『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾原作の5作品とともに紹介
本日9月23日から公開される映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。Hey! Say! JUMPの山田涼介と名優・西田敏行に加え、尾野真千子ら実力派キャストや門脇麦、村上虹郎、貫一郎といった注目の若手キャストの豪華共演が話題となっている感動的なファンタジーである。
これまで、日本だけに止まらず海外でも多くの作品が映像化されている直木賞作家・東野圭吾。日本を代表する人気作家のひとりである彼の、2012年に刊行された本作の原作は「東野圭吾作品史上最も泣ける」作品としてベストセラーを記録した。まさに、ここ数年の東野圭吾の代表作といってもいいだろう。
そんなファン待望の映画化を祝して今回は、東野圭吾原作の映画作品の中から、特にオススメな5作品を紹介し、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の魅力を語りたい。
『秘密』
東野圭吾作品で初めて映画化されたのは、99年秋に当時人気絶頂期の広末涼子主演の本作。事故によって娘の体に宿った母親の魂と、戸惑いながらも彼女を愛し続ける父親の物語。主人公として非常に難しいキャラクターを魅力的に演じきった広末の輝き、ラストの小林薫と金子賢のやりとり、そして竹内まりやの歌う主題歌。思い出しただけでも泣けてくる本作は、2007年にフランスでリメイクされ、2010年には日本でドラマ化。さらに今年、中国でもドラマ化されるなど、永く愛されている東野作品の代表作の一本である。
『さまよう刃』
2004年に刊行された同名小説を原作に、残虐な手口で殺された娘の復讐に燃える父親の姿を描いたサスペンス。突然のことに呆然と落ちながらも、徐々に静かな狂気を宿らせていく寺尾聡演じる主人公の迫力。雪が深々と降り積もる別荘地の場面の緊迫感は、思わず画面に釘付けになってしまうことだろう。2012年には韓国でリメイクもされた。どちらもクライマックスの犯人を追い詰める場面は見応え充分。
『白夜行 −白い闇の中を歩く−』
こちらは日本でドラマ化され、映画化もされた代表作の一本で、特に人気の高い原作である。それを韓国でリメイクした本作は、人気女優ソン・イェジンを主演に迎えて、日本版とは一線を画したハードなミステリアス・ラブストーリーへと生まれ変わっている。日本では描ききれない深い部分に突き刺していく、韓国映画界のパワーを殊更に感じることだろう。
『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』
東野圭吾の人気シリーズ“加賀恭一郎”シリーズの一本。ドラマ化もされた『新参者』の続編にあたる本作は、ドラマでも演出を務めた土井裕泰がメガフォンを執り、ゲストキャストに新垣結衣。もちろん土井監督らしい画面の広い東京の光景が魅力的なのだが、それだけでなく松坂桃李や菅田将暉、山崎賢人といった現在人気急上昇中の若手俳優が多数出演していることに注目だ。また、来年1月にはシリーズの最新作にしてフィナーレを飾る『祈りの幕が下りる時』が公開される。
『真夏の方程式』
こちらも看板シリーズ「ガリレオ」の一編。ドラマから『容疑者Xの献身』、そして再びドラマから本作へと、ひとつのモチーフの終着点として完璧なフィナーレと呼べる圧倒的な一作。海の中の映像、取調室での見事なカメラワーク、ひとりの少年の一夏の成長など、もはやドラマの映画化とは見くびっていられないほど精巧で魅力的な演出が際立っている。吉高由里子の出番が少ないのはちょっと物足りないけれども。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会
そして最新作は、盗みを働いた3人の若者が、すでに廃墟となった小さな店舗に忍び込むところから始まる。そこはかつて、店主が人々の悩み相談を行なっていた「ナミヤ雑貨店」と呼ばれる小さな店。若者たちは、そこで、32年前に届けられた一通の手紙を見つけ、そこに書かれた相談と向き合っていく。そこから始まるファンタジックな一夜を描き出している。
何と言っても主人公の山田涼介を筆頭にした、若者3人のバランスの良さ、そして店舗の美術が魅力的に映し出されている。もちろん、東野圭吾の作品らしく、ストレートに心を揺さぶる描写が多く、秋のしんみりした空気に非常にマッチした作品なのではないだろうか。
(文:久保田和馬)
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