『一週間フレンズ。』の山﨑賢人クンはまさに漢(おとこ)の誉れである!
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
少女漫画の原作を中心とした思春期少女や少年たちを主人公とした、いわゆる“キラキラ映画”が現在花盛りではありますが、そのあまりの作品数の多さに、もはや区別がつかなくなってきている年配の映画ファンが続出し(この点こそが、若いかどうかの明暗を分けそう⁉)、それゆえに「みんな中身は同じじゃないか」といった批判も何かといわれがちではありますが(こういうことを言うこと自体、もう若くはないことを吐露しているのだと個人的には思いますが……)、いざ見てみると、中にはちゃんとした作品だっていっぱいあると反論したくもなります…….。
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.204》
『一週間フレンズ。』もそういった愛らしい作品の一つでしょう!
一週間で記憶をがリセットされる少女を愛した少年の純情
『一週間フレンズ。』は葉月抹茶の同名コミックを原作としたもので、要は一週間経ったら記憶がリセットされてしまう心の病気に侵された少女(川口春奈)を好きになってしまった男の子(山﨑賢人)が奮闘するお話です。
記憶喪失やタイムリープなどはキラキラ映画のひとつの大きな要素となって久しいものがありますが、そういった現実のリアルから若干ずれたところでの(まったくないとも言い切れませんが)ファンタジック性に惹かれるのは思春期世代の特権ともいえるもので、これを現実逃避だなどと批判するのは野暮(そもそも映画なんてもの自体が現実逃避の賜物であり、たかだか2時間ほど世知辛い現実から逃れることの何が悪いの? などと個人的には思います)。
要は記憶喪失だろうが何だろうが、それらを用いて面白い映画が作れているかどうか、それだけの問題でしょうし、その意味でも『一週間フレンズ。』は私のような半世紀以上生きているおっさんが見ても十分楽しめる作品でした。
その大きな理由として、薄幸のヒロインを好きになってしまう主人公の男の子の健気さに、大いに胸を打たれるところがあったからです。
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
生まれ持ったキャラの個性がもたらす気持ちよさ
これまでもさまざまな映画やドラマで好演し『orenge―オレンジ―』や『オオカミ少女と黒王子』『四月は君の噓』などキラキラ映画の出演も多い山﨑賢人ですが、今回は純粋にヒロインのことを想い、真摯に行動し続けていく姿は実にあっぱれで、同性から見ていて、まさに漢(おとこ)の誉れ! として讃えたくなるものがあります。また、その爽やかな個性ゆえに、決してこの恋をあきらめようとしないところからストーカー的雰囲気を醸し出すことがないのも気持ちいいいですね(このあたりが生まれ持ったイケメンかどうかの違いでもあるのでしょう)。
対する川口春奈のヒロインはやはり心の病といった設定もあってか、か細く弱い少女としての存在以上のものが描出しきれていない感はありますが、まあ、男はそういう女の子だからこそ「守ってあげたい」モードに入って惹かれてしまうのも、また真実ではありますので、これはこれで許容範囲。
やはり今回は男の子の側から女の子を見据えた青春ラブストーリーとして、微笑ましく見守ってあげたいところ。
監督の村上正典は、映画版『電車男』を代表作とするだけあって、男のもどかしくも純情な想いの描出に長けた監督のように思えますが、本作もそんな彼の資質が大いに活かされたものだと思います。
「他愛ない」と大人たちは言うかもしれませんが、その他愛ないことに真剣に悩み苦しんでこその思春期でしょうし、実は大人だってずっと他愛ないことに悩みっぱなしで、そのことを隠そうとするあまり、他人の他愛ない悩みを指摘しては己をごまかそうとしているのではないでしょうか。
『一週間フレンズ。』は、そんな他愛のないことに真剣に悩む少年少女の心に真摯に寄り添う作品であると確信しています。
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(文:増當竜也)
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