『セントラル・インテリジェンス』ロック様の全裸ダンスとイジメ撲滅スピーチに感動!



(C)2016 Universal Pictures, Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC



『ワイルドスピード』シリーズでも大活躍!あのロック様こと、ドウェイン・ジョンソンが堂々の主演を勤めるのが、この『セントラル・インテリジェンス』だ。アクション映画ファンなら見逃せない本作を、今回は公開二日目夜の回で鑑賞して来た。ポスターや予告編から受ける印象は、筋肉マンと普通のサラリーマンがタッグを組む、アクションコメディ?と言ったところの本作。

残念ながら、タイトルからはその内容がいまいち掴めないまま鑑賞に臨んだのだが、果たしてその出来はどうだったのか?

ストーリー


高校時代はスーパースター、しかし今は冴えない中年会計士のカルヴィン(ケヴィン・ハート)。

20年ぶりの高校同窓会の直前、当時おデブでいじめられっ子だったボブから突然の連絡が。気乗りせず会いに行った彼の前に現れたのは、マッチョな筋肉男へと大変身を遂げていたボブ(ドウェイン・ジョンソン)の姿だった!

実はCIAだと名乗る彼、殺人と国家機密を盗んだ濡れ衣を着せられて逃亡中の彼を助けて、何故か一緒に追われる身になるカルヴィン。果たしてボブは本当に裏切り者なのか?そして、高校の同窓会に二人は間に合うのか?


予告編


まさかの下半期ベスト候補の大エンタメ作品だった!


いや、これは予想外の大傑作!

主演二人の息の合った名コンビ振りに、ド派手なアクションやギャグの数々など、とにかく脚本が良く出来ている!

高校時代の暗いトラウマに今も捕らわれるボブ、そして彼と真逆に、高校時代の栄光の日々と現在の生活との落差に悩むカルヴィンが、己の自信を取り戻すまでを描く脚本が素晴らし過ぎる!更に、誰が本当の裏切り者か、最後まで分からない展開も良い!

しかし何と言っても一番のポイントは、主役の二人が実に魅力的な点、これに尽きる!そう、観客はストーリーが進むに連れ、どんどんこの二人を好きになって行ってしまうのだ。

その理由は冒頭の高校時代のシーンで、カルヴィンの誠実さがちゃんと描かれているから。スポーツ選手にとって大事なスタジャンを、迷うことなくボブに手渡した彼の行動!この短い描写で彼の正義感の強さと誠実な人柄を観客に提示しておくことで、後の彼の行動が観客に納得出来る様に工夫されているのが、実に上手い。

またボブの方にも、いくら体を鍛えて強くなっても未だに拭いきれない、強烈な高校時代のトラウマを設定しているため、単なる国家的危機の回避だけでなく、「いかにそこを克服するか?」という、もっと身近で個人的な問題が同時進行することになり、観客がボブに親近感を抱けるというわけだ。

とにかく見事な脚本と愛すべき二人のキャラクター、そして二人とも過去を克服し明るい未来を手にして人間的に成長を遂げるラスト!もはやこれだけ揃えば、映画が面白くならない筈が無いではないか。

本作が持つ最高の面白さと鑑賞後の爽快感、そう、映画の魅力とはまさにこれ!是非多くの方々に、この傑作を劇場で見届けて頂ければ思う。



(C)2016 Universal Pictures, Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC



何故か映画ネタからのギャグが多い本作、特にあの俳優に集中!


ボブの好きな映画が、何故かティーン向けの名作恋愛映画『すてきな片思い』だったり、80年代の青春映画ネタがギャグとして多く盛り込まれている本作。その中でも、ある特定の俳優に関する映画ネタが多いのに、お気付きだろうか?。

その俳優の名は、パトリック・スウェイジ。映画では度々ネタにされる程の恋愛映画の名作『ダーティ・ダンシング』や、あの『ゴースト・ニューヨークの幻』の主演俳優として、今も根強い人気を誇っている男優だ。

本作でも『ゴースト』や『ハートブルー』の名セリフがネタにされているのだが、何と彼のアクション映画『ロードハウス』までネタにされるというこだわりっ振り!

個人的には、ロック様のラストでの敵の倒し方が、千葉真一先生の主演映画『激突!殺人拳』オマージュだったのに驚いた!この部分、元ネタが分からないと単に悪趣味でグロい描写にしか見えないので、劇場で鑑賞される際にはご注意を!

この様に、監督や脚本家の個人的な好みによるマニアックな映画ネタが連発するなど、ある意味映画ファンの知識が試されるのも本作の魅力の一つ!あなたも是非劇場でチャレンジされてみては?



(C)2016 Universal Pictures, Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC



最後に


カタカナの邦題と宣伝ビジュアルから、良くあるコメディ調のアクション映画と思われがちだが、いや、本作は本当に劇場で鑑賞する価値のある作品だった!

確かに下ネタギャグの応酬と、派手なアクションで観客を楽しませてくれるのだが、実はその奥底に非常に深いテーマとメッセージが隠されているのが、本作を評価する最大の理由なのだ。

スクールカーストやイジメ、友情と信頼の大切さ、自分の人生に対する後悔と将来への悩みなど、誰もが高校時代に体験した悩みや問題が描かれる本作。特に素晴らしいのは、高校時代のコンプレックスを克服して、今や見事な筋肉ボディと格闘技を身につけたボブが、それでも高校時代のイジメっ子に再会した時に、全く無力になってしまう描写だ。

心無いイジメが、いかに人の心を深く傷付けてしまうか。この部分をきちんと描いているからこそ、ラストのロック様の感動的な「イジメ、駄目絶対!」スピーチが観客の心に響くことになるのだ。更には、ボブが最終的にこのトラウマを克服することで、誰でも自分を変えることが出来ると観客に教えてくれる点も見事!

しかも感動スピーチからのロック様の全裸ダンス披露!そこから更に、特別ゲストとしてあのコメディ女優が登場するという、怒濤の大サービスが待っているので、お楽しみに!

観客がずっと気になっていた「ある物」がラストで登場することで、自分には普通で何気ない行動が、時に他人の人生に勇気と希望を与えて励ます場合もある。だからイジメや外見への差別は止めよう、という本作からのメッセージが明らかになる。

大いに笑って楽しんだ後、明日からほんの少しでも他人に優しさと思いやりが持てるような気にさせてくれる映画、それがこの「セントラル・インテリジェンス」。とにかく、全編最高に楽しい映画なのは保証済みなので、全力でオススメします!

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(文:滝口アキラ)

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