“兄こま”公開記念!“キラキラ”映画を全面肯定しよう!
(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館
日本映画界のど真ん中になりつつある“キラキラ”映画。
いつの頃から、誰が言い出したのかいま日本映画界のど真ん中になりつつある“キラキラ”映画。
少女コミック、ライトノベルの青春ラブストーリーが原作でストーリー基本的にヒロイン目線で舞台は当然学園!
映画『ピーチガール』より
(C)2017「ピーチガール」製作委員会 (C)上田美和/講談社
ヒロインの側には朝ドラや賞レースを賑わした若手女優(土屋太鳳、広瀬すす、有村架純、二階堂ふみetc.)、ティーン誌を中心に同世代の同性の支持を集めているモデル兼任女優(川口春奈、広瀬アリス、小松奈々、山本美月etc.)グループアイドルの現役&OG (AKBグループ、坂道シリーズ、ももクロetc.)。大原櫻子やmiwaなどのアーティストが演技に挑むときもあります。
相手役は戦隊&仮面ライダーOB(菅田将暉、福士蒼汰、千葉雄大etc.)、実績組(神木隆之介、染谷将太、窪田正孝、池松壮亮etc.)、モデル出身組(野村周平、坂口健太郎、山崎賢人etc.)EXILEなどのLDH組(岩田剛典、青柳翔、鈴木伸之etc.)そして男性アイドルの老舗ジャニーズ事務所(山田涼介、佐藤勝利、伊野尾慧etc.)。
もちろん、恋敵や同級生もこの中から登場して後々主役カップルに昇格したりします。メインキャストがアーティスト活動をしている場合はイメージソングやエンディングテーマを担当したりもします。
まずは、ネガティブな部分を出し切ってしまおう!
流行りモノにはネガティブな意見出るのが常。例えば“また、彼女がヒロインかよ。相手役のイケメンは彼かよ”というところ。ヒロイン役と相手役の候補がそれぞれ随時10人前後居て、それをシャッフルして組み合わせて主役カップルに。結果としてあの娘また制服着てるの?前にも見なかったっけ?あっ、違う映画なんだ!?などなど苦笑交じりで語られることも。
もう一つが、“何歳まで制服着てるんだよ!?”と言うつっこみ。高校生役(時に中学生役も)をそのまま現役生が演じているケースは実はかなり少なく、20歳を超えても制服にそでを通している人がたくさんいます。最近では敢えて“ラスト制服宣言”する人も出てきましたね。“キラキラ”ではありませんが、某高校生映画(ヤンキー系)の打ち上げの一軒目からお酒の飲めるお店だったなんていうこぼれ話もあります。
“キラキラ”映画一つの転機と爆発の2017年
“キラキラ”映画は所詮、女子中高生に受けていればいいものいう人たちがいました。もちろんに今も。
原作がどれだけベストセラーであっても周りで聞いていないから、出演陣がどれだけ若者から支持を受けていると言われてもその度合いもわからないし、というようなことで見向きもしない人が、特にベテランの映画情報発信者のお歴々にいらっしゃいました。
いやいや、コミックでもライトノベルでもそれなりのベストセラーならタイトルぐらいはチェックしておこうよ!若者に映画を見てほしいっていうならその若者に人気の人たちぐらいは把握しておこうよ!自分の勉強不足の言い訳にしちゃだめだよ!と思わず言いたくもなりますが・・・。
そういうお歴々が“キラキラ”を無視できなくしてしまったのが昨年2016年に大ヒットし、批評の面でも高い評価を得た『ちはやふる上の句・下の句』の登場。2018年に完結編となる『ちはやふる‐結び‐』の製作も決まりましたが、この映画の出来が良すぎてこれ以降“キラキラ”を無視して過ごすことができなくなりました。
そして今年2017年!!!
どこまでを“キラキラ”とするか線引きにむずかしいところでもありますが、それでも学園(学生)+恋愛の要素が強いものをカウントしてくと今年上半期だけで“キラキラ”は15本前後。“キラキラ”映画大爆発という感じです。
ちなみに下半期も同じくらいの数の作品がすでに公開予定ですから今年は30本前後の“キラキラ”が劇場に登場することになりますね。ここ数年、流行のジャンルではありますが、この数は圧倒的ですね。
Jホラーがブームになりすぎてそれが低予算化・粗製乱造化が進んでジャンル自体が廃れてしまったので“キラキラ”もどうなるのかとちょっとどうなるか心配でもありますが、やはり原作ベース(つまり出版社ががっつりと絡む)ということもあって、しばらくは時間とお金をかけたの製作体制が続くことになりそうです。
監督欄にこの名前があれば一安心“キラキラ”映画7人の侍!
