チャットモンチー7月「完結」…嫌だ!待ってくれ!
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こんにちは!松竹芸能で芸人やってます、じなんぼ~いずのシギハラです!
前回、好きな様に書いても良いと言われ映画関連コンテンツにも関わらず、なぜか半生の反省を書くという醜態をさらしています!(もし万が一、気になるという奇特な方がいれば見てやって下さい!)
それでも這いつくばって生きて行きます!
僕の、生命力だけでも覚えて帰って下さい!
生命力と言えば…
生命力と言えば、チャットモンチーのサードアルバムですね~!
おぞましくわざとらしいですが、そうなんです!
昨年11月24日、音楽業界にそれはもう音速の速さで激震が走りました!
「ガールズバンド」という概念を優に越えて、音楽業界をグイグイ牽引しているチャットモンチーが完結という言葉をもって、そのバンド活動に終止符を打つと発表したからです!
Photo on Visualhunt.com
僕はいわゆる「ガチファン」ではないんですが、それでも20代の社会人時代、お金に少し余裕持てた頃、行くフェスでもよく見たし、セカンドフルアルバムの「耳鳴り」や続く先ほど言った「生命力」も買って聴いていましたね!
それまでツンとして凛として、センスギラギラで男に媚びることない雰囲気の女性3人組のロックバンド(あくまで僕の個人的なイメージです)(でも、実際の彼女らは女性である事を舐められない為に、当初ステージではスカートを履かなかったそう)がメジャー3枚目のシングル「シャングリラ」というPOPでキャッチーな曲で一躍キラキラした世界に飛び出していったのを目の当たりにしました!(例によって括弧多くてすみません!)
皆さんもあのクセになるフレーズを一度は聴いた事があるのではないでしょうか!
その後、ドラムの高橋さんが脱退したり、ベースのあっこさんがベースからドラムになったり、あのハイスタのつねさんがドラムサポートに入ったり(一見ドラム周辺騒がしい)、近年ではボーカルの橋本さんがご結婚とご出産されたりと、めまぐるしい紆余曲折もありましたね!
お二人は四国出身だから、これは伊予曲折ですね。。。
(落ち着いて考えるとお二人は徳島出身だから伊予ではなく阿波ですね。慌てています。)
いずれ、殺して下さい!
余談ですが、フェスでも大人気な四星球(スーシンチュウ)というバンドのボーカル北島康雄さんは、ベースのあっこさんの鳴門教育大学の後輩で誕生日も同じ(4月16日)で仲が良いらしいです!
余談の余談、この四星球、キャッチフレーズが「日本一泣けるコミックバンド」で、フェスで何度か見てるんですがとにかくやること全てが全力で、めちゃくちゃ面白いです!
正直、芸人である自分が嫉妬するレベルで面白いし、実際に会場もバカウケしています!
ハードル上げても何の問題もなし!
噂では同業者のバンドマンが袖に見に来るバンドNo.1だとかそうでないとか?
ライブは一見の価値ありっす!
とにかく、様々な「音」とそして「人生」をもって僕らを楽しませてくれ、音楽業界の第一線を走り続けてくれたバンドという事は誰が見ても疑う余地のない所!
考えたら、今年9月は安室奈美恵さんも引退されますよね?
こんなにステージでまばゆい光を放っている女性ミュージシャンが一気に姿を消したら、来年の音楽業界がどうなるのだろう。日本はどうなるのだろう。僕は、とても不安です。
(おい、シギハラ、お前何様だよ。
勝手に縁もゆかりもない音楽業界、ましてや日本ていう大きな枠組みをオートマチックに憂えてんじゃねーよ。
芸人だろ。まず売れろ。それで日本を明るくしろ。
いや、それがダメなら何でも良いからがむしゃらに働いて日本の経済をまわせよ、この低所得者野郎が。
まず第一に、映画の話どうした?)
「世界が終わる夜に」
キュートな容姿とは裏腹に、骨太なロックを聴かせてくれるチャットモンチーの大好きな曲に「世界が終わる夜に」があります!
この曲、かなりカッコいいんです!
イントロから始まる、まるで心臓の鼓動のリズムの様に叩かれるドラム。
サビの「わたし神様だったら こんな世界は作らなかった 愛という名のお守りは 結局からっぽだったんだ」というとても扇情的かつ達観的な歌詞に、当時日本に憂えていた自分は救われました!
(僕、暇あれば憂い癖あるみたいです!)
本当に世界が終わる日、最後の晩餐のBGMとしてイエスキリスト先輩に提案したい鎮魂歌。
橋本さんの高音ボイスも神聖な雰囲気に拍車かけまくってます!
そして、この曲を主題歌に携え、印象的なエンディングに仕上げれくれるのが『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07’)という映画です!(はぁ、はぁ、やっと映画の話しきた)
この映画は、「劇団、本谷有希子」も主宰する劇作家、昨年芥川賞も受賞された本谷有希子さんの同名戯曲を、後に『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞も受賞する、吉田大八監督の監督デビュー作品!
主演は佐藤江梨子さん、佐津川愛美さん、永瀬正敏さん、永作博美さんが脇を固める安定感抜群のメンバーなんです。
あらすじ
舞台は北陸の山間部。両親の突然の不慮の事故により、和合清深(佐津川愛美)の元に、東京で女優を目指していた姉の澄伽(佐藤江梨子)が四年ぶりに帰ってくる。
兄の宍道(永瀬正敏)とその嫁の待子(永作博美)と4人の生活が始まるが、姉の澄伽は超がつくほどのワガママ女。全てが横柄で女優が成功しないのは、妹の清深のせいだと言う。
根暗な清深は趣味のホラー漫画をこそこそと書いている。
兄の宍道もなぜか澄伽に気を使い、待子も何をされても不気味なくらい底抜けに明るい。
いつの間にか、日常と非日常、正常と異常の境目が分からなくなっていく。
僕の好き勝手な、個人的この映画の最高な所を上げてみます!
