『一週間フレンズ。』を通じて「トモダチ以上、恋人未満」を考えてみる
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
映画『一週間フレンズ。』のブルーレイ&DVDが本日8月2日に発売。
高校で、同じクラスになった香織、香織と友達になりたいと思う祐樹の二人が主人公の物語です。
「友達になってください!」という一言が印象的で劇中になんども出てきますが、ふたりの間には恋心が見え隠れ。しかし、やはり友情ありきだと思わされるシーンがたくさんあります。
原作漫画を始め、アニメも実写映画もそれぞれに魅力がありましたが、今回は『一週間フレンズ。』という作品を通じて「トモダチ以上、恋人未満」ということについて考えてみたいと思います。
■『一週間フレンズ。』ブルーレイ&DVD情報
「友達になってください!」
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
たとえば、恋人になるとするならば、どちらかが「付き合ってください」と言うことで初めて関係が成立しますが、友達に対して「友達になってください!」とはあまり言わないものですよね。
これが作品の最大の魅力でもあり、祐樹と香織の関係を、「トモダチ以上」だと言って良い理由でもあるのではないでしょうか。
祐樹は、とても純粋で、まっすぐに人と向き合える性格です。
一方、香織は過去に事故に遭ったことで1週間で記憶がリセットされてしまいます。そんな香織にどこか惹かれた祐樹が、友達になりたいということを直接伝えることでふたりの関係が動き出すことになります。
友達って、「なんとなくなるもの」だと思っていませんか。実際、「なんとなく」距離が近づいて一生の友達を得ることもありますが、香織の過去のトラウマや、その性格上、「なんとなく」では絶対に成立しなかった友情です。
交換日記をする
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
今ドキ、交換日記をする男子高校生?という感じがしなくもないですが、祐樹の健気で無垢な性格なら、あり得るかもしれない、と思わされます。
映画では香織自身が祐樹に「記憶が1週間でリセットされてしまう」と告白をしてから、忘れても読んで思い出せるようにと交換日記をはじめて、ふたりの距離は近づきました。
香織の記憶が1週間しか持たないから、という理由付きですが、どんな方法であれ、コミュニケーションを深めることが、相手を知ることになり、お互いの距離も近づくことがわかりますね。
でも、日記がないと、記憶が残らない
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
「そんなの、友達って言えんのか?」という、九条一(はじめ)から祐樹への言葉は痛烈でした。
そのとき、祐樹と香織の関係性は、確かに友達で、それ以上にはなりきれなかったけれど、友達としては特別な存在だった、という感じです。
1週間で記憶がなくなるというのは、現実にはとても稀なことではありますが、私たちは日々、何かを忘れてしまったり、思い出せなかったりします。
そんな中でも、見える形で文字として残っていたら、思い出すきっかけにはなりますよね。
別れた元・恋人との日記なら「捨てたい!燃やしたい!」という人もいるかもしれませんが(笑)、友達との思い出なら、どうでしょう。
燃やすといえば、映画では、文化祭の後に行われた火祭りで、香織との日記を燃やしてしまうシーンがありました。香織はかつて、九条が好きだったということがわかり、記憶を失うきっかけもはっきりしたためです。
このときの、「忘れられないヤツがいるなら勝てねぇよぉ」という山﨑賢人さんのお芝居は最高です。
このセリフからもわかるように、やっぱり祐樹は香織に恋心を抱いていて、大切に積み重ねてきた日記を捨てたくなるほどだったということです。
そして、映画では最後に、漫画研究会に所属している祐樹が図書室で借りた本に書きためていたパラパラ漫画で、香織が記憶を取り戻す場面があります。
交換日記ではありませんが、祐樹の想いが形になっている大切な思い出でした。
いちフレの「トモダチ以上、恋人未満」とは
(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
『一週間フレンズ。』では、人との関わりを深めるうえで(それはトモダチや恋人に関わらず)、一緒に過ごした時間や思い出を、それぞれが積み重ねることの大切さを、読む人見る人に問いかけているような気がします。
香織の記憶が1週間でリセットされることで、香織自身の積み重ねは定期的にゼロになってしまうけれど、祐樹が「友達になってください!」と何度でも言い、交換日記を続け、密かに秘めていた想いを落書きとして残しました。そうして香織の分と合わせて2倍、積み重ねてきたから、成立した、不思議な人間関係です。
だからトモダチでもあるし、もしかしたら心の中では恋人「以上」の強い結びつきがあるのかもしれません。
『一週間フレンズ。』では、人とまっすぐに向き合うことを面倒臭がらず、知ることを恐れなかった祐樹ありきの「トモダチ以上、恋人未満」が描かれていたのではないでしょうか。
原作漫画、アニメ、映画とどれにも共通していることですが、それぞれに少しずつ違ったストーリー展開にしていることで、様々な角度から「トモダチ以上、恋人未満」について考えることができるはずです。
実写映画版のブルーレイ&DVDは本日8月2日に発売です!
■『一週間フレンズ。』ブルーレイ&DVD情報
(文:kamito努)
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