映画コラム

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2017年11月23日

ミスを認めない祖母とミスを恐れる叔父に挟まれた天才少女は幸せになれるか『gifted/ギフテッド』

ミスを認めない祖母とミスを恐れる叔父に挟まれた天才少女は幸せになれるか『gifted/ギフテッド』

gifted/ギフテッド メイン



(C)2017 Twentieth Century Fox



ミスを認めたら終わり、謝ったら死んでしまうレベルで頑固な人っていますよね。なぜそこまで自分が絶対に正しいと思えるのか不思議なほどに。

さて、本日紹介する映画『gifted/ギフテッド』は、絶対にミスを認めない「超教育オバサン」とミスしたらどうしようと恐れる「失敗怖い男」の間に挟まれてしまった7歳の天才少女・メアリーのお話です。

【ストーリー】
フロリダで暮らす、ちょっと変わった2人と1匹の家族。7歳の生意気ざかりのメアリーと、彼女の叔父でシングルのフランク、そして猫のフレッド。互いがいるだけで、毎日が記念日のように楽しい時間は、メアリーが学校へ行くことになり揺らぎ始める。彼女には、生まれながらにして数学の天才的な才能(ギフテッド)があった。フランクはメアリーの英才教育を頑なに拒むが、そこへ縁を切ったはずのフランクの母親が現れ、彼からメアリーを奪おうとする。歴史を変える才能の開花か、愛する者と生きる人生か──果たして、メアリーにとっての本当の幸せは?


自分の判断が絶対だと信じて疑わない超教育オバサン



gifted/ギフテッド ポスター



(C)2017 Twentieth Century Fox



天才少女と言っても、数学において天才的頭脳を発揮するだけで、精神年齢は年相応の子ども。だから保護者がいないと生きていけないわけですが、その環境が複雑。実の母・ダイアンは自殺してしまい、その弟・フランク(少女から見ると叔父さん)と暮らしているのです。

ダイアンから普通に育ててほしいと頼まれていたフランクは、メアリーの天才的頭脳に気がついていながらも、普通の学校に通わせ、ごく一般的な子どもとして育てようとします。

しかしそこにメアリーの祖母である「超教育オバサン」ことイブリンが現れて、自体は一変。メアリーの天才的頭脳を活かそうと、ダイアンと同じく英才教育を受けさせ数学者の道に進めようとするのです。

ダイアンの自殺の理由は詳しく描かれず、想像するしかないのでずか、原因はイブリンの教育方針なのでは? という疑いもあって…。

あなたの教育のおかげで天才数学者になれたのかもしれないけれど、母として娘に対する教育は果たして正しいものであったのか…と疑問に思ってしまうのです。

何か大きなことを成し遂げるためには、断固たる決意、信念が必要になるとは思いますが、いくらなんでもやりすぎじゃないかと。娘が自殺してもその信念がブレないのはある意味すごいとしか言いようがないけれど、それを孫にまで押し付けるのはやめろと。

しかしイブリンからすれば、「天才的な頭脳を活かさず、普通の子どもとして育てることは、人類の発展において大きなマイナスである。」と譲らない。

イブリンには譲る譲らないというか、もうその考えしかないというか、それ以外の判断はありえないと決めつけているところがあります。

失敗するのが怖すぎて無難な道を押し付けてしまう失敗怖い男






(C)2017 Twentieth Century Fox



かたや一緒に暮らす叔父ことフランクは、失敗が怖すぎて無難な判断しかできない男。イブリンのような母に育てられたら、そうなるよね…と同情したくなるほど。

それでもダイアンの思いを胸に、ダイアンのような人生を送ってしまわないように、自分たちのようにならないように、フランクなりに考えてメアリーを育てていく姿には深い愛を感じます。

でも、失敗を恐れすぎなんです。無難な道を歩んでほしいと願っても、そうなるとは限らないわけで。天才少女に無難な道を示してもそこを歩かないことに気がつきつつも、どうにかこの道を、という思いばかりが空回り。

そして、ここで考えたいのは「メアリーの意思」が無視されていること。何も判断できない子どもだと決めつけられていること。

ただ子どもらしく生きて欲しいと願う気持ちはわかりますが、それは自分ができなかったことを押し付けているのかもしれません。なによりメアリーの意思とは無関係なのです。

メアリーにとって何が幸せなのかを考えたときに…






(C)2017 Twentieth Century Fox



結局のところ、イブリンとフランクはメアリーのことを思っているようで、考えているようで全然考えてないと言えるかもしれません。

メアリーにとってはこうすることが1番なのだと決めつけている部分では同じです。自分の思い通りにしたいだけなのだと気がつく必要があります。

わずか7歳のメアリーは、メアリーなりにどうしたいかを必死に訴えます。その思いが届くのかどうかは、ぜひ劇場で確認してください。

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(取材:ゆうせい)

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