映画コラム

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2017年11月10日

『ハイロー3』は泣き笑い!大興奮!そして寂寥感でいっぱいになる娯楽大作!その魅力を全力で語る!

『ハイロー3』は泣き笑い!大興奮!そして寂寥感でいっぱいになる娯楽大作!その魅力を全力で語る!



(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



映画『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』が11月11日より、いよいよ公開されます。

そのタイトル通り、本作はライブやドラマなどが融合した“総合エンターテインメント”と銘打たれた『HiGH&LOW』(以下、ハイロー)シリーズの劇場版3作目であり、完結編です。

実際に観てみると、「前作の時点で映画を超えた異次元の何かだったけど、今回はそれどころじゃねえ、ムゲンだ!」と叫びたくなる、突き抜けた感動が得られる最高の娯楽大作でした! ネタバレのない範囲で、その魅力をお伝えします!

※前作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』の記事はこちら↓
『ハイロー2』は映画を越えた別次元の何かに到達した!ヤバいテンションでその凄さを全力で語る!

1:『2』と『3』はほぼ同時に作られた! 役者たちの“今しかない”魅力を目に焼き付けろ!





(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



まず踏まえておくべきなのは、本作『3』が前作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』と“地続き”になっているということ。物語は前作のラストの直後から始まりますし、この2本はほぼ同時に撮影が行われていたりもするのです。

脚本を手掛けた平沼紀久によると、元々1本の映画のつもりでシナリオを書いていたものの、劇場版1作目の伏線回収、新たに盛り込みたい要素、描きたいキャラクターなどを挙げていくと、とても2時間では収まらなかったため、2本に分けて3ヶ月という短いインタバールで観てもらうという方法を選んだのだとか。(これは、映画『ホビット』が元々前後編の2部作として製作が進められていたものの、後に3部作に変更されたことを彷彿とさせます)

2本に分けた理由はそれだけではなく、平沼氏には「(2作を一気に公開するという)勢いを大切にしたかった」「このシリーズは演じる人間の個性を強く反映しているため、生身の演者が変化をしていくと、どうしても誇張されたキャラとの違和感が生じてしまう」「今この瞬間しか表現できないものがある」という思いもあっただそうです。

タイトなスケジュールで行われた『2』および『3』の撮影のハードさは、久保茂昭監督が「スタッフは文字通り限界に挑戦していた」と語るほどだったとか……。作り込まれた美術、豪華キャストの熱演、度肝を抜かれるアクションの数々を観れば、その努力と根性が、並大抵のものではないことが伝わるでしょう。

つまり、『2』と『3』は、2本の映画を一気に制作することで、役者たちの“今しかない”魅力をカメラに収めたかった、そのためにはスタッフおよび役者たちの限界ギリギリの尽力があった、という作品なのです。日本映画の頂点と言っても良いほどのパワーと熱量は、大画面でのスクリーンでこそ感じられるでしょう。

2:あのパワーワードから“最高の名台詞”と“タイムリミットのあるサスペンス”を期待しろ!






(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



本作の予告編およびニュースで話題となったのは、ガンちゃん(岩田剛典)が“生コンクリート”を飲まされかけている拷問シーンと、「無名街爆破セレモニー」というワードとともにまさに街が爆破されている劇中カットです。これらはハイローのファン以外も「一体何が起こっているんだ!?」と良い意味で困惑し、Twitterのトレンドにもあがるほどに注目を集めていました。

この「生コンクリート拷問」と「無名街爆破セレモニー」を期待している方、ご安心ください。「これを待っていたんだろう?」と言わんばかりの、この2つのパワーワードを最大限に活用した“最高の名台詞”と“タイムリミットのあるサスペンス”が盛り込まれているのですから。

どれくらいの名セリフかと言うと、これまでのハイローシリーズにあった「一斗缶みてぇにあったけぇ場所を作りたいんだ」や「永遠じゃねえ、ムゲンだ」や「あいつらがケンカするのは間違ってるが、ケンカしようとする気持ちは間違ってない」に匹敵するほどであると断言します。どうしても笑いがこみ上げてくるのですが、同時に「なんてアツいんだ!」と感動もできる……これこそハイローの醍醐味ですよ!

しかも、同時に展開するのは“タイムリミットのあるサスペンス”。ガンちゃんが生コンクリートを飲んでしまう寸前のカットが挟み込まれ、さらに爆破までの時間を明確に映し出して“カウントダウン”をしてくれるので、これ以上なくハラハラしっぱなし! 「大丈夫かこれ!本当に大丈夫なのか!」と、これらのパワーワードが発表された以上にドキドキできることは間違いありません。

その他にも「こんな最高の画を観られて幸せだ!たまんねえ!」と叫びたくなるキマッたカットがてんこ盛り! 前作で脅威となった“アイツ”とのさらなる極限バトルにも大興奮! 「あまりのもカッコよさに、笑いながら同時に感動して泣いてしまう」という体験をしたい方は、絶対に観ましょう!

