『斉木楠雄のΨ難』見所は橋本環奈の可愛さと顔面芸!更にあの人まで登場!
(C)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
2012年より週刊少年ジャンプで連載中の人気コミックを、映画『銀魂』の福田雄一監督が実写映画化した話題作、『斉木楠雄のΨ難』。個人的にも期待大だった本作を、今回は初日夜の回で鑑賞してきた。
今回鑑賞した劇場の座席数は、『ブレードランナー2049』の三分の一程だったのだが、場内は満員状態!福田雄一監督や原作コミックのファンが、初日に多数来場されたといった印象の本作だったが、果たしてその出来はどうだったのか?
予告編
ストーリー
高校生の斉木楠雄は実は超能力者。しかし彼自身は普通の生活を望んでいた。息子の超能力にも全く気づかない超天然の両親の元、周囲に超能力者であることを隠しながら生活する彼の周囲には、何故か変人ばかりが集まりトラブルが巻き起こることに。そんな中、毎年恒例の文化祭の開催が近づいて来て・・・。
全キャストがハマリ役!
特に全力を出し切った橋本環奈に拍手!
公開館数も少なく、原作コミックのファン以外には楽しめないのでは?そんな予想で鑑賞に臨んだ本作。
ところが、これがかなり面白く、原作コミックを雑誌連載で時々読んだ程度の自分にも、充分楽しめる作品となっていたのは意外だった。
今回、ネットのレビューや感想で良く目にしたのが、「ストーリーが無い」「一つ一つのエピソードが長い」、といった物。確かに前半の小ネタエピソードが少々長いと感じたり、何回も続く主人公の同じようなツッコミを、正直クドいと感じたのも事実。成る程、映画オリジナルの長編用ストーリーを期待して劇場に足を運んだ観客には、確かにその点で不満が残る出来だったかも知れない。
しかし、そんなストーリー部分の不満を吹き飛ばしてくれるのが、原作キャラ通りのビジュアルで登場する出演キャストの面々だ!とにかく、全ての出演キャストが適役・ハマり役なのだが、中でも予想外に素晴らしかったのが、元最強ヤンキーの「窪谷須亜蓮」を演じた賀来賢人の見事な弾けっぷり!正直、ここまでキレたコメディ演技が出来るとは全く予想しておらず、橋本環奈にも負けないその衝撃と破壊力には完全に圧倒された。
(C)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
更に、『銀魂』に続いて登場する橋本環奈の、圧倒的な存在感と顔面芸!今回は『銀魂』の様なコスプレ感は低いため、彼女本来の可愛さと強烈な表情とのギャップが存分に味わえる。特に目の前の現実をねじ曲げてでも、自分の都合の良い結論に無理矢理持って行く、そのポジティブ思考は必見だ。
そして今回、観客の興味を完全に持っていくのが、ムロツヨシ演じるマジシャン「蝶野雨緑」の母親兼アシスタントの「ジェシー」の存在!誰もが「この強烈な女優さんは誰?」と思わずにはいられないこのキャラを演じたのは、山野海という女優さん。自身の劇団ふくふくやの脚本&看板女優として活躍されている彼女の絶妙な表情には、実際劇場内でも大きな笑いが起こっていた。もはや福田雄一作品の顔とも言えるムロツヨシと並んで、少しも動じないどころか全く違和感の無いその風貌!一度見たら忘れないその強烈な個性は、是非劇場でご確認を。
(C)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
最後に
『ジョジョ』の時とは違い、いい感じに肩の力が抜けている様に見えるのが、本作での山崎賢人の演技だ。原作コミックのキャラクターを忠実に再現したその外見は、『ジョジョ』以上にコスプレ感が強いにも関わらず、本作の彼は意外とそのまま見ていられる。そう、無表情で常にクールな主人公、斉木楠雄こそ、正に山崎賢人のためのキャラだと言っていいだろう。
(C)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
実は本編中には、橋本環奈の妄想の中でいつもクールな彼が感情を露わにし、オーバーに泣いたり笑ったりするシーンがあるのだが、正直ここは観客の方が恥ずかしくて見ていられない!もちろん、わざとそういう効果を狙ったシーンなのだが、過去に失敗したコミック原作映画などは、これを普通のシーンでやってしまっているのが困り物・・・。
コミックのビジュアルに生身の役者の外見を近づけることを優先させる余り、本来の役者の魅力と持ち味を台無しにして、更には作品自体の質までも下げてしまうという悪循環から、中々抜け出せないでいる最近の日本映画。
せっかくの実写映画化作品なのに、原作ファンにさえ評判が悪い内容になってしまうのは、実はこうした点に要因があるのではないだろうか。つまり、「役者本来の魅力を殺す様な、過度のコスプレには要注意!」ということだ。その点は同じ福田監督の『銀魂』にも言えるのだが、シリアスな部分を描かなければならなかった『銀魂』よりも、やはり全編ギャグと笑いに徹した本作の面白さは際立っている。
(C)麻生周一/集英社・2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会
そう、とにかく映画が終わっても、登場人物の誰一人として人間的に成長しないし、失敗から何かを学ぶことも無いのが素晴らしいのだ!やっとトラブルが回避出来たにも関わらず、また同じ内容の一日が繰り返されることが示される本作のラストこそ、正にギャグ漫画の王道と言えるだろう。
系列的にはテレビの「勇者ヨシヒコ」に通じる作風なので、原作コミックに馴染みが無くとも、「あ、こういうキャラが面白いことやる映画なんだな」位の、ユルい感じで鑑賞出来るのが嬉しい本作。
同じ少年ジャンプの人気コミックで、既に実写映画化された「某教室」ネタや、危険過ぎる某ディズニー映画ネタ。更には、原作コミックファンが一番見たいであろう「あの人」も登場するなど、観客へのサービスが隅々まで行き届いているのも見事!
ビジュアルの再現だけでなく、その内容で観客を楽しませようとする努力こそが今回の成功に繋がった、そう思わずにはいられない本作。
これから人気コミック(但し学園物以外)を映画化しようとする方は、この辺を良く考えて実写化するのがオススメです!
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(文:滝口アキラ)
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