映画コラム

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2017年02月27日

疲れた体にこの一本!『トリプルX:再起動』は快哉を叫びたくなるスカッと映画だ!

疲れた体にこの一本!『トリプルX:再起動』は快哉を叫びたくなるスカッと映画だ!

■「映画音楽の世界」

トリプルX:再起動 メイン


(C)2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


いやあ、とんでもない映画が現れましたね。以前から映画ファンの間では話題になっていましたが、みなさんはもうご覧になりましたか? これぞまさに映画の醍醐味。ビッグスクリーンで鑑賞する歓び。夢や希望にあふれたストーリー。

『トリプルX:再起動』っていうんですけどね。

『ラ・ラ・ランド』で大いに盛り上がる映画界においてまさかの同日公開というその心意気。片や華やかなミュージカルを描き片や爆発銃撃カーチェイス。賞レースと無縁でもシリーズのファンのためにヴィン・ディーゼルが再び立ち上がった!これだけで十分胸が熱いではないですか。

今回の「映画音楽の世界」は、そんな胸躍る『トリプルX:再起動』を紹介したいと思います!

https://m.youtube.com/watch?list=PLJJubvXAkF7aGQlijIjYLm1BszTjATWFc&v=Y47k80AXpUk&ebc=ANyPxKqSSGuANLeZVsnmc7cWTxKhrBgTdu0HzJ5XMujWn8sMKROCTpxO7QPgitAqipb9TCI-FUQvxA9ZbQT_atI4n2LU1az7sw

これが! アクション! 映画だ!


シリーズとして第3作目となる本作。前作『トリプルX:ネクスト・レベル』ではアイス・キューブが主演を務めましたが、本作では第1作で主人公のザンダー・ケイジを演じたヴィン・ディーゼルが完全復帰。どこかほかの映画でも聞いたような流れですがそれは置いておいて、ではシリーズを観ていないと楽しめないのかというと「そうでもない」のでご安心を。登場人物は初登場時にテロップでキャラクター紹介がなされほとんどが新キャラクター。ストーリーに繋がりはなく、強いて言えば「観ていなくても過去二作品を知っているだけでもより楽しめる」というくらいのスタンスでしょうか。

フタを開けてみればオープニングから知能指数を低下させる(これ褒めてますからね)核心事件の勃発に、ケイジのエクストリーム・ダウンヒルという展開。しかも予告編にもあったそのダウンヒル、いったいどんなミッションかと思えばこれまた知能指数を下げに来る! もうこの流れだけでこの映画がどういった方向性を見せるか解る安心設計。

さらにここで我らが「宇宙最強」、ドニー・イェンというビッグネームを投入!『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』に出演し名実ともに宇宙最強となったドニー・イェンが登場シーンから魅せてくれます! ここからは一気に新キャラクターが登場し、ラストまで駆け抜けていきます。

とにかくこのキャラクターが全員魅力的。ドニー・イェンだけでなく『ドラゴン×マッハ!』でアクション映画のレベルを引き上げたトニー・ジャーに『ジョン・ウィック2』の公開が控えるルビー・ローズ、そしてディーピカー・パードゥコーン、ニーナ・ドブレフ、クリス・ウーらフレッシュな顔ぶれにきっちりと見せ場があり持ち味を発揮。特に後半からは敵対構図が目まぐるしくミックスされながら怒涛のクライマックスに突入、「これが正真正銘のアクション映画だ!」と言わんばかりの描写の連続に脳みそはとろけてしまうわ胸は高鳴るわで、文字通りエンターテイメントの醍醐味を十分に堪能することが出来ます。「スカッとする映画が観たい」「アメコミ以外にもアクション映画が観てみたい」という方には、まさにピッタリすぎる作品ではないでしょうか。

監督は『イーグル・アイ』や『アイ・アム・ナンバー4』などのD・J・カルーソ。「職人監督」と称されたジョン・バダム監督の下で修業を積んだ経験が活かされ、アクションからサスペンスまでしっかりと手堅く演出する手腕が評価されています。本作ではさらにアクションの幅を広げ、ダウンヒル以外でもザンダー・ケイジの持ち味を存分に描いたエクストリームアクションが満載。水上バイクならぬカスタムバイクでの水上チェイスや無重力化でのバトルなどもはや笑いすら込み上げるバトルの連続に、カルーソ監督の一つの到達点を見た、といった印象。しかも大げさなアクションだけでなく、共闘によるガン・アクションにドニー・イェンもローグ・ワン以上の見せ場に嬉々として本領発揮のカンフーを見せるなど地に足着いたアクションも描いているところが、その手腕の見せ所にもなっています。

アドレナリン噴き出しまくりのロック・サウンド


音楽を担当したのはカルーソ監督とは4度目のタッグとなるブライアン・タイラーと、メジャー大作には初登板となるロバート・ライデッカー。タイラーも大作系映画からTVドラマで幅広く手掛け多忙を極めているのか最近は共同作業の機会が増えてきた様子。それでも本作の音はしっかりとタイラーの息吹が吹き込まれ、ワイルド・スピードシリーズや『グランド・イリュージョン』シリーズのような思い切りのよいオーケストラに電子音楽をふんだんに取り込んだ仕上がりになっています。

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タイラーは自身でも大抵の楽器をプレイしてミキシングしてしまうコンポ―ザ―ですが、今回はエレキギターに『パシフィック・リム』や『バトルシップ』の音楽にも参加したトム・モレロを助っ人に呼んでいます。
そしてその音楽も本編に負けじと熱い! 普通アクション映画のサウンドトラックも、通して聴いていると鳴らす場面では鳴らしシリアスな場面では程よく音を添える程度で緩急を付けますが、本盤にはそれがない! なぜなら本編にそんな場面がないから! 収録された21曲が全てテンションマックスの状態。「よくぞここまで勢いを保って作曲したな……」というトラックリストになっていて、映画音楽という枠も超えてロックが好きだったりハウス系のギザギザしたサウンドが好きだ、という人も楽しめる音楽になっています。

まとめ


アメコミ映画の隆盛や、一方で予算の問題で昨今は本作のような純粋なアクション映画、誰もが楽しめるアクションエンタメ映画が減ってきています。そんな状況下でもアクションで勝負するその勢いは相当たるもので、その熱量ははっきりと本編に現れています。ワールドワイドなキャスティングに魅力的なキャラクター。華麗なアクションに、世界を股にかけての活劇。久しぶりに、良い意味で頭を空っぽにして楽しむことが出来る純粋なアクション映画を観たような気がします。もしかしたら、悩み事なんかも吹っ飛ばしてくれるような効果もあるかも? 身構えず、ぜひ劇場で楽しんでほしい一本です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文:葦見川和哉)

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