余談ですが、この生コンクリート拷問の撮影で使われたのは“胡麻豆腐”だったそうです。実際はガンちゃんが危険な目に遭っていなくてホッとしますね。また、韓国映画『新しき世界』にも、似たような拷問シーンがあったりします。

3:これは“卒業”の物語!「終わらないでくれ!」という寂寥感でいっぱいだ





(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



植野浩之プロデューサーは「前作『2』のサブタイトルである“END OF SKY”が“青春の終わり”を暗示し、さまざまな布石を提示したパートだとするならば、本作『3』はその伏線をしっかり回収し、未来へと繋げる現時点での完結編と言えるかもしれません」と語っています。また、『3』にはズバリ“卒業”というテーマもあるのだとか。

本作『3』では、5つのチームに分かれていた若者たちが、カネと権力に物を言わせてきたオトナたちと、全面対決をすることになります。若者たちは哀しい出来事を乗り越えても、なおも現実社会の壁にぶつかってしまい、自分の意思をとことん貫くか、それとも別の闘い方に身を投じるのかの選択を迫られる……今までは“お祭り感”もあったシリーズですが、今回はウェットな印象の物語も紡がれているのです。(もちろん、お祭り感は今回も健在です)

そのラストがどういったものになるのか……はもちろんネタバレになるので書けません。ただ、本作が植野プロデューサーの言うように“未来へ繋げる完結編”であり“卒業の物語”であることだけは間違いない、とだけお伝えしておきます。このラストの“落とし前”は納得できる一方で、同時に「終わらないでくれ!」「もっとこいつらと一緒にいたい!」と、たまらない寂寥感(せきりょうかん)をも呼び起こすものになっていました。

まとめその1:ハイローシリーズのテーマはこれだ!





(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



脚本を手がけてきた平沼紀久は、ハイローのシリーズを通して見えてきたテーマについて「人は誰でも、仕事上の葛藤や日々の悩みなど、何かと闘っています」「それを乗り越える糧となるのは、結局は自分の内なる熱量と、仲間を思う気持ちです」と語っています。

確かに、ハイローシリーズは現実ではあり得ない世界で、超カッコイイお兄さんたちがケンカを繰り広げるという荒唐無稽な内容ながら(だからでこそ)、自分のアツい気持ちを表に出し、仲間との絆を大切にしてほしい、という現実の問題にも当てはまる尊いメッセージに溢れています。今回の『3』では、シリーズでもっとも過酷な試練が訪れるからこそ、ハイローの根底にあるテーマがより明確に見えてくるでしょう。

さらに、企画およびプロデュースを担当してきたEXILE HIROも、ハイローシリーズについて「“変化を恐れずに変わっていく”ことの重要さだけはしっかり伝えたい」「成長して次のステップに進んでいく様は、映画を観てくれる方が抱えている問題としてつながると思います」と語っています。

『3』のテーマは、まさに“変化を恐れずに変わっていく”ことでした。『2』で“青春の終わり”を迎え、『3』で“卒業”をする……そんな、とてつもない寂しさを感じてしまう一方で、その変化こそが“重要なこと”であるとも教えてくれている。なんと……なんと、尊い作品なのでしょうか!

まとめその2:シリーズを初めて観るという方も劇場へ!





(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



前述した通り、本作『3』は『2』からの“続き”になっているので、「いきなり『3』を観ても楽しめないのでは?」と思っている方もいるでしょう。しかし、そんな心配はありません。ハイローは“アクション”にこそ重きを置いているシリーズでもあるため、前後の物語が多少わからなくても存分に楽しめるのですから!

最大限に物語を楽しみたい、という方も、劇場版の前2作および、本編と並行した物語が描かれたスピンオフ映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』を観ていれば大丈夫です。そこから、さらにキャラクターたちの内面を知るため、テレビドラマシリーズを遡って観てみるというのも、また一興です。

何より「この日本が誇る最高のエンターメントを劇場で観ないのは勿体無い!」「EXILEファンだけに独占させたくない!世界中のみんなに観てほしい!」といいう気持ちがどうしても抑えられないのです。前作は激しいカー・アクションが各方面で絶賛を浴び、男性ファンも増えたようですが、まだまだ足りません。この圧倒的なフィナーレを体験できる人が、もっともっと増えて欲しい!

筆者は、“応援上映”を含めて、あと1、2回はこの『ハイロー3』を絶対にキメてきます。最高にカッコイイ男たちの最期の物語を、皆さんも劇場で見届けてください!

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(文:ヒナタカ)

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