいということです。

金曜ロードSHOW!の放送を見ることで、ある映画に初めて出合う、という方も結構いらっしゃると思っています。あ、こういう映画もあるんだ、という。今回の編成を通して「あぶない刑事」という伝説的なドラマから生まれた作品の世界観を感じていただいて、新しい出会い・発見になるといいなと思っています。

普段金曜ロードSHOW!をご覧にならない方でも、テレビを付けたら「あぶない刑事」がやっていて、懐かしいなという出会いになるかもしれませんし、とにかく、今回の放送が視聴者の方々のいろいろな出会いのきっかけになったら素晴らしいと思います。

稲毛 歴史のある作品なので、ネット等で調べるとたくさんの「あぶデカ」情報が見つかりますし、過去作もたくさんあります。一度興味を持っていただけたらどんどん過去に遡って、「あぶデカ」ワールドに触れられますので、初めての方は、今回をキッカケに、昔からのファンの方は改めて過去を振り返ってもらうと、さらに「あぶデカ」を楽しめるかと思います。今では当たり前になっているドラマから映画という流れを作った先駆けの作品ですので、色々と楽しんでいただきたいですね。

谷生 いろいろな会話のきっかけにもなるかもしれないですよね。作品に流れる「バブリーな雰囲気」なども、親子の話題になるかもしれませんし。そんな形でも楽しんで頂ければいいなと思っています。

稲毛 浅野温子さんの役などは、「あぶデカ」だから許されると思うんですよ。あれだけぶっ飛んだ役は、最近ないと思うんですよ。まわりの演者さんに力量がないと受け止められない(笑)浅野温子さんが、30年前と同じ熱で演じてくれることがうれしいです。こういうところが昭和から平成を駆け抜けたドラマのパワーなのかなと思います。ぜひ、ぶっ飛んでいるけれども破たんしてない、この絶妙なバランスを楽しんでください。

谷生 今回、あらたな工夫という意味では、舘ひろしさんと柴田恭兵さんに収録をお願いしました。お二人はサングラスもかけてくださって、タカとユージ風でメッセージを頂きました。その様子も当日流れますので、ぜひお楽しみにしていただいて、映画だけではないプラスアルファにもご期待ください。

稲毛 収録のときにサングラスをかけて欲しいけど、難しいだろうなと思っていたら、わざわざ控室にサングラスを取りに行って下さり、サングラスをかけてくださいました。こちらからお願いしていないのに、お二人ともサングラスを持ってきてくださっていたことに感動しました。二人ともかっこよくてダンディ。あんなかっこいい60代は見たことないです。30年間セクシーでダンディを続けているってすごいですよね。

谷生 本当にセクシーでダンディですよね。



(c) 2016 「さらば あぶない刑事」 製作委員会


ー同作を放送するにあたり、部署内で盛り上がったことはありますか?

谷生 お二人の収録が決まった時はみんなテンションがあがり盛り上がりました。関係ないけど収録を見にいきたいという人もいたりして・・・(笑)。

稲毛 放送が決まった時に周りはざわざわしましたね。久々に帰ってきたかという感じはありましたよ。

谷生 今回お二人にご協力いただいて新しく撮った素材を使ってPRさせていただいたりとか、全面協力をいただけたのは、ありがたかったですね。

稲毛 初回放送から30年経ったとは思えない、お二人のカッコよさ。しかも30年前と同じ役柄をやっておられる、こんなドラマはなかなかないと思います。他の刑事ドラマでしたら、あの年齢だと課長だ部長だと役職がついて、現場には出て行かないと思うんですよ。「あぶない刑事」は舘ひろしさん、柴田恭兵さんでなければ本当に成立しなかっただろうなと思います。今回放送の「さらばあぶない刑事」では、いよいよ二人が定年を迎えるのですが、このお二人ですから、そう簡単には定年を迎えません!最強の敵を迎え、最後の戦い?にお二人が挑みますので、ぜひこんな刑事、二度と現われませんので、金曜ロードSHOW!でお楽しみください。

谷生 ドラマ時代のファンの方が見られたら、あのキャストがいまはこうなって、こんなところに登場・・・といった感じで、お楽しみいただけると思います。本当にフルキャストが勢ぞろいしていますので、そういう発見もぜひ楽しんでいただければと。若い人は「この人誰?」と親に聞かれたりするシーンもあるかもしれませんが、そうした親子の会話のきっかけづくりにも役立てたりすると嬉しいです。
今作のヒロインは菜々緒さんが演じられています。あぶデカドラマの時代にはデビューされていない菜々緒さんと館さんとの絡みは見所のひとつだと思いますので、ぜひ注目して見ていただけたらと思います。

(取材・文:波江智)

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