1:魅力的なキャラクター、普通の人間が皆無なとこ最高!
やばいです!この映画に出てくる人間すべてが異常!
みんなネジが1本や2本と言わず、10本単位で飛んでるんじゃないかって思うぐらいのネジ飛び野郎ばかり!(女性が多いですが野郎で統一します、悪しからず)
これは撮影現場で、金物屋でも開けるレベルです!
主人公の澄伽は、女優を目指すも演技が下手で鳴かず飛ばず。しかし、彼女の女優としての野心、強欲は凄い!
全ての人間を利用して、全ての人間を踏み台にして売れたい!
ただ、それだけ!強欲ネジ飛び野郎ですが、ある意味純粋ネジ飛び野郎です!
妹の清深は、根暗な少女、趣味は漫画を書くこと。姉の嫌がらせに合いますが、その明確な理由も自分にあり、腰が低いくせに全く懲りてない。姉を俯瞰し、観察対象に。ある意味姉より曲者かもしれません。
曲者ネジ飛び野郎!
兄の宍道は、妹である澄伽に尻に引かれている。澄伽の美貌に魅せられていて、主導権を握られて全て言いなりにも関わらず嫁の待子にはことごとく辛辣な態度!
二面性ネジ飛び野郎!
宍道の嫁の待子は、ヘラヘラポジティブなんか変なぬいぐるみを制作してるネジ飛び野郎!
2:キャストの皆さんのハマり具合最高!
基本、四人の共同生活がメインなのですが、佐藤江梨子さんと佐津川愛美さんのW佐と永瀬正敏さんと永作博美さんのW永の配役が最高です!
特に見て欲しいのは、待子を演じる永作博美さんの演技です!コメディエンヌとしての才能を遺憾なく発揮されています!ご本人の笑いに対する勘みたいなものにただただ脱帽!
そして、お気づきの方はいらっしゃいますよね?
そうです!主要キャストのイニシャルがSとN!
この映画は、四人が織りなす人間のむき出し&ひた隠しな感情応酬バトル!
SとNが互いに引かれ合い、時には反発し合い、地場が乱れ、いずれは取り返しのつかない激情かついびつな世界へともつれにもつれていく!
このSとNは果たして偶然?果てしなく偶然です!
セルフで血迷ってしまいました!はい!
3:長閑な山間の風景と佐藤江梨子さんの抜群のスタイル、原色系の衣装とのコントラストが異様過ぎてザワつき感最高!
佐藤江梨子さん演じる澄伽は性にも奔放な役柄で、かなり脱ぎっぷりが良いのですが、その手足の長さ、もちろんバストのタワワさもこちらの予想を校庭3周半ぐらい上回ってきます!
まるで周囲の次元が歪んでるよう!そちらも当然最高です!
ロケ現場は、本谷有希子さんの出身地でもある石川県は能登で行われたらしいのですが、その見事な風光明媚な景色、いわゆる原風景と言われる何も手が付けれてない純粋で美しいモノと、澄伽という存在、欲望、性、金、極彩色等の人工的でいかがわしくタブー的な象徴との対比、単純に神聖な山々と豊満な谷間の対比が見ている者の心を決して穏やかにはしてくれません!
4:死という概念がどこか遠く宇宙の事かのように思えてくる展開が最高!
冒頭、両親が亡くなるシーンから始まるのですが、この映画では死に対して悲しみを煽ったり、お涙頂戴シーンもありません。
家族の死さえも皆どこか他人事。
しかし、それがかえって死とは確実にあるもの、身近にあるもの、乗り越えるものと感じられます。
また、死という目に見えないモノを淡々と表現する事によって今生きている人間達、各登場人物の感情だけが生々しくくっきりと浮かび上がらせている効果があると思っています!
最後に、次第に登場人物全てが愛おしく思えてくるのが最高!
先程、登場人物が全て異常、ネジ飛び野郎と語ったにも関わらずなぜこんな愛おしい感情になってしまうのか、僕なりに考えてみました!
一つ思うのは、これらの登場人物の要素は全て、誰の中にも潜在したり内包したりしているモノ、もしくは憧れたり目を逸らしたり、一歩間違えればなりうる存在だという事なのかもしれません。
つまりは、一人の人間のあやゆる感情の限界点を、様々な登場人物の中に散りばめイヤと言うほど晒していく。
だから、見ているこちらは、次第にその登場人物の中の「自分」を見つけていつ間にか愛おしく思ってしまう。
作者にその様な明確な意図があるどうかは分かりませんが、様々な「人間」の中にある「自分」をもう一度見つめなおして、受け入れて、認めて、生きていけ、とでも語りかけてくるかのようです!
これは、前回、園子温監督の事を書いた時にもチラッと触れたのですが、人間本来の命題のような気がします!
いわばこの作品は、年齢や季節、その時の精神状態で一番感情移入出来る登場人物が変わってくる、かもしれない稀有なカメレオン作品という事です!(爆裂に激烈に超絶に壮絶に勝手に言い放ってます)
人間の滑稽さとなぜか異様な爽快さを合わせ持ったラストシーンとチャットモンチー。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』をぜひ!!
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(文:じなんぼ〜いず・シギハラ)
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