韓国映画には復讐大喜利を考える人がいるはず
韓国映画の勢いが凄い。どこのコラムでもそう書いてるのでこれはもはや一般常識になってきてる。
前回韓国映画の事を書いて、今回も韓国映画の事を書くのか?と映画の引き出しの少なさを露呈してしまってるコラム4回目。(韓国映画好きなんです……ほんと……)
ここらで真剣に韓国映画の何がそんなに良いと感じるのか考えてみると、やっぱり「復讐」要素に尽きると思う。もはや復讐大喜利の鬼と化してる。
どうやり返すのか? 殺すだけじゃダメだ。もっともっとやり返さないと。倍返しなんかじゃダメだ。どうする! ほら若いの!! 案出せ!! 復讐がよければそれでええねん!!
お題「こんな復讐はやられたら嫌だ」はい! あるやつ!!
はい! はい!! はい!!!
新しい復讐方法を求めそんな声が会議室から飛び出てると思う。
何気なくNETFLIXで観た『悪魔は誰だ?』
原題は『モンタージュ』というらしい。(原題でよくない?『悪魔を見た』に寄せてんのかな?)
2013年チョン・グンソプ監督作品。
15年前の誘拐事件が時効を迎えてしまい、悲しみに暮れる母親と担当刑事。警察から見放された母親は独自に事件を追う。そんな中、15年前の事件と似た誘拐事件が起きて……。
という内容。時間軸が絶妙に食い違い、ギリギリご都合主義にならないストーリー展開で全く先が読めずかなり楽しめた。
そう。この映画にもやはり秀逸な「復讐」劇があった。ラストシーンは泣けるし。
ああ何気なく観てかなり幸せ。よかった~
この監督有名じゃない中、脚本も書いてるし多分新人かな?新人でこれだったらとんでもないじゃないか……いいな~韓国映画~振り切ってるし、いいよな~……
しかし心配……
こんないい気分なのに僕は心配なのだ「もう新しい復讐ないんじゃないか?」と。
もうないんじゃないか?僕が心配するような事ではないのは重々承知してますが心配。
好きなだけに。
もう無いんじゃないか?出尽くしたんじゃないか?
ざっと考える限りでパク・チャヌク監督の復讐三部作『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』や、ナ・ホンジン監督の『哀しき獣』、キム・ジンウ監督の『悪魔を見た』、キム・ギドク監督の『嘆きのピエタ』などなど、数えきれないくらいある……もうさすがに全部出きったんじゃないか? あるのか……?
復讐会議(そう言うのか知らんけど)で頭抱えてるスタッフがいて。
部屋中煙草の煙が充満。完全に煮詰まってきて怒号が飛ぶ。
プロデューサー「おい! 復讐作家! こっちこい!お前復讐考えるの仕事だろ!? 新しい復讐ねえのか!」
作家「いや結局ベタがいいと思うんです」
プ「ベタってなんだよ?」
作「やっぱり殺す」
プ「バカか!! 殺すだけじゃダメなんだよ! 殺すは大前提。そこから更にえぐれ! じゃないと納得しないぞ!」
作「じゃあ人数!大勢に殺させるはどうすか!?」
プ「親切なクムジャさんでやってる」
作「……じゃあ家族の前で殺す!」
プ「悪魔を見たでやってるだろ!」
作「罪きせましょ!」
プ「悪魔は誰だでしてる」
作「……なんかお母さんの愛を」
プ「嘆きのピエタ!! わざとかよ! お前本当に復讐作家なのか!? 復讐の事24時間考えろ! 100個新しい切り口の復讐もってこい!
シュールなのはいらねえ! 復讐のオナニーはいらねえぞ!!」
追いつめられた作家は
「逆に復讐しないってのはどうすか?」という案もギリギリ出てきて「え……?なるほど……ありなのかな?」ってなって「いやいや最低復讐はしましょう!!!」みたいな大人な対応をお偉方がいて、段々煮詰まってくる会議。
そして復讐作家どこかに飛ぶ
プロデューサーは「どっかにいい復讐作家いない?」と聞きまわる。
そんな日本のお笑いに似た構造が韓国映画でもあるんじゃないか?
クオリティ高いからこそ心配。
それでも新しいの期待しちゃう……韓国の復讐作家には是非とも踏ん張ってもらいたい。
(文:南川聡史)
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