今年一年だけで30本前後も登場する“キラキラ”。全部を網羅するのはなかなか大変ですが、そんな時にいい判断基準になる“キラキラ”の達人ともいうべき監督たちです。その名前を軽くをさらってみましょう。『PとJK』が公開されたばかりの廣木隆一監督、ヒロインを輝かせることに関しては右に出る者はいません。
(C)2017「PとJK」製作委員会
昨年はそれまで挑戦的な役どころばかりを演じてきた二階堂ふみにストレートな女子高生を演じさせた『オオカミ少女と黒王子』もありました。
『僕は明日、昨日の君とデートする』『先生!』と今年二本発表したのは三木孝浩監督。その三木監督の右腕だった月川翔監督は『君の膵臓を食べたい』が待機中。
(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C)住野よる/双葉社
乃木坂46が舞台&映画の大挙出演する大型企画『あさひなぐ』の映画版を監督したのが英勉監督。
(C)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会 (C)2011 こざき亜衣/小学館 (C)2017 舞台「あさひなぐ」製作委員会 (C)2011 こざき亜衣/小学館
岩井俊二監督作品に関わったところからキャリアをスタートさせた熊澤尚人監督。新城毅彦監督は長編映画デビューは06年ですが、あの90年代を代表するヒットドラマ「あすなろ白書」の演出からキャリアをスタートしているベテランです。そして、今年の上半期の“キラキラ”を〆る『兄に愛されすぎて困っています』のメガホンをとったのが河合勇人監督、広瀬すず主演の『チア☆ダン』に続く今年“キラキラ”二本目です。
(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館
“キラキラ”爆発の2017年上半期を〆る突き抜けた一本『兄に愛されすぎて困ってます』
2017年の上半期の文字通りの最後6月30日公開されるのが、『兄に愛されすぎて困ってます』。ヒロインがNHKの朝ドラでも主演を張り、『orange』『PとJK』などなど目下“キラキラ”ヒロイン一番手と言っていい土屋太鳳。そんな彼女を囲むイケメン集団にEXILE組から片寄涼太、戦隊シリーズ出身の千葉雄大、アイドルグループの超特急から草川拓弥、モデル出資の杉野遥亮、というある意味鉄壁の布陣。監督は“キラキラ”映画7人の侍の河合勇人監督。少女コミック原作で、主題歌は片寄亮太が所属するGENERATIONS from EXILE TRIBEが担当。
(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館
ストーリーは・・・
恋に12連敗中のヒロイン橘せとかが急に年上の“兄系”イケメンに囲まれるモテキに突入。せとかの兄のはるかは常に妹を過保護すぎていましたが、せとかとは実は血がつながっていなくて…という禁断の恋愛関係に発展。更に、初恋の人で失恋連敗の最初の人だったセレブ研修医が海外から帰国、上からぐいぐいときて急接近。さらに恋愛はゲームと言い切ってきたホスト系プレイボーイが初めて恋愛に本気モードなったと宣言して迫られ。さらに直近でせとかをふった剣道部のイケメンやらブサイクイケメンの教育実習生まで絡んできます。もうこの設定だけで“お腹一杯感”がありますが、一つ一つ、一人一人のキャラが過剰なまで濃く、それが絡みだすともっと濃くなります。正直、演技や演出で粗がないわけではないですが、それを補って余りある世界観の突き詰めっぷり“この映画は“キラキラ”なんだ!!!”という思いの突き抜けっぷりが圧巻です。
(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館
荒唐無稽というか漫画的世界観もここまで行きつくと笑いを誘われるとともに感心してしまうほどです。主演の土屋太鳳はと『orange』『青空エール』『PとJK』目下女子高生役連投中ですが、ここまではシリアスに恋に将来に思い悩む女子高生でしたが、今回の『兄に愛されすぎて困ってます』(通称“兄こま”)では突き抜けコメディ演技を見せてくれています。恋に恋していることが楽しくて仕方のない浮足立ちまくりの姿は今までの土屋太鳳が見せてこなかった顔です。徹底した詰込みと突き抜け、そして土屋太鳳の新境地が見られる“兄こま”。
“キラキラ”の王道入門編として見ても究極進化形として見てもどちらでもおすすめ。色んな意味で意味すごい映画が誕生したといっていいでしょう。
(文:村松健太郎